上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場
- ️Sat Nov 02 2019
今年(2019年)8月18日、私が参加している憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議(兵庫県憲法会議)の有志で声明(要望)を神戸市長に提出しました。
神戸市による津田大介氏参加シンポジウム中止決定に対する要望
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51926936.html
この件では、10発29日、2度目の要望を提出しましたので、以下、紹介します。
神戸市長 久元 喜造 殿私たちは、8月18日、神戸市とTRANS-KOBE実行委員会(以下、「実行委員会」)が、「アートは異物を受け入れるのか」と題するシンポジウムを中止したことに抗議する声明を発表し、市長と実行委員会に宛てに申し入れを行いました。
神戸市と実行委員会によるシンポジウム中止決定は、シンポジウム登壇者の一人、津田大介さんが芸術監督を務めるあいちトリエンナーレの一企画「表現の不自由・その後」の内容を気に入らない一部の市会議員らの圧力に屈したものであり、芸術イベントに対する政治的介入の先例となり、表現活動を萎縮させることにつながりかねないものです。神戸市の関係者は、シンポジウム中止の理由として、「シンポジウムの趣旨に沿わない議論になるおそれ」があることや「芸術イベント自体に悪影響が及びかねない」ことを挙げていますが、これらは、暴力的な脅迫があったことを理由としたあいちトリエンナーレの場合と異なり、もっぱらシンポジウム開催に対する批判があったことだけを理由とするものです。批判があっただけで芸術イベントが中止されるとすれば、今後開催される芸術イベントに対しても同様の政治的介入がくりかえされるおそれもあります。
地方公共団体が市民に多様な芸術活動に触れる機会を与える取り組みは、地域の文化の土壌を培ううえで極めて重要です。そうした取り組みは、なによりも自由な表現の場として行われることが大前提であり、その企画が政治的な圧力によって歪められてはならないことは当然のことです。
あいちトリエンナーレにおいては、「表現の不自由展・その後」の中止決定からまもなく検証委員会が立ち上げられ、その検証結果に基づいて、会期内に展示が再開されました。これは、あいちトリエンナーレの関係者が展示中止決定の重大性を真剣に受け止め、ギリギリまで展示再開をめざした努力の結果といえるでしょう。神戸市においても、シンポジウム中止決定を決して「終わったこと」にせず、きちんと検証し、二度と芸術イベントへの政治的介入を許さない姿勢を示すことが必要です。
神戸市において、今回のような芸術イベントに対する政治的介入を二度と許さないため、私たちは以下の2点を要求します。
一 神戸市とTRANS-KOBE実行委員会によるシンポジウム中止決定について、第三者も含めた検証委員会を設け、中止決定の詳しい経緯と中止の明確な理由を明らかにしてください。
二 神戸市における今後の芸術イベントにおいては、政治的介入を決して許さないとの立場を明確に表明して下さい。2019年10月29日
代表 木下智史(関西大学教授)
本日(2019年11月1日)、発表された声明
「ホルムズ海峡周辺へ自衛隊を派遣することについての憲法研究者声明」(2019年10月28日)
とその賛同憲法研究者をご紹介します。
私も含め122名が賛同しています(2019年11月1日18時00分現在)
ホルムズ海峡周辺へ自衛隊を派遣することについての憲法研究者声明1、2019年10月18日の国家安全保障会議で、首相は、ホルムズ海峡周辺のオマーン湾などに自衛隊を派遣することを検討するよう指示したと報じられている。わたしたち憲法研究者は、以下の理由から、この自衛隊派遣は認めることができないと考える。
2、2019年春以来、周辺海域では、民間船舶に対する襲撃や、イラン・アメリカ両国軍の衝突が生じている。それは、イランの核兵器開発を制限するために、イラン・アメリカの間で結ばれた核合意から、アメリカ政府が一方的に離脱し、イランに対する経済制裁を強化したことと無関係ではないだろう。
