ROCK ATTENTION 21 鈴木新(SHIN SUZUKI) | Web Rock Magazine BEEAST
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- ️Mon Apr 29 2013
TEXT:桜坂秋太郎
国内ロックシーン最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫る
インタビュー特集!ロックアテンション!
90年代の日本のアーティストで、衝撃的な印象が残っているバンドに黒夢がある。インディーズの頃の彼らのステージを何度か観たが、ギラギラした世界観をオーディエンスに魅せつけ、抜群のインパクトを放っていた。ちょうどその頃、難聴を病んでバンド活動から引退した私は、完全にサポートする裏方の世界へと入り、数多くのバンドのテキストを書いていた。そんな自分史を振り返るかのように、90年代の記憶を呼び起こしてくれるアーティストを、今回、特集「ロックアテンション第21弾」で紹介したいと思う。
黒夢のギタリストとしてロックシーンに登場し、アグレッシブなギタープレイで魅了し続ける鈴木新(当時は臣)。彼は黒夢でのメジャーデビュー後、短い期間で脱退してしまう。しかし、その後に結成したVINYLで、新たなるファンを獲得。惜しまれつつVINYLの活動が停止した後は、SUPER DROP BABIESを結成するが、主活動をアーティストプロデュースや楽曲提供、そして講師業などの裏方へとシフト。表立った活動が減ったかのうように見えた。
しかし、2012年に新バンドLIZARD’S TAILを結成。ロックシーン最前線へと返り咲いた。持ち前のスター性と長いキャリアからくるオーラで、最高にカッコイイ状態の彼は、その勢いに乗ってソロ活動をスタートさせる。今回は、初のソロシングル「HAPPY どS PEOPLE」をリリースするタイミングで、インタビューする機会に恵まれた。今、彼は何を考えていて、これからの活動はどのように思っているのか、率直に聞いてみたいと思う。
鈴木 新(SHIN SUZUKI)
◆プロフィール:
1968年3月22日生まれ 愛知県瀬戸市出身 AB型
91年5月にvo.清春らと黒夢を結成し、インディーズながら渋谷公会堂をソールドアウトするなど不動の人気を確立、94年2月に東芝EMIよりシングル「for dear」でメジャー・デビューを果たす。94年12月のNHKホールでのコンサートを最後に翌年2月黒夢を脱退、同年6月に福井祥史(元デランジェ , 元ストロベリー・フィールズ)とVINYLを結成する。
その後、hide(元X-japan)が主催したオムニバス・アルバム『LEMONed Collected by hide』(96年5月発売)に「BE」で参加、同年9月に千葉マリンスタジアムで行われたイヴェント”HIDE INDIAN SUMMER SPECIAL at 千葉マリンスタジアム”にも出演した。
97年9月、新宿パワーステーションで初ワンマンライブを行い、11月にシングル「とまらない鼓動」で、ポリグラムよりメジャー・デビューを飾る。
2000年4月VINYL解散後、黒夢で一緒にプレイしていたベースの人時(元黒夢)らと2004年1月にSUPER DROP BABIES結成。
メンバー全員の都合が合った時のみのセカンド・バンドにもかかわらず、全国ツアー、CDアルバム、DVD付きCD『SDB LAUNCHER』(2005年11月発売)を発売するなどの活動をする。
2012年、藤崎賢一(元JUSTY-NASTY , CRAZE)やEBY(元Zi÷kill , 河村隆一 , IZAM)らとLIZARD’S TAILを結成。同年9月、新宿MARZで行われたファーストライブをソールドアウトにするなど精力的な活動をする傍ら、自身初となるソロ作品『HAPPY どS PEOPLE』をBEATNIKS RECORDSからパッケージ発売と株式会社エクセレックスより4月配信発売。
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)会員。
1.ソロ作品のリリース
—今回のリリース作品「HAPPY どS PEOPLE」は、初のソロシングルということですが、リリースまでの経緯を教えてください。
SHIN:今まで歌を唄った事が無かったんですね。昔に一度、黒夢を脱退してVINYLを結成するまでの間にソロの話があったんです。その時に某レコード会社でデモを録ったんですが、録り終えた瞬間にディレクターに「ヴォーカリスト探そっか?」みたいな。
—そうなんですか。
SHIN:それでSTRAWBERRY FIELDSを解散したばかりのふーやん(福井祥史)に声をかけて。他にも何人か色んなヴォーカリストとスタジオ入ったりしたんですが、彼は昔から好きなヴォーカリストだったし、当時所属していた事務所(HEADWAX)の社長のhide(X-JAPAN)さんに話したら「すぐ一緒にやれ」って(笑)
—VINYL結成前にそういうエピソードがあったとは。
SHIN:そんなこんなでソロの話は流れてしまって。ずっと歌を唄ってみたいという願望はあったんですけどね。で、今のバンド(LIZARD’S TAIL)でレコーディングしている時に、メンバーにチラッと話したら「やったほうがいい!」と背中を押して貰った感じですね。
—バンド(LIZARD’S TAIL)のメンバーが背中を押してくれるって話は、あまり聞かないエピソードですね!今回の作品の感想は、どうでしたか?
