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耳石微量元素分析に基づいたニゴイ類の塩分環境経験の証拠

  • ️Fri Oct 18 2024

抄録

感潮域に生息するニゴイ類が塩分環境を経験しているのかを明らかにするため,三重県宮川の感潮域で採捕したニゴイ類を用いて耳石微量元素分析を実施した.分析した成魚7 個体のうち1 個体は,耳石中心から縁辺部まで一貫して低い耳石Sr: Ca 比を示したことから,一生を淡水環境で生活したと考えられた.他の6 個体は,耳石中心から縁辺部までの間で耳石Sr: Ca 比が上昇し,変動したことから,塩分環境を経験したと考えられた.いずれの個体も,中心付近は低い耳石Sr: Ca比を示したことから,孵化後しばらく淡水域で生活した後,塩分のある水域に降下したものと推察される.また,縁辺部のみ高い耳石Sr: Ca比を示した個体,耳石中心から縁辺部までの中ほどで耳石Sr: Ca比が上昇し縁辺部まで高い値を維持した個体,1 度耳石Sr: Ca 比が上昇したが再び縁辺部では低い値を示した個体が存在した.このように耳石Sr: Ca 比の変動パターンは個体によって様々であったことから,個体によって塩分環境利用様式が異なることが推察されるほか,成魚も塩分のある水域で生活していると考えられた.本研究によりニゴイ類が塩分のある環境で生息することが明らかになった.