中東の非核化と緊張緩和のために、イラン・アメリカ両国は相互に軍事力の使用を控え、またただちに核合意に立ち戻るべきである。3、日本政府は、西アジアにおける中立外交の実績によって、周辺地域・周辺国・周辺民衆から強い信頼を得てきた。今回の問題でもその立場を堅持し、イラン・アメリカの仲介役に徹することは十分可能なことである。またそのような立場の外交こそ、日本国憲法の定めた国際協調主義に沿ったものである。
4、今回の自衛隊派遣は、自衛隊の海外派遣を日常化させたい日本政府が、アメリカからの有志連合への参加呼びかけを「渡りに船」で選択したものである。
自衛隊を派遣すれば、有志連合の一員という形式をとらなくとも、実質的には、近隣に展開するアメリカ軍など他国軍と事実上の共同した活動は避けられない。しかも菅官房長官は記者会見で「米国とは緊密に連携していく」と述べているのである。
ほとんどの国が、この有志連合への参加を見送っており、現在までのところ、イギリスやサウジアラビアなどの5カ国程度にとどまっている。このことはアメリカの呼びかけた有志連合の組織と活動に対する国際的合意はまったく得られていないことを如実に示している。そこに自衛隊が参加する合理性も必要性もない。5、日本政府は、今回の自衛隊派遣について、防衛省設置法に基づく「調査・研究」であると説明する。
しかし防衛省設置法4条が規定する防衛省所掌事務のうち、第18号「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」とは、どのような状況において、自衛隊が調査・研究を行うのか、一切の定めがない。それどころか調査・研究活動の期間、地理的制約、方法、装備のいずれも白紙である。さらに国会の関与も一切定められていない。このように法的にまったく野放し状態のままで自衛隊の海外派遣をすることは、平和主義にとってもまた民主主義にとってもきわめて危険なことである。6、わたしたちは安保法制のもとで、日本が紛争に巻き込まれたり、日本が武力を行使するおそれを指摘してきた。今回の自衛隊派遣は、それを現実化させかねない。
第一に、周辺海域に展開するアメリカ軍に対する攻撃があった場合には、集団的自衛権の行使について要件を満たすものとして、日本の集団的自衛権の行使につながるであろう。
第二に、「現に戦闘行為が行われている現場」以外であれば、自衛隊はアメリカ軍の武器等防護をおこなうことができる。このことは、自衛隊がアメリカの戦争と一体化することにつながるであろう。
第三に、日本政府は、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合について、存立危機事態として集団的自衛権の行使ができるという理解をとっている。しかし機雷掃海自体、極めて危険な行為である。また戦闘中の機雷掃海は、国際法では戦闘行為とみなされるため、この点でも攻撃を誘発するおそれがある。
このように、この自衛隊派遣によって、自衛隊が紛争にまきこまれたり、武力を行使する危険をまねく点で、憲法9条の平和主義に反する。またそのことは、自衛隊員の生命・身体を徒に危険にさらすことも意味する。したがって日本政府は、自衛隊を派遣するべきではない。2019年10月28日
憲法研究者有志
愛敬 浩二(名古屋大学教授)
青井 未帆(学習院大学教授)
浅野 宜之(関西大学教授)
麻生 多聞(鳴門教育大学大学院学校教育研究科准教授)
足立 英郞(大阪電気通信大学名誉教授)
飯島 滋明(名古屋学院大経済学部教授)
井口 秀作(愛媛大学教授)
石川 多加子(金沢大学教員)
石川 裕一郎(聖学院大学教授)
石塚 迅(山梨大学准教授)
石村 修(専修大学名誉教授)
市川 正人(立命館大学教授)
井田 洋子(長崎大学教授)
伊藤 雅康(札幌学院大学教授)
稲 正樹(元国際基督教大学教授)
井端 正幸(沖縄国際大学教授
岩井 和由(鳥取短期大学教授)
岩本 一郎(北星学園大学教授)
植野 妙実子(中央大学名誉教授)
植松 健一(立命館大学教授)
植村 勝慶(國學院大學法学部教授)
右崎 正博(獨協大学名誉教授)
浦田 一郎(一橋大学名誉教授)
浦田 賢治 (早稲田大学名誉教授)
榎澤 幸広(名古屋学院大学准教授)
榎本 弘行(東京農工大学大学院准教授)
大内 憲昭(関東学院大学国際文化学部教授)
大久保 史郎(立命館大学名誉教授)
