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クリティアス (対話篇) - Wikipedia

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クリティアス』(: Κριτίας: Critias)は、プラトンの後期対話篇の1つであり、『ティマイオス』の続編。未完。副題は「アトランティスの物語」。

年代不詳、ある年のパナテナイア祭が行われている夏のアテナイの、ソクラテスの家にて[3]

ティマイオス』におけるティマイオスの話が終わった直後から、話が始まる。次にクリティアスが、『ティマイオス』でも触れたアトランティスの話について、詳細を述べていくことになる。が、中断、未完となっている。

作中、クリティアスが話をはじめる前のやり取りの中で、クリティアスの次にはヘルモクラテスにも話をしてもらうことが予告されているので[4]、本篇の続編として、『ヘルモクラテス』という対話篇が予定されていたことが分かる。

『ティマイオス』の流れを受け、クリティアスが「アトランティス伝説」の詳細を語り始める。

まず先に、全大地の内、アテナヘパイストスに分配された9000年前のアテナイについて語られ、それは現在(古代当時)のアテナイよりも肥沃で広大な土地を持ち、ソクラテスの理想国家論のように職人、農民、国の守護者たる軍人階層などに分かれ、正しい統治が行われ、その徳は周辺地域へと知れ渡っていたと説明される。

続いて、ポセイドンに分配された大島・アトランティス島について語られ、ポセイドンが原住民の女性を娶って5組の双子の男児をもうけ、その10人を各地を治める王とし、その10人の王権の下、アトランティスは莫大な富と覇権を築いて繁栄したこと、しかし代を経るごとに王たちは神性(徳)を失っていったので、ゼウスが彼らを懲らしめようとしたことなどが説明されるが、そこで記述は中断し、未完に終わっている。

そこでゼウスは、神々のもっとも尊敬する住い、すなわち全宇宙の中心に位置を占め、世に生ずるすべてのことを照覧したもうあの住まいへと神々を残らずお集めになり、神々が集まって来られると、申された……。[以下、中断] — プラトン『クリティアス』121c[5]

  1. ^ ティマイオス』20A
  2. ^ プラトン全集12 岩波書店 pp255-256
  3. ^ ティマイオス』20C, 21A
  4. ^ 『クリティアス』108A-C
  5. ^ プラトン 著、田之頭安彦 訳、田中美知太郎, 藤沢令夫 編『プラトン全集 12』 12巻(4版)、岩波書店〈プラトン全集〉、1987年5月、249頁。ISBN 4-00-090422-12025年3月3日閲覧

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英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。