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キキョウ - Wikipedia

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キキョウ

キキョウの花と蕾

分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: キク目 Asterales
: キキョウ科 Campanulaceae
亜科 : キキョウ亜科 Campanuloideae
: キキョウ属 Platycodon
: キキョウ P. grandiflorus
学名
Platycodon grandiflorus
(Jacq.) A.DC. (1830)
英名
balloon flower

キキョウ(桔梗、Platycodon grandiflorus)は、キキョウ科の多年生草本植物山野の日当たりの良い所に育つ。日本全土、朝鮮半島中国東シベリアに分布する。秋の七草の一つで、七草の朝顔をキキョウとする説[1]のほかに、ムクゲやアサガオを当てる説もある。

は太く、黄白色。草丈は50-100cm程度[2]は一般には互生で先は尖っており縁に鋸歯がある[2]。下面はやや白みがかっている。

季語であるが、実際の開花時期は六月中旬の梅雨頃から始まり、を通じて初秋の九月頃までである。つぼみが徐々にから青紫にかわり裂けて星型の花を咲かせる。雌雄同花だが雄性先熟であり、まず雄しべが成熟して花粉が出て(雄花期)、その後に雌しべが開き柱頭が受粉可能になる(雌花期)[2]。これは他家受粉の可能性を高めるための仕組みで、キキョウは雄性先熟の特徴を観察しやすい植物である[2]。花冠は広鐘形で五裂、径4-5cm、雄しべ・雌しべ・花びら(花弁)はそれぞれ5つである[2]

なお、園芸品種には白色桃色の花をつけるものや、鉢植え向きの草丈が低いもの、二重咲きになる品種やつぼみの状態のままほとんど開かないものなどがある。

  • キキョウの花(雄性先熟の雌花期)

    キキョウの花(雄性先熟の雌花期)

  • 同、雄性先熟の雄花期(雌花の柱頭がまだ開いていない)

    同、雄性先熟の雄花期(雌花の柱頭がまだ開いていない)

  • つぼみ

    つぼみ

  • 白い花もある

    白い花もある

属名Platycodon は「広い釣鐘」を意味する[2]種小名grandiflorus は「大きな花の」という意味である[2]

なお、つぼみが風船のような形状であるため "balloon flower" という英名を持つ[2]

キキョウの根

キキョウの一種Platycodi Radix は根にサポニンオレアナントリテルペンサポニン)を多く含み、生薬として利用される。日本薬局方では桔梗根、キキョウと表記する[2]。生薬は根が太く内部が充実し、えぐ味の強いものが良品とされる。主な産地は韓国北朝鮮中国である。

鎮咳去痰、排膿作用があるとされる[2]。代表的な漢方処方に桔梗湯(キキョウ+カンゾウ)がある[2]。炎症が強い場合には石膏と桔梗の組み合わせがよいとされ、処方例として「小柴胡湯加桔梗石膏」(しょうさいこかききょうせっこう)がある[2]桔梗石膏も参照)。

処方薬に鎮咳去痰の清肺湯竹筎温胆湯参蘇飲などの漢方方剤がある[2]。1980年代末に抗腫瘍作用の考察があった[5]。また1990年代末には耐糖能の研究がある[6]

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主に: 栽培種として存続すること、品種の説明をお願いします。 2025年2月

植物体再生の研究が進む[7][8][9]

また漢方薬の素材として栽培される[10][11][12][13][14]

万葉集」で、山上憶良が詠んだ歌のうちの「朝貌(あさがお)の花」は本種を指す[18]

萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花
姫部志 また藤袴 朝貌の花

—山上憶良(巻八 1538)

俳句では秋の季語となっている。夏目漱石の作品がある[19]

佛性は白き桔梗にこそあらめ

—夏目漱石

朝鮮民謡トラジの主題はキキョウ(トラジ)[20][21]

花の形

花の形から「桔梗紋」が生まれた。桔梗紋[22]を紋所にした武家は美濃山県氏[23][24]土岐氏[25]一族が著名で、その土岐氏一族に連なる明智光秀も「土岐氏の〈水色桔梗紋〉」に由来する[23]桔梗紋を使ったとされる。