大津 浩 (明治大学法学部教授)
大野 友也(鹿児島大学准教授)
大藤 紀子(獨協大学教授)
岡田 健一郎(高知大学教員)
岡田 信弘(北海学園大学教授・北海道大学名誉教授)
岡本 篤尚(神戸学院大学教授)
奥野 恒久(龍谷大学教授)
小栗 実(鹿児島大学名誉教授)
小沢隆一 (東京慈恵医科大学教授)
小野 善康(岩手大学名誉教授)
金澤 孝(早稲田大学教員)
片山 等(国士館大学大学院法学研究科教授)
金井 光生(福島大学准教授)
金子 勝(立正大学名誉教授)
彼谷 環(富山国際大学教授)
上脇 博之(神戸学院大学法学部教授)
河合 正雄(弘前大学講師)
河上 暁弘(広島市立大学広島平和研究所准教授)
川畑 博昭(愛知県立大学教員)
菊地 洋(岩手大学准教授)
北川 善英(横浜国立大学名誉教授)
木下 智史(関西大学教授)
君島 東彦(立命館大学教授)
清末 愛砂(室蘭工業大学准教授)
清田 雄治(愛知教育大学特別教授)
倉田 原志(立命館大学教授)
倉持 孝司(南山大学教授)
小池 洋平(信州大学助教)
小林 武(沖縄大学客員教授)
小林 直樹(姫路独協大学教授)
小松 浩(立命館大学教授)
木幡 洋子(愛知県立大学名誉教授)
近藤 敦(名城大学教授)
齋藤 和夫(明星大学講師)
斎藤 一久(東京学芸大学准教授)
斉藤 小百合(恵泉女学園大学教員)
坂田 隆介(立命館大学法務研究科准教授)
笹沼 弘志(静岡大学教授)
佐藤 潤一(大阪産業大学国際学部教授)
澤野 義一(大阪経済法科大学法学部教授)
清水 雅彦(日本体育大学教授)
菅原 真(南山大学教授)
鈴木 眞澄(龍谷大学名誉教授)
芹沢 斉(青山学院大学名誉教授)
高佐 智美(青山学院大学法学部教授)
高作 正博(関西大学法学部教授)
高橋 利安(広島修道大学教授)
高良 沙哉(沖縄大学教授)
高橋 洋(愛知学院大学教授)
竹内 俊子(広島修道大学名誉教授)
竹森 正孝(岐阜大学名誉教授)
田島 泰彦(元上智大学教授)
多田 一路(立命館大学教授)
建石 真公子(法政大学教授)
千國 亮介(岩手県立大学准教授)
長 利一(元東邦大学教授)
塚田 哲之(神戸学院大学教授)
土屋 仁美(金沢星稜大学経済学部講師)
常岡(乗本)せつ子(フェリス女学院大学名誉教授)
寺川 史朗(龍谷大学教授)
徳永 貴志(和光大学教授)
内藤 光博(専修大学法学部教授)
仲 哲生(愛知学院大学客員教授)
長岡 徹(関西学院大学法学部教授)
中川 律(埼玉大学准教授)
永山 茂樹(東海大学教授)
中里見 博(大阪電気通信大学教授)
中島 茂樹(立命館大学名誉教授)
中富 公一(岡大名誉教授)
長峯 信彦(愛知大学法学部教授)
成澤 孝人(信州大学教授)
成嶋 隆(新潟大学名誉教授)
西嶋 法友(久留米大学法学部特任教授)
丹羽 徹(龍谷大学教授)
根森 健(新潟大学・埼玉大学名誉教授)
廣田 全男(横浜市立大学名誉教授)
福嶋 敏明(神戸学院大学教授)
藤井 正希(群馬大学准教授)
藤野 美都子(福島県立医科大学教授)
古川 純(専修大学名誉教授)
前原 清隆(元日本福祉大学教員)
松原 幸恵(山口大学准教授)
水島 朝穂(早稲田大学教授)
三宅 裕一郎(日本福祉大学教授)
村田 尚紀(関西大学法学部教授)
本 秀紀(名古屋大学教授)
森 英樹(名古屋大学名誉教授)
安原 陽平(沖縄国際大学准教授)
山内 敏弘(一橋大学名誉教授)
横尾 日出雄(中京大学教授)
若尾 典子(元佛教大学教員)
脇田 吉隆(神戸学院大学准教授)
和田 進(神戸大学名誉教授)
渡邉 弘(鹿児島大学准教授)
122名(2019年11月1日18時00分)
2019年11・3神戸憲法集会のご紹介をいたします。
ばお、
※本集会の趣旨に合致する企画等のチラシについては、集会プログラムに折り込むことを受け入れますので、折り込みを希望される団体・個人の方は、
当日、11時00分から会場(下記)にてセット作業を行いますので、11時までに(時刻厳守)チラシ500枚を持参し、必ずセット作業に参加してください。
宜しくお願いします。
2019年11・3神戸憲法集会(1)日時:2019年11月3日(日)文化の日
(2)場所:神戸市勤労会館 7階 大ホール
http://www.kobe-kinrou.jp/shisetsu/kinroukaikan/index.html(3)統一テーマ:「日本国憲法公布73周年 2019年11・3神戸憲法集会」