SHIN:結構乗せられるとその気になるタイプなんで(笑)。冗談は置いといて。「やったらいいじゃん」って言ってくれたメンバーには感謝してます。ちょうどソロの話とLIZARD’S TAILのレコーディングが時期的に重なってたので、そのままの勢いで行けた所はありますね。作品の感想はまだ聞いてないんですよ。CDが上がってくる前にタイトルだけは教えたら、「HAPPY どS PEOPLE」というタイトルには驚いてたみたい(笑)
—「HAPPY どS PEOPLE」は、とてもインパクトあるタイトルと歌詞ですが、制作上のコンセプトみたいな物は最初からありましたか?
SHIN:そもそも作詞という作業を今まで一度もやった事がなくて。曲は先にあったんですが、さて作詞ってどうやるんだろう?って時に複数の人から「好きに書けばいいんだよ」と言われて。曲中には「どS」「どM」等出てくるけど、これは世の中のいじめ問題に対してだとか、正直者が馬鹿を見るといった不条理的な事を表現してみました。
—始めての歌詞で、この完成度は凄いですね。書いたことがなくても、キャリアの中で、無意識に染み込んだ物があるのだと思います。カップリングの「夢で花咲く通りに」の中にも、“水色の君は香しく揺れて”という素敵な表現が出てきますね。
SHIN:そうですね…、割と古風というか普段使わないような美しい響きの日本語が大好きですからね。萩原朔太郎は本当に好き。なんていうのかな?今回「夢で花咲く通りに」を書いてみて夢野久作の「ドグラマグラ」だったり、イエモン(THE YELLOW MONKEY)の「薔薇娼婦麗奈」のような詞が追々書いてみたくなりました。
—ソロ作品なので、楽曲のコントロールは一人だったと思われますが、レコーディングはどのように録られましたか?
SHIN:ドラムやベースには「こんなフレーズで」と指示したりだとか?サウンドに関してはレコーディングエンジニアもやってくれた人と相談しながら録って行きましたね。良くも悪くも俺一人の楽曲なので、頭の中に鳴っている音を忠実に再現していくといった作業。カップリング曲の方が最初うまく再現出来なくて「もう1曲入りにするから!」と言った事もありました(笑)
—今回は何と言っても、歌われていることに驚くファンが多い気がします。ギタリストのソロと言っても、ゲストヴォーカルを迎えるケースが多いと思いますし。
SHIN:キッカケは先にも言った通りですね。ヴォーカルに関しては始めから自分で唄おうと決めていたし…。今、LIZARD’S TAILで最高のロックヴォーカリスト(藤崎賢一)とやっているから、一緒に何か作品を作るという事では、他に誰かヴォーカリストというと浮かんでこないかな?
—確かに藤崎賢一といえば、素晴らしい歌い手だと認知されていますね。歌入れや歌唱のアドバイスなど、何かありましたか?
