もんじゅ敷地内の試験研究炉 地元雇用や経済効果は不明:朝日新聞
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もんじゅ敷地内の試験研究炉 地元雇用や経済効果は不明
小田健司2023年3月14日 11時00分
高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市、廃炉作業中)の敷地内に計画されている試験研究炉について、文部科学省がこのほど、施設の運営方針案などを福井県に伝えた。1万キロワット未満の中出力炉で中性子を使った研究・開発を行う。地元の雇用や経済効果は不明だが、知的財産分野に限ると運転から20年後は年間90億円程度の経済効果があると同省は説明している。
原子力の人材育成や中性子の利用技術の産業応用を目指す。茨城県東海村にある研究用原子炉「JRR3」の半分の出力で同等の性能が得られる設計にする考えだ。付帯施設として実験装置も整備することを検討している。
もんじゅは約1千人の雇用を生んでいたとされる。新しい炉はどうか。
原子炉の運転や管理に80~90人、実験装置の利用と管理に100人程度が関わる見通しだと明らかにしたが、これらは地元の雇用を想定していないという。
敦賀市はもんじゅと同程度の雇用の維持を求めているが、新しい研究炉の運転開始時期や運転期間なども定まっておらず、地元での雇用や経済効果の見通しは立っていない。
3日に県庁で文科省の説明を受けた桜本宏副知事は「この炉にしかない独自の実験装置や機能を整備し、より大きな経済効果が創出できるよう検討を進めてほしい」などと求めた。
日本原子力研究開発機構などが今後、より詳細な事業計画を立て、2024年度中に設置許可申請の見込み時期を絞り込む予定だ。
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この記事を書いた人
- 小田健司
- 神戸総局|事件・調査報道担当
- 専門・関心分野
- 権力監視、原発、公共事業、ボブ・ディラン