(4)企画内容とタイムテーブル
・開場(受付開始):12時30分
・開演:13時30分①主催者あいさつ
②文化行事(30分程度)
・ファゴット演奏(渡邊悦朗さん)&ピアノ演奏(藤渓優子さん)③休憩(20分程度)
④講演(90分程度)
・高作正博さん(関西大学法学部教授)「2019年参院選後の政治状況と改憲論の行方」⑤閉会あいさつ
私がこれまで取材を受けるなど大変お世話になっているIWJのスタッフの方から
今月(2019年9月)12日(木)午後、大阪地裁で
橋下徹氏がジャーナリストの岩上安身さんを提訴したスラップ訴訟の判決が下され、
その後、大阪弁護士会館で報告集会が開催される予定である
との連絡をいただきました。
私は別件の用事があるため参加できませんが、以下、ご紹介いたします。
参加可能な方々には、是非ともご参加いただきたいと思います。
いよいよ「橋下スラップ訴訟」の判決の言い渡しの日が迫ってまいりました。
来る9月12日は、維新の会「生みの親」橋下徹氏が岩上安身を提訴したスラップ訴訟の判決が行われます。
スラップ訴訟というリーガル・テロリズムに対して、大阪地裁がどのような判断を下すのか、皆様に見届けていただきたいと思います。(場所)大阪地裁第1010号法廷
(時間)判決言渡 午後1時10分※判決言渡後(午後1時20分メド~)大阪弁護士会館904号室にて報告集会を予定しています。
ご支援いただいてる市民の皆様方が出席する予定です。
ご自由にご参加下さい。
私も参加している憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議(兵庫県憲法会議)の有志で
作成した声明(要望)については、すでに紹介しました。
神戸市による津田大介氏参加シンポジウム中止決定に対する要望
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51926936.html
この件では、
「暴力と政治的圧力で表現の自由を奪って、
戦争に突き進んだ戦前の過ちをくり返してはならない!」
として、
神戸市内の2つの市民団体が、
「津田大介さんの神戸シンポ中止」問題を考える集い
を開催することになったそうです。
知り合いの関係者からチラシの送付を受けました。
そこで、以下、チラシの内容を紹介します(写真は省略)。
私は当日神戸にいない予定のため、残念ながら参加できないでしょうが、
お時間のある方は是非ご参加ください。
暴力と政治的圧力で表現の自由を奪って、
戦争に突き進んだ戦前の過ちをくり返してはならない!★「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」と京アニ事件をほのめかす脅迫と一部政治家の圧力に、
「あいちトリエンナーレ2019」の展示会「表現の不自由・その後」が中止に追い込まれました。
その展示会の芸術監督、津田大介氏が出席する予定の神戸のシンポジウムが、一部の神戸市会議員と右派系市民の圧力で、中止になりました。私たちは、二二六事件などで「言論の自由」が封じられて軍部の暴走を止められず、悲惨な戦争に突き進んでいった戦前の歴史を忘れてはなりません。★今ならまだ間に合います。手遅れになってしまう前に、私たち市民の手で、まず地元神戸から「言論の自由」を守る行動を起こしましょう。この問題について考える集会を開きます。
今日のような状況において、私たち1人1人が何をすればいいのか? あなたもご一緒に考えませんか!
「津田大介さんの神戸シンポ中止」問題を考える集い◆日時:2019年8月31日(土)18時~20時
◆場所:神戸市勤労会館4階 405・406号室
◆内容:
①神戸市会議員2名から経過説明
②木下智史(関西大学教授・憲法) 表現の自由
③伊藤健一郎(立命館大学講師) 思うこと
④参加者による意見交換
⑤アピール採択◆参加費:500円(大学生・小中高生・生活困窮者 無料)
◆共催:
憲法改悪ストップ兵庫県共同センター
☆問合せ先:kenpou-hgkyodo@s9.dion.ne.jp
こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO
☆問合せ先:080-5631-7699