SHIN:今回、歌唱とかというよりも歌詞については相談に乗ってもらいました。とにかく歌詞というものを書くのが初めてで、一度悩んでしまってにっちもさっちもな時に彼にアドバイスを請うたりしましたね。優しく教えてくれましたよ(笑)
—スカッとする直球ストレートなナンバーで、誰もが口ずさめるメロディが素晴らしいですね。アーティスト側からの聴きどころのような部分があれば教えてください。
SHIN:昔からストレートなロックが大好きで、今回初めて自分の中でうまく音に出来たかな?と思ってます。詞の内容も簡単に言うと「みんな仲良く笑おうよ」という意味なので、ほんと通勤や通学しながら、家事をしながらでも色んな人に唄ってほしい。
—今回のソロは、2曲のシングルで出そう!と思った理由があれば教えてください。
SHIN:一番気軽に聴いてもらえるかな?と思ってシングルという形になりましたね。まずは色んな人に聴いてもらいたかったというのがあります。
2.これからの活動
—ご自身の長いキャリアの中では、バンド活動が中心だったわけですが、今回のソロをきっかけにソロ活動にも力を入れていく感じでしょうか?
SHIN:そうですね、アルバムに向けて曲作りは開始していたりするけど、あくまでメインはLIZARD’S TAILなのでプライオリティーはバンドのが上かな? アルバムのレコーディングやツアーなんかも考えているので、まずはギタリストとしての活動をメインに持ってきたい。
—今後、ソロでのLIVEというのは考えていますか?
SHIN:勿論!いつかいきなりやりますよ!絶対に(笑)
—基本はギタリストに軸足があると思いますが、今回の作品で歌ってみて、歌うことについての思いがあれば教えてください。今後もソロは歌っていこう!みたいな気持ちでしょうか?
SHIN:うーん、今回の作品みたいに自分で自分の思いを表現したい時には唄いますよ。唄い手が発したい言葉=歌詞だと思っているので基本的にはそうしたいかな。
—メインの音楽活動は、あくまでLIZARD’S TAILということですが、そちらのお話も少し聞かせてください。
SHIN:LIZARD’S TAILはライブバンドですからね!メンバー全員かなり昔から面識はあったものの、音を出すのは初めてで、俺的には始めは手探りというか「どんな音が出来るかな?」っていう楽しみが凄くあったんだけど、みんなそれぞれキャリアもあるし作業的にも早いに確実で自分が思い描いている以上のものがポンポン出来るし。
—おっしゃる通り、相当なキャリアを持つミュージシャンが集まったバンドですもんね。
SHIN:先月(2013年3月)にROLL OUT TOUR2013を廻ってきたけど、ほんとライブを演れば演るほどライブのクオリティーも上がって行ってるし、ステージ上でも楽しいし。まずはライブを観て欲しいな。
—最後に、読者への一言をお願いします!
SHIN:自分自身の未来に向かってまだやりたい事は沢山ある。みんなと同じ時間、同じ景色を共有出来たら嬉しいなと思います。魂のROCKを体感しに、ライブにもどんどん足を運んで欲しいです!
限られた短い時間でのインタビューだったが、これからの鈴木新の活動に期待が膨らむ内容を聞くことができた。本作品の勢いは、次作へと結び付き、いつか実施されるソロライヴが楽しみなファンも多いことだろう。LIZARD’S TAILの活動と合わせて、精力的なクリエイティブモードにいる彼のマインドは、まさにこれからが「ロックギタリスト“鈴木新”の真骨頂」となるはずだ。
インタビューにあったバンドとソロの活動は、ある意味で二足のわらじ。バンド側の理解があるというのは素晴らしいことだと思う。そんな円熟味を増しつつも、エッジのあるギタープレイを披露してくれる彼を、今後もBEEASTでは追っていきたい。まずはこのインタビュー後に実施されたLIZARD’S TAILの新宿ロフトを取材済みだ。その様子はフォトレポートにて編集中。大人の色気が漂う、イカしたバンドのライヴ臨場感をお伝えできればうれしい。
さらに今回のインタビューでは、読者プレゼントにシングル「HAPPY どS PEOPLE」とオリジナルピックをセットにして3名の方へどうぞ!というありがたい話も頂けた。この特集で鈴木新のソロ作品を知った読者は、まずは記事の上部に埋め込んである動画を視聴してほしい。アグレッシブな最高のノリを味わえるロックナンバーに、思わず体が反応してしまうだろう。そして頭の中は、「HAPPYどS PEOPLE」のメロディが一日中リフレインすることは間違いない!
★読者プレゼント★
今回インタビューに登場した鈴木新のシングル「HAPPY どS PEOPLE」とピックをセットにして、抽選で3名様にプレゼント!(締切6/2)
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