あんのこと : 作品情報 - 映画.com
- ️Fri Feb 14 2025
あんのこと
劇場公開日:2024年6月7日
解説
「SR サイタマノラッパー」「AI崩壊」の入江悠が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。
売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。
「少女は卒業しない」の河合優実が杏役で主演を務め、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。
2024年製作/113分/PG12/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年6月7日
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
受賞歴
詳細情報を表示
“観る楽しさ”倍増する特集をチェック!
インタビュー
関連ニュース
-
「夜明けのすべて」が3冠! 河合優実&横浜流星が主演俳優賞を受賞【第79回毎日映画コンクール】
2025年2月13日 -
第98回キネマ旬報ベスト・テンが決定 「夜明けのすべて」が1位、主演俳優賞は河合優実&松村北斗【受賞一覧】
2025年2月5日 -
【2024年最推し映画】映画.com&ユーザーが厳選した“100本の映画”を発表
2025年2月2日 -
佐藤勝利×髙石あかり「アポロの歌」に西垣匠&森田想&河井青葉ら参戦 1話の場面写真4点も披露
2025年1月22日 -
第48回日本アカデミー賞優秀賞発表 「正体」が最多12部門13の優秀賞【受賞者・作品一覧】
2025年1月21日 -
「室町無頼」主演の大泉洋、心に秘めていたのは三船敏郎 入江悠監督は黒澤明からの影響を明かす
2025年1月8日
映画評論
フォトギャラリー
映画レビュー
並び替え
4.5どうしたら彼女を救えたのか
2025年1月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
彼女がひとつひとつ立てた自分の居場所や、やりがいや、自尊心が、ドミノ倒しのようにバタバタと倒れていく残酷さや無慈悲さに、胸が苦しくなる作品だった。これが実話だなんて…。
彼女を地獄から救ってくれたのも、突き落としたのも、彼女に関わった人々。
学ぶこと、考えることを幼少期の虐待によって奪われた彼女にとって、他人からの影響で簡単に人生を左右されてしまう。それが悲しい。
多々羅刑事が杏を救いたい、助けたいと想う気持ちには嘘は無かったと思いたい。誰かにとっては良い人でも、誰かにとっては悪い人、人間ってそういう生き物なんだと思い知らされた。
コロナ禍を過ごした今、あの時期を振り返ると確かに異常な日々だった。
人と人との繋がりで成り立つ社会で、感染防止を名目に人と人とのコミュニケーションを断ち切ろうとする社会だった。けれど人間は、身体の健康と同じくらい心の健康も大事。身体の健康だけを重視し、心の健康をおざなりにした結果招いた悲劇のように感じた。
あの時、杏のような想いであの日々を過ごした人は、たくさんいたんだろうな。
どうしたら彼女を救えたのか、映画を見た後そればかりを考えてしまう。
1.5ヤッパリ観なければよかった。
2024年9月14日
Androidアプリから投稿
2024年上半期の邦画で非常に評価の高い作品ということで、果たしてあまのじゃくのオレが見ていい映画かどうか迷ったが。
「あんのこと」
・
・
・
ヤッパリ観なければよかった。すまん。
お客様が入ってなんぼ、という意味では大成功で、この映画は「あの花が咲く丘で君とまた出会えたら」と同じく、その成果にはとても感服する。
おそらく製作陣が意識したであろう、過剰に哀れな描写はしないという姿勢とは全く真逆の演技と生活描写が目につく。一方、今生存している人類が二度と経験しないであろう、世紀のコロナ流行に、対処している団体、自治体は描かれない。
各キャラクターそれぞれに深みを持たせない設定、描写は理解するが、カラオケで「ランナウェイ」を歌わせるには、その意味が唯一見出せるであろう歌詞の一節を歌わせなかったり、あえての浮世離れの役者起用で、存在感を薄く設定したキャラクターが、思いっきり腰から崩れる。
ごみ捨てはできないが、児相に電話でき、本人の都合通り対処できる母。児相がその家を訪れた描写がないのは、あえて省略したのだろう。主人公を追い詰めないといけないので、そんな脱線はできない、ということだろう。
ラストの母子家庭の廊下のワンカットに希望を見いだせた人は、素晴らしい人で、うやましい限り。
面会シーンでいうと、両者ともに「良心もあるが等しくクズ」で、言い訳、言い逃れ、といった自己弁護、罪悪感のぶつけ合い、という意味があるなら、成功しているかもしれないが、当時を舞台にするならば、いっそそこだけはコロナのせい、と言ってしまったほうがよかったような気もする。
といったように、本作の各キャラクターに関して、「なぜ」の理由は要らないとは思うが、彼らの「背景」には「なぜ」そして「なぜそうなったか」の問題提起を匂わす描写、あるいは問いかけは絶対に必要だと思ったが、よけいなことは入れずに、「主人公熱演」、「救いのない」といった感想にあふれる結果となったのだから、大成功ですね。