訃報 弊社相談役 大賀典雄
報道資料
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2011年4月23日
訃報 弊社相談役 大賀典雄
弊社相談役 大賀 典雄 (おおが のりお)は、2011年4月23日午前9時14分、多臓器不全のため、逝去いたしました。享年81歳。葬儀は近親者のみの密葬とし、後日、本葬として弊社社葬を執り行う予定です。
なお、誠に勝手ながら、ご香典・ご供花・ご供物の儀は固くご辞退申し上げます。
プロダクト・フィロソフィーの浸透とブランドイメージの高揚に尽くす
大賀典雄は、東京芸術大学音楽学部在学中に、電気・機械についての専門的知識と傑出した経営者としての才覚をファウンダーの井深大と盛田昭夫に見込まれ、大学に在籍のまま1953年、東京通信工業(現・ソニー)と嘱託契約を結び、1959年に正式入社しました。
入社後は、ソニー製品の品質・機能・デザイン・宣伝の向上に努め、数々の高性能、高品質な製品を世界に送り出しました。また、「お客さまが欲しくなる商品づくり」という“プロダクト・フィロソフィー”を社内に広く浸透させ伝承することに情熱を傾けました。後に、大賀が主張する「お客さまの琴線に触れる商品」の哲学が、ソニーの商品づくりの基本理念として定着し、ソニーの飛躍的発展の礎となりました。
さらに大賀は、盛田とともに早くからブランドの重要性に着目し、個々の意思決定の積み重ねがSONYの4文字にいかに影響を与えるかを常に考えながら行動すべきだと主張し続けてきました。特に、「SONYの4文字はソニーの最大の財産」と常日頃から力説し、ソニーグループ全社員にその精神を浸透させた結果、「SONY」は世界で最も知名度の高いブランドのひとつとなりました。
光ディスクの開発で新たな市場を開拓
大賀は、LPレコードに代わるメディアとして、小型光ディスクの将来性を予見し、その開発の陣頭指揮を執りました。音楽家としての見識から、演奏時間をベートーヴェンの「第九」が収まる75分、直径12センチとすることを強く主張した結果、現在のCD音楽ソフトの方式が誕生しました。ソニーは、CDプレーヤーを82年に世界で初めて商品化し、その後、CD音楽ソフトの売上も急速に伸び、87年にはCDソフトの国内売上がレコードを追い越し音楽ソフト産業に変革をもたらしました。さらに大賀は、CD技術を拡大発展させることにより、MD、CD−ROM、DVDなど、各種光記録メディアの商品化に大きく貢献し、家庭電子機器産業、音楽ソフト産業、さらにコンピューターメモリー、ゲームソフト分野にまで大きな変革を及ぼしました。
「車の両輪」としてハードとソフトの両事業を推進
ハードとソフトを「車の両輪」として事業経営すべきとの方針から、大賀は米国CBS社との提携を先頭に立って推進し、68年、CBS・ソニーレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)を設立。自らアーティストを発掘・育成するという、レコード音楽ソフト産業としての新たな経営形態を導入したことにより、同社は創業から10年目の78年に年間売上・利益ともに業界第1位を獲得するまでに成長しました。
また、大賀は音楽に続くソフト戦略として映画分野への事業展開を推進し、89年に米国大手映画会社コロンビア・ピクチャーズを取得し、総合エンタテインメントへの事業拡大の基盤を強化しました。
さらに、大賀はゲームビジネスへの参入を決断。93年に設立したソニー・コンピュータエンタテインメントは、“プレイステーション”の大ヒットによりゲーム業界において確固たる地位を築きました。
業界・民間団体における活動を通じ、日本経済・世界経済の発展に尽くす
大賀は業界団体、民間団体における積極的な活動を通じ、日本経済および世界経済の発展に尽くしました。(社)日本電子機械工業会会長として、86年から10年間継続されてきた日米半導体協定問題を96年に円満に解決したほか、98年に(社)経済団体連合会副会長に就任。行政改革推進委員会委員長や新産業・新事業委員会委員長を歴任し、日本経済の発展に寄与しました。
また、東京商工会議所副会頭として、日本の産業発展と地域経済の振興に尽くすと共に、商工会議所のあり方を模索し、大企業と中小企業が緊密に連携し、新産業の創造を促す場となるよう注力しました。
他方、音楽家であった大賀は、低迷する日本のクラシック音楽界の財政基盤の建て直しに情熱を燃やし、(財)日本音楽芸術振興会の救済に取り組み、自ら理事長に就任しました。名称も(財)ソニー音楽芸術振興会と改め新たな活動を開始。若手音楽家の育成、音楽芸術活動の普及促進など、音楽文化の発展に尽力しました。
こうした社内外における活動により大賀は、88年に藍綬褒章を、2001年には勲一等瑞宝章を受章。
また海外からはフランス最高の勲章であるレジオン・ド・ヌールをはじめ、ドイツ、イタリア、オーストリアなど世界各国から勲章を授与されています。
ソニー株式会社 代表執行役 会長 兼 社長 CEO ハワード・ストリンガーのコメント
大賀さんは、私が入社した1997年当時、会長兼CEOとして第一線でご活躍でした。大賀さんのソニーにおける偉大なお仕事の数々はかねてより聞き及んでいましたので、そのもとで働けることを光栄に思いました。
大賀さんは、これまでの日本企業が成し遂げられなかったハードとソフトの両事業の経営に着目し、そして実際に成功に導いた類稀な経営者でした。ソニーがAV機器を中心とした事業形態から、映画、音楽、ゲームと幅広くビジネスを拡大し、世界的なエレクトロニクス&エンタテインメント企業に変貌を遂げたのは、大賀さんの多大な功績といえましょう。
ここに、大賀さんのご逝去を悼み、謹んでご冥福をお祈りいたします。
以 上