越中砺波新湊高岡[26])にも分布し、また岡山県南西部の旧六条院町(現在の浅口市)は紋章を決めるまで、どの大名家の系図すなわち紋章を優先するか議論があった[27]

能装束にあしらわれ[28]、現代も家紋として続き、着物ほか[29]に使われる。

現在の晴明神社神紋とする桔梗印は、元来、安倍晴明が使用した五芒星を指す。

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

Status jenv VU.svg

Status jenv VU.svg

自生株は近年減少傾向にあり絶滅が危惧されている[30][31][32]

50音順。

  1. ^ 有岡 利幸『秋の七草』法政大学出版局〈ものと人間の文化史〉、2008年。CRID 1130000794225761280
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 薬草園だより Vol.2018-2019.秋冬号(第10刊)”. 神戸学院大学薬学部附属薬用植物園. 2020年3月8日閲覧。
  3. ^ 久保 道徳「桔梗の免疫薬理学的研究(第1報) : マウス貧食能に及ぼす影響」『生薬学雑誌』第40巻第4号、日本生薬学会、東京、1986年12月、367-374頁、CRID 1520290882851460480ISSN 0037-4377掲載誌別題『The Japanese journal of pharmacognosy』
  4. ^ 長尾 孝治「桔梗の免疫薬理学的研究(第2報) : キキョウイヌリンの抗腫瘍作用」『生薬学雑誌』第40巻第4号、日本生薬学会、東京、1986年12月、375-380頁、CRID 1520853834173847040ISSN 0037-4377
  5. ^ 抗腫瘍作用を含めた考察「桔梗の免疫薬理学的研究」[3][4]
  6. ^ 我妻恵、佐藤 玄徳、湯村 和博、豊田 隆謙「28A-06 桔梗湯による耐糖能の変動」『和漢医薬学会大会要旨集』第16号、和漢医薬学会大会、1999年8月2日、42頁、国立国会図書館書誌ID:104006202025年2月28日閲覧著者は仙台逓信病院第二内科、東北大学医学部第三内科に所属。
  7. ^ 細木高志、持田 将一「キキョウ(Platycodon grandiflorum A.DC.)の茎切断および側枝の分離繰り返し法によるin vitroの繁殖」『生物環境調節』第33巻第3号、1995年9月、213-216頁、CRID 1520854805475625344ISSN 0582-4087
  8. ^ 細木 高志; 持田 将一 (1995). “キキョウ(Platycodon grandiflorum A. DC.)の茎切断および側枝の分離繰り返し法によるin vitro繁殖”. 生物環境調節 33 (3): 213-216. CRID 1390001205079878144. doi:10.2525/ecb1963.33.213. ISSN 0582-4087.
  9. ^ 霞 正一; 鈴木 一典; 郷内 武; 野木 光子; 山田 哲也; 高津 康正 (2006). “キキョウ花蕾子房からの不定芽形成と植物体再生”. 園芸学会雑誌 75 (3): 284-286. CRID 1390001206301356672. doi:10.2503/jjshs.75.284. ISSN 0013-7626.
  10. ^ 細田 勝子; 野口 衛 (1989-12). “キキョウの栽培と調製に関する研究(I): 肥料,水分,土壌温度の成長に及ぼす影響”. 生薬学雑誌 = The Japanese journal of pharmacognosy 43 (4): 271-278. CRID 1520853834036198272. ISSN 0037-4377.
  11. ^ 宋元林; 阮盛祥; 宋海瀚, eds (2001). 特种蔬菜栽培. 中药菜用蔬菜. 枸杞・桔梗・薄荷・食用大黄・车前・[rang]荷・款冬・藿香・[han]菜・龙牙[song]木 (1 ed.). Beijing Shi: 科学技术文献出版社.電子書籍。編集者姓名のローマ字転写はSong Yuanlin、Ruan Chengxiang, Song Haihan。
  12. ^ 王良信; 冯学锋; 王芳, eds (2002) (中国語) (1 ed.). Beijing Shi: 科学技术文献出版社.電子書籍。副編集者姓名のローマ字転写はXuefeng Feng、Fang Wang。
