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PASユニットを搭載した 世界初の自転車競技先頭誘導用の電動ハイブリッド自転車「ケイリンPAS」を開発 - 広報発表資料 | ヤマハ発動機

 軽快なペダリングや環境性といった観点から、多くのユーザーから好評を得ているヤマハ<パス>シリーズ。
  現在、ヤマハ発動機(株)では、人力に電動モーターの補助動力を合わせて走る『P.A.S.=Power Assist System』の特徴を生かした製品の研究・開発を進めていますが、この技術に着目した(財)日本自転車普及協会から、電動ハイブリッドタイプの自転車競技先頭誘導用車両(ペーサー)の研究依頼を受け開発したのが、本モデルです。

 これまでペーサーには、伝統的にガソリンエンジン式二輪車「デルニーDERNYS」が多く使われてきましたが、日本において自転車競技の普及振興に取り組む(財)日本自転車普及協会ほか、(財)自転車産業振興協会、(財)日本自転車競技連盟では、日本で生まれたケイリン競技の普及とイメージアップを目的に、ペーサーを自転車競技に相応しいものに改善することを検討。
 その結果、電動ハイブリッド自転車に着目し、<パス>シリーズでの実績と技術を持つヤマハ発動機(株)に対し、平成9年3月、研究開発を委託したものです。

 本モデルの大きな特徴としては、市販の<パス>シリーズのパスユニットでは1機のモーターを装備しているのに対し、モーターを2機装備したユニットを搭載している点。 また市販の<パス>シリーズでは時速24kmで補助力をカットするコンピュータのセッティングを、時速60kmまで駆動力の補助を行うように設定しています。
 走行する際の人力に対するモーター補助力の比率は、市販の<パス>シリーズでは時速0~15kmの速度域で1:1未満(時速15~24kmまでは逓減補助)としているのに対し、本モデルでは時速0~60kmの速度域において1:2に設定し、必要とされるペダリング踏力の3分の1の人力で走行可能。これにより世界レベルのケイリン競技のペーサーとして要求される速度性能を達成しているとともに、特別な体力や訓練を要することなく、一般的な体力で走行が可能となっています。

 また本モデルでは、トラックにおける十分な走行安定性を確保するための車体レイアウト設計、競技運営に必要な航続距離の十分な確保、世界各国で使用可能な充電器、バッテリーの充電時間の短縮や形状の最適化、操作スイッチ位置の最適化など、世界レベルのペーサーとしての実使用を十分に考慮した設計を施しています(フレームはブリヂストンサイクル(株)製を採用)。

 本モデルを使用した場合の効果として、先頭誘導用車両運転者の体力負担を軽減し安定走行が可能になることや、選手に影響を与える排気ガスを出さないこと、自転車競技に不似合いなエンジン音の解消、自転車競技の円滑な運営とイメージアップにつながることなどが期待されています。

 なお、本モデルは、すでに平成9年より国内のアマチュア競技会などでテスト導入を行い評価されるとともに、(財)自転車産業振興協会を通じて、自転車競技の国際機関であるUCI(Union of Cyclist International)に提案され、5月21日にメキシコにおいて開催される1999年ワールドカップ第一戦を最初に、第5戦までのワールドカップや世界選手権での導入が決定しています。
またケイリン競技は2000年のシドニーオリンピックにおいて初めて公式競技となるが、1999年のワールドカップや世界選手権での評価を得た上で、本モデルがシドニーオリンピックにおけるケイリン競技のペーサーとして使用される予定となっています。

 本モデルの開発と合わせ、ヤマハ発動機(株)では、パスユニットの持つさまざまな特徴を生かし、今後も人と環境にやさしい商品の研究と開発を進めていきます。