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グリザイア ファントムトリガー

  • 日米合同対テロ組織「防衛省中央調査部諜報2課分室]通称CIRS、海上油田爆発事故が引き金となりその存在は公のものとなった。
    秘匿組織としてのCIRSは刷新されて以降、極秘活動を引き継ぐ形で新組織SORDが発足された。
    将来的に国防を担う人材の育成を目的として設立されたSORDは、全国各地の学園組織に間借りする形で展開していった。
    廃校後、施設の解体費用もままならぬまま放置されていた『美浜学園』は個人に買い取られ、新たに「特殊技能訓練校」としての役目を得た。
    そんな学園で、様々な理由で行き場を失くした少女達に与えられたのは銃と実弾。
    国防の名目のもとに、彼女達は命すらも顧みられることのない危険な超法規的活動を繰り返す。

    「─私達は、この世界に生かしてもらっているんですよ…。
    でも、生かしてもらっているだけではダメなんです、
    それじゃあ生きている意味がない。
    だから、生かされるだけではなく、自分の力で生きるんです、
    戦い抜いて、生き残るんです。
    そして生き残った子だけが、生きることを許されるんです─」

    どうせ磨り潰される命なら、銃を手にして戦うことを選んだ少女達の未来は…?

  • 午前5時30分、K県U港―。
    入国予定だった海外からの要人が突如として姿を消した。
    美浜学園・SORDのメンバーは失踪事件の捜索支援を開始するが、
    消えた“荷物”を捉えようとする度に、それは手の中から逃げていく。

    美浜学園の姉妹校『京船桜が丘』SORDのメンバーである、双子姉妹との協力および確執。
    そして─夜の街を疾走する謎の女ライダー「ソウル・スピード」の噂―。

    追跡はやがて壮絶な死闘となり、心身ともに引き裂かれてゆく。
    しかしそれは、レナとハルトの出逢いにまで遡る過去への旅でもあった。

    「―キミは何が得意ですか?」
    「ただの泣き虫で弱虫です…人を殺すことしか出来ません…」

    「…私を買うつもりですか…?」
    「値段次第かな…」

    彼女は救われたのだろうか? その行き先が、たとえ地獄だったとしても。

  • 戦傷により療養中のレナとマキを美浜に残し、SORDメンバーは他校との夏季合同合宿のために国外へと飛んだ。
    しかし、合宿先で美浜SORDは、聖エール外国人学校のシルヴィア、ベルベットらと共に「脱柵者狩り」に参加することになってしまう。

    事件に巻き込まれながらも、トーカは両親との記憶や、果たされることのなかった友人との約束と対峙していくのだが……。

    「そうね…私達には、這ってでも帰らなきゃいけない理由があるし…帰らなきゃ」

    「それじゃあ――、生きてたらまたいつか会いましょう…」

    「もし確保が難しいようであれば、“処分”してくれて構わない…その時は、綺麗に全部消して欲しい…」

    聖エールのハンドラーであり、仙石一縷〈イチル〉の弟でもある、仙石家長男・仙石綾芽〈アヤメ〉はそう告げた。

    それぞれの想いが交差する中、トーカの導き出した答えとは?
    真実は、レティクルの彼方に……。

  • 聖エール外国人学校からやってきた九真城恵(グミ)は、トーカの手ほどきにより、狙撃手としての腕を上げ、戦傷から復帰したレナとマキと共にその牙を研ぎ澄ましていた。

    同じ頃、美浜学園・初等部の仙石大雅(タイガ)は、実戦部隊である“A組”への配属を強く希望する。
    ハンドラーであるハルトは、「クリスがタイガ の上官となり面倒を見る」ことを編入の条件とした。そしてクリスは、タイガと共に時間を過ごし、自らの心の変化に気付いていく。

    全てが平穏に進んでいると思われた中、突如として国内で発生した未曾有のテロ事件。
    事態を知ったクリスは、危険を顧みずに戦場へと飛び込んだ。
    ──あの日、“彼女”がしたのと同じように。

    「我々が想定していた中でも最悪の展開ですねぇ…」
    「2人殺られてる! なんだっ!? なにがあった!?」
    「日本に核を持ち込むということが、
    どういうことか分かっているのか…?」
    「初めて人を撃つのは恐い…足が震える…」
    「馬鹿め…全てを台無しにするつもりか!?」

    次々と増えていく犠牲者。組織の狭間で自由を奪われたSORD。
    クリスとタイガ……そして美浜学園の運命は?

    「そうか…私…死んだんだ…」

    亡き母の想い出に抱かれ、少女は眠りの深淵へと向かう――。

  • 犠牲を出しながらも、SORDはテロリストの鎮圧に成功した。
    それから数週間後――ムラサキの姉、狗駒悠季(ユーキ)が帰国。A組に復帰する。
    妹よりも社交的で優秀な姉のユーキは、学園のメンバーとも仲良くなり、次第に信頼関係を築いてゆく。

    「私が美浜に居る理由も、もうなくなったかな…」

    自らの存在意義に疑問を感じたムラサキは、ハルトと出会った頃に想いを馳せる。
    ハルトは“未熟な己を補うため”と、技を探し求めて山奥の村へやってきた。
    先祖代々継承されてきたという“秘伝の技”は何処に──?

