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「僕はまだ、思春期を こじらせている」 『進撃の巨人』諫山創(FORZA STYLE) | 現代ビジネス | 講談社

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  • ️Thu Jan 27 2011

仕事部屋の広さは約6畳。二人のアシスタントと作業をする。作画中はヘッドフォンでラジオを聴くことが多い。エアコンの直風が当たるため、普段はマスクを着用。机の横には、紙パックのフルーツジュースとお煎餅が置かれていた。「食には興味がない」と言う 〔PHOTO天翔〕(以下同)

「このマンガがすごい! 」
2011年版オトコ編1位
巨人が次々に人を食う怪作が、3巻で218万部突破!
 

「人間にとって一番怖いのは"食われること"だと思います。高度な文明社会を作って食物連鎖から逃れたように見えても、そこが決して安息の地ではないことを、僕たちは本能的に知っているんです」

 エアコンが唸る6畳ほどの仕事場で、諫山創(いさやま.はじめ)氏(24)は静かにそう呟いた。『別冊少年マガジン』(講談社刊)で大ヒット中の連載マンガ『進撃の巨人』の著者である。3巻で計218万部を突破した作品は、宝島社が選ぶ2011年版「このマンガがすごい! オトコ編」の1位に輝き、書評紙誌で絶賛されている。

 諫山氏が描くのは、「どのマンガにも似ていない」と評される世界観だ。中世のヨーロッパを思わせる舞台で繰り広げられるのは、天を衝くような巨人たちによる人類の"捕食"である。外界との間に築いた壁の中でかりそめの平和を謳歌していた人類の前に、ある日突然、謎の巨人が現れ、手当たり次第に人間を飲み込んでいく。冒頭で諫山氏が語った"食われる恐怖"をベースに、巨人を相手にした人類の絶望的な闘いが始まる---。

 グイグイ読ませるストーリー展開もさることながら、まず最初に読者が衝撃を受けるのは、おぞましい巨人の姿だ。胴体に対して極端に短い、幼児のような手足。醜く肥大したアタマ、口の端が裂けて筋繊維が露出したアゴ・・・。禍々しい巨人たちが命乞いをする人間を無表情に丸飲みにするシーンには、思わず背筋が寒くなる。その着想について尋ねると、諫山氏はこう答えた。

「小学校低学年の頃、避難訓練で行った公民館のテレビで、偶然『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』という映画を観たんです。2匹の毛むくじゃらの怪獣の片方が、木を根っこから引っこ抜いて、もう片方の怪獣をガンガン殴っていました。そのシーンが凄く怖くって・・・。昔のことなので、正確な記憶ではないかもしれませんが、巨人を作る上で影響を受けていることは確かです」

 小さい頃から、「グロテスクなものに惹き付けられてきた」と語る諫山氏は絵を描くことが大好きで、「小学校や中学校の教科書は、落書きで真っ黒でした」と語る。