  13. ^ 細田 勝子; 野口 衛 (1990-06). “キキョウの栽培と調製法に関する研究(II): 土壌強制通気の成長に及ぼす効果”. 生薬学雑誌 = The Japanese journal of pharmacognosy 44 (2): 88-94. CRID 1520853834415631232. ISSN 0037-4377.
  14. ^ (中国語) 中药材种植技术 (1 ed.). Beijing: 中国轻工业出版社. (2021). OCLC 1343569114
  15. ^ 佐世保市立図書館(2300056)(管理番号 : R1001624) (2020年9月15日). “質問:「秋の七草」の出典が知りたい。また、七草がどんな植物なのか見たい。”. レファレンス協同データベース(レファ協):レファレンス事例詳細. 国立国会図書館. 2025年2月28日閲覧。
  16. ^ 『萬葉集二』佐竹昭広/[ほか]編集委員(岩波書店〈新日本古典文学大系 2〉、2000年)
  17. ^ 亀田龍吉/写真・文『雑草の呼び名事典』(世界文化社、2012年)
  18. ^ 佐世保市立図書館の資料検索補助によると[15]、「秋の七草」の出典は万葉集[16]。実際の植物の形は、七草の写真を掲載した資料[17]がある。
  19. ^ 寺田 寅彦『漱石俳句研究』岩波書店、大正14、8頁(コマ番号9), 309頁(コマ番号165)頁。NDLJP:1018152
  20. ^ 藤原 義江 [テノール]『桔梗(トラジ)』ビクターエンタテインメント、1941年4月。国立国会図書館書誌ID:1330140歴史的音源、れきおん参加館/国立国会図書館内で公開。収録時間 : 02分30秒、声楽(独唱)、商品番号 : A-9520。デジタル変換(2009年9月9日)、ノイズ除去 : ノイズ除去なし。受理日:2011年2月15日)。
  21. ^ 藤原義江『桔梗(トラジ)・天安三街里(チョンナンサンゴリ)』日本ビクター蓄音器、[19--]。国立国会図書館書誌ID:000010788495。「獨唱(朝鮮民謠)」
  22. ^ 丹羽基二「桔梗紋」『神紋総覧』講談社〈講談社学術文庫 ; 2357〉、2016年3月。ISBN 978-4-06-292357-6国立国会図書館書誌ID:027138818『神紋』(秋田書店、1974年)の改版改題。
  23. ^ a b 山県市 携帯ホームページ”. warp.ndl.go.jp. 山県市. 2025年2月28日閲覧。
  24. ^ 美山銅器ぐい吞み(桔梗紋入)”. 山県市ホームページ. 山県市. 2025年2月28日閲覧。
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  26. ^ 能坂利雄「越中の家紋 §桔梗紋」『日本史の原像』新人物往来社、1971年、208-頁。NDLJP:9522568。「(前略)桔梗紋の分布は婦負、砺波、新湊、高岡(後略)」
  27. ^ 『六条院町誌』六条院町、1949年。NDLJP:3008678。「(前略)は桔梗紋と云う様な系図争いをしていたのは封建時代のこと、今日の紋章は祖先の好尚の現われと(攻略)」
  28. ^ 斎藤芳之助『能装束模様百佳選』 第7巻、能楽書院、大正9、コマ番号3(目次)、同4(本文)頁。NDLJP:1014748。「赤地に鞘形、菊、桔梗紋狩衣(伯爵 藤堂家珍蔵)」
  29. ^ 大蔵省印刷局(編)「行旅死亡人」『官報』1937年03月19日(昭和12年)、日本マイクロ写真、1937|id=NDLJP:2959544、562(コマ番号16)、2025年2月28日閲覧。「住所氏名不詳女性推定年齢70歳前後(中略)黒縮緬桔梗紋付 仕立直シ」
  30. ^ 中村 徹「草原の科学への招待」2007年10月。
  31. ^ 井上 太貴、=岡本 透、田中 健太「1722-2010年にわたる菅平高原の草原面積変遷の定性・定量分析:国立公園内の草原減少の実態」『保全生態学研究』第26巻第2号、2021年12月31日、219–228頁、doi:10.18960/hozen.2041
  32. ^ 根本正之『在来植物の多様性がカギになる : 日本らしい自然を守りたい』岩波書店〈岩波ジュニア新書 ; 969〉、2023年6月。ISBN 978-4-00-500969-5国立国会図書館書誌ID:032832007。「キキョウの咲くススキ群落の復元」
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文化

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