    「…オマエ達だけは絶対に許さないっ!!」
    「大丈夫…私は…どこへも行かない…側に…いるから…」
    「聞いてた通り、亡霊って奴はどうしたって斬れないか…」
    「さぁ、顔を上げるのです…勇気を出して…」

    それは運命的な出会いであると同時に、悲哀の物語でもあった。

    「あのさ…私に、妹を殺せって…命令してくれないかな…?」

  • 行くあてのなかった有坂秋桜里が、迷い込むようにしてやってきた美浜学園。 “殺し屋育成学校”の教員という特殊な状況下で、彼女は既に三ヶ月の時を過ごしていた。

    懸命に状況に適応し、生徒たちとも寄り添っていたはずの有坂だったが、学園は厳しい評価を突き付ける。

    「謙虚で、不器用だけれど真面目で、何事にも熱心で真摯に向き合って……」 「良い先生だとは思うけど、それだけで務まるほど美浜の職員は甘くはないのが現実だ」

    有坂は学園を巡り、改めて“殺し屋”として育てられてきた少女たちと対話することで自分を見つめ直す。

    ──その最中。錆のように心を蝕む、あの悪夢が蘇る──

    “人殺しの家”で、繭のように心を閉ざしていた少女。

    あぁ、怖い。
    外の世界が怖い……。
    どうすればいいの?
    どうすれば許してくれるの?
    私がなにをしたの? もう許して……。

    有坂に、人生最大の決断の瞬間が迫る。

    「それでもこの仕事を続けるかね?」

    彼女の選んだ世界とは──。

  • 美浜学園のハンドラー蒼井春人(ハルト)。彼にとってその日は、いつもと変わらぬ一日だった。しかし、立ち振る舞い、言葉、そのどれもが普段と違って見える。そんなハルトを察してか、美浜の生徒達も落ち着きを失っていた。

    ハルトは学園を後にし、仙石一縷、宇川千尋をはじめとした旧ファントムトリガーのメンバーと共にとある山へと墓参りに向かう。

    その山頂に眠るのはハルトの師匠「アオイ」。

    毎年繰り返される、彼女に再会するための旅。道中では軽口を叩き合ったかと思えば、ふとよぎる寂しさに言葉を詰まらせる。思い起こされるのは、純粋なまでに凶暴だったアオイの人生。

    「負けて悔しいとしか感じねぇなら辞めちまえ、負けた時こそ良い経験をした楽しかったと思えないなら向いてねぇよ」
    「何に命を掛けるかはソイツの価値観次第だ」
    「優し過ぎんだな、殺し屋には向いてねぇ……」
    「おーい! ハルトー! しっかりしろー! 死んじまうぞー?」
    「……なぁ、煙草……返してくれ……マスター……」

    受け継がれた命。

    「形にあるものはいつか壊れ、命あるものはいつか死ぬ。ただそれだけのことだ」

    アオイの最期の瞬間、この世界では何が起こっていたのか──。

  • いつもと変わらぬ日常の風景――。 その内側で、少女たちは静かに牙を研ぎ続ける。 それはハルトでさえも例外ではない。彼も刀を手にし「来たるべき時」に備えていた。

    遠く、声が聞こえる――呼び声が響いている。

    CIRSおよびSORD全部隊が招集される前代未聞の大規模作戦。 迎え撃つのは、エニシとクロエが待つ宗教組織TFA(ザ・フェイタル・アンサー)。

    有坂秋桜里は迷っていた。年端もいかぬ子供たちを戦場に送るべきか、否か。 教え子たちの運命は、彼女の判断に委ねられたのだ。 組織の一員として、一人の人間として苦悩する有坂──。

    「有坂先生は、誰かを殺してでも守りたい物って、ありますか?」
    「この小さな手帳が、おそらく私の遺品になるだろう」
    「この経験がいずれ誰かの命を救うのだ!」
    「敵対勢力の中に“子供”が居たら、貴女は撃てますか?」
    「後悔しないで下さいね?」
    「何もしない後悔よりはマシです!」

    それぞれの思惑が火花を散らす戦場で、有坂の目に映った光景とは──。

    「地獄なんて何度も見てきたつもりだったけど、
    私の見てきた地獄なんて地獄じゃなかったんだなって、
    今はそう思っている」

  • 遂に、総力戦が始まった。
    宗教組織TFA(ザ・フェイタル・アンサー)との戦いは最終局面を迎え、
    CIRSおよびSORDは全ての戦力を要塞へと向かわせる。

    降り注ぐ黒い雨、水を求め逃げ惑う民間人、敵味方問わずに放たれる銃弾。
    高射砲からの砲弾が塹壕を破壊し、熱波が悪夢のように少女達を襲う。
    息苦しい地下室で、闇に染まる深い森で、あらゆる場所で激しく燃え上がる命の炎。
    ただ生き残りたい、そんな願いさえ届かないのか。

    決してもう二度と、奪わせたりはしない──。

    「総員! 装備の最終確認だ!」
    「そういうこと、俺達にもう逃げ場はない…」
    「…アレは殺シテもイイ人間か?」
    「だったら笑え、笑って死ぬのだ」
    「ありがとう神様!! もう放さないぞ!!」
    「戦争なんて人生そのものだよ…」
    「白兵戦用ぉーーーー意っ!!!」
    「…ヤバい…ヤバいぞ! 一気に突っ込んできやがる!!」
    「どいつもこいつも…もうマトモじゃない…」
    「…さて、いよいよクライマックスだ…どうする? エニシさん…」

    少女は、運命の引き金に指をかける──。

    「…どうしてキミたちは…キミたちはなぜ戦うんだ?」