NVIDIA、モバイル機器向け「Tegra」の高性能ぶりをアピール
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NVIDIAは同社のモバイル機器向けプロセッサー「Tegra 2」について、メディア向け説明会を開催した。
2011年のハイエンドスマートフォン/タブレットで
採用例が増加している NVIDIA「Tegra 2」
Tegraシリーズは、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器ですでに支配的な地位を占めるARMコアを採用するとともに、GeForceベースのGPUや周辺回路などを統合したSoC(System-on-a-chip)である。NVIDIA製品らしく、3D機能を始め、非常に高い性能を持つチップとして、2008年の初代モデル発表以来、大きな注目を集めていた。
このTegraを搭載した製品はリリース当初はなかなか増えなかったが、2011年に入ってからはAndroid 3.0(Honeycomb)搭載タブレットの開発プラットフォームとしてTegra 2が採用されたほか(国内で発売されたHoneycombタブレットであるLG「Optimus Pad」/モトローラ「XOOM」ともにTegra 2を搭載する)、LG「Optimus 2X」などハイエンドスマートフォン/タブレットにおいて、採用例が相次いでいる。
今回の説明会においても、一番強調されたのがやはりこの性能面だ。Tegra2は、“スマートフォン”を“スーパーフォン”にする「スーパーチップ」と命名。メインコアにはARM「Cortex-A9」をデュアルで搭載するとともに、HDビデオエンコーダー/デコーダーやGeForce GPU、オーディオなど各種用途に最適化されたコアを多数用意する「ヘテロジニアスマルチコア」と紹介した。
デュアルコア化で
モバイルデバイスに欠かせない省電力化も実現
デュアルコア化や強力GPUの搭載は、ウェブブラウジングを始めとする操作の快適化、3Dゲームでの詳細な描画などを実現したが、一方で省電力にも優位であるとする。
半導体の消費電力は「動作クロック×コア数×動作電圧2」で計算できる。しかし、モバイルデバイスに搭載されるCPUがデュアルコア化され、さらにOSもデュアルコアに最適化されれば、コア数が2つになったとしても、1コア時より低クロック/低電圧での動作が可能になり、合計ではより少ない電力で処理できるというわけだ。
また同社はこのTegra 2の訴求点として、ゲームを積極的にプッシュしている。スマートフォン上でも本格的にゲーム市場が立ち上がりつつあるが、Tegra 2の性能があれば既存のスマートフォン用ゲームのイメージを大きく上回る3D表現が可能である。しかし、既存のAndroidマーケットでは、どれがTegraシリーズに最適化されたタイトルかを判別するのは困難だ。そこで同社では「Tegra Zone」と名付けられたアプリマーケットを用意し、そのようなゲームの情報をゲーマー向けに提供している。
高い処理能力や3D性能が
今後ますますモバイル機器に求められる
なお本稿の冒頭にも書いた、2011年になってTegraの採用例が急増した点については、質疑応答時に1つの回答が出された。それは「市場のニーズが我々に近づいてきた」というものだ。
クアルコム/Ti/Samsungなどモバイル機器向けプロセッサーでライバルとなる他企業は、以前から携帯電話向けのチップを提供しており、スマートフォンの高機能化とともに、チップの性能を“下から上”へとアップさせてきた。一方のNVIDIAは、ワークステーションやPC向けに開発してきた機能を、モバイルへと“上から下”に落としこんでいるという点で大きな違いがあると語る。
スマートフォンやタブレットが一般に受け入れられるようになって以降、ユーザーはモバイル機器に対して、より複雑な処理や快適な動作を求めるようになった。そんなユーザー側の要求の高まりとNVIDIAの“上から下”への落としこみが交わったのが2011年というわけだ。
これからもユーザーによるモバイル機器への要求はますます高まることが予想でき、Tegraシリーズに代表されるモバイル機器向けプロセッサーの進化についても目が離せないと言えるだろう。