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有機スズ化合物について

スズ化合物環境技術協議会

有機スズ化合物について

Ⅰ.有機スズ化合物とは  
 

有機スズ化合物とは、4価のスズ原子に少なくとも一つの炭素原子(有機基:R)が結合している下記の4つのタイプをいいます。

RSnX SnX SnX Sn
(モノ有機スズ) (ジ有機スズ) (トリ有機スズ) (テトラ有機スズ)

 特にこの中でも、有機基がメチル基、n-ブチル基、n-オクチル基であり一つもしくは二つの有機基がスズ原子に結合している RSnX及びRSnXタイプの有機スズ化合物は、世界中で塩化ビニル樹脂を始めとしたハロゲン含有樹脂用の熱安定化剤を主体に、触媒、ガラス被覆剤などに広く使用されています。

 日本では、これらのRSnX

及びRSnXタイプの有機スズ化合物は全体の90%程度がハロゲン含有樹脂用の熱安定化剤(有機スズ安定剤)として使用されています。
 また、RSnタイプの有機スズ化合物はRSnXやRSnXタイプの有機スズ化合物の原料として使われていますが、RSnXタイプのトリオルガノスズ化合物は毒性や環境への影響の問題から、現在日本においては製造並びに使用しておりません。

Ⅱ.日本における
有機スズ安定剤の歴史
 
  1940年に日本で最初の塩化ビニル樹脂の生産が開始された後1950年代初めまでは輸入品の有機スズ安定剤が使われていました。
1953~4年になり国内メーカーによるジブチルスズ安定剤の生産が始まり1960年代末にはFDA(Food and Drug Administration、米国:食品医薬品局)規格に適応するオクチルスズ安定剤の製造・販売も始まりました。
その後、メチルスズ安定剤やリバースメルカプトエステル安定剤も上市されています。
現在、TETA会員会社9社はこれらの有機スズ安定剤もしくは触媒を
製造・販売しています。
Ⅲ.有機スズ化合物の用途  
  有機スズ化合物の主な用途としては、次のものが挙げられます。

①ハロゲン含有樹脂用熱安定化剤
(塩化ビニル樹脂、塩素化塩ビ樹脂、塩素化ポリエチレンなど)
②ハロゲン系難燃剤含有樹脂用熱安定化剤
③エステル化触媒、エステル交換用触媒
④ポリウレタン用硬化触媒、シリコーン用硬化触媒
⑤電着塗料用触媒
⑥ガラス被覆剤
⑦ゴム用改質剤

Ⅳ.有機スズ安定剤の種類  
  代表的な有機スズ安定剤には、次のようなものがあります。(○印:商品化)
なお、具体的な製品につきましては、会員会社までお問い合わせください。
Ⅴ.塩化ビニル樹脂用
有機スズ安定剤の特徴
 
 
マレエート系安定剤: 有機スズマレイン酸エステル塩(液体、粉体)
有機スズマレイン酸塩(粉体)など
メルカプト系安定剤: 有機スズメルカプトカルボン酸エステル塩(液体)
有機スズメルカプトカルボン酸塩 (粉体)
有機スズリバースメルカプトエステル塩(液体)など
脂肪酸系安定剤: 有機スズ脂肪酸塩(液体、粉体)

の一般的な特徴は次のようになります。

Ⅵ. 有機スズ安定剤を使用
する塩化ビニル樹脂製品
 
  ①硬質透明フィルム及びシート
②硬質射出成型ブローボトル
③押出パイプ及び射出成型継手
④硬質工業用プレス板及び押出板
Ⅶ.出荷量  
  日本国内の有機スズ安定剤の出荷量は次の通りです。(4月~3月)
Ⅷ.触媒用途  
  触媒用途に使用される主な有機スズ化合物には次のようなものが挙げられます。

①脂肪酸塩系(通常C8~C22と酢酸)
②オキサイド系
③クロライド系
④マレートエステル系
⑤アルコキサイド系
⑥オクチル酸第一スズ(有機スズとはしない場合がある)