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ジャック・スミス (弁護士) - Wikipedia

  • ️Thu Jun 05 1969

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ジャック・スミス
Jack Smith

2023年

アメリカ合衆国司法省特別検察官（英語版）
任期
2022年11月18日 – 2025年1月10日
任命者メリック・ガーランド
テネシー州中部地区（英語版）連邦検事（英語版）
代行
2017年3月14日 – 2017年9月21日
大統領ドナルド・トランプ
前任者デヴィッド・リヴェラ
後任者ドナルド・Q・コクラン（英語版）
個人情報
生誕John Luman Smith
1969年6月5日（55歳）
政党無党派[1]
配偶者
子供1人
教育

ジョン・ルーマン・スミス（John Luman Smith, 1969年6月5日 - ）は、アメリカ合衆国司法省で連邦検事補（英語版）、連邦検事（英語版）代理、同省公職健全性部門（英語版）責任者を歴任したアメリカ合衆国の弁護士である。コソボ紛争の戦争犯罪（英語版）の調査・追訴を任務とするハーグの国際法廷であるコソボ特別法廷（英語版）の主任検察官も務めた。

2022年11月、スミスは司法長官のメリック・ガーランドにより独立特別検察官（英語版）に任命され、ドナルド・トランプ元大統領に対する司法省の既存の2件の容疑の捜査（議会議事堂襲撃事件と機密文書を含む政府記録の不正処理疑惑（英語版））の捜査責任者となった。文章事件に関してトランプは2023年6月に37件の罪状（英語版）で起訴され、さらに同年7月に3件が追加された[2]。8月には議事堂襲撃事件に関して4件（英語版）の訴追がなされた[3]。

スミスは1969年6月5日に生まれ[4]、ニューヨーク州シラキュース郊外のクレイ（英語版）で育った[5][6]。1987年にリヴァプール高校（英語版）を卒業した[7]。高校時代の彼はフットボールと野球に打ち込んだ[8]。その後はニューヨーク州立大学オニオンタ校（英語版）で政治学を学び、1991年にスンマ・クム・ラウデで学士号を取得した[8][9][10]。さらにその後はハーバード・ロー・スクールで学び、1994年にクム・ラウデで法学博士号を取得した[6]。

ロー・スクールを卒業後、マンハッタン地方検事（英語版）局に入局して地方検事補（英語版）を務めた。彼は検事局で性犯罪・ドメスティックバイオレンスを担当した[11]。1999年にニューヨーク東部地区連邦地方裁判所（英語版）連邦検事局（英語版）に入局した。ブルックリンを拠点とする事務所の連邦検事補（英語版）としてアブナー・ルイマ（英語版）に残忍な性的暴行を加えた警察官を起訴し、またニューヨーク市警察の2人の警察官を殺害したロネル・ウィルソン（英語版）を死刑判決に導いた（後者は後に減刑された）[6][12][13]。

2008年から2010年までスミスはオランダのハーグにある国際刑事裁判所の検察局（英語版）で捜査調整役を務めた[14][13]。同職で彼は戦争犯罪や大量虐殺罪に問われた政府職員や民兵の裁判を監督した[6][12]。2010年にスミスはアメリカ合衆国に戻り、司法省の公職健全性部門（英語版）（PIN）の責任者となった[5][13]。彼が最初に担当したのは進行中の捜査状況を評価することであり、数人の議員に対する終結を勧告した[6][注釈 1]。彼は5年間PINの責任者を務め、バージニア州知事のボブ・マクドネル、連邦下院議員のリック・レンツィ（英語版）、ニューヨーク州下院議長のシェルドン・シルヴァー（英語版）、国家機密を共有した中央情報局職員のジェフリー・スターリング（英語版）などの様々な汚職事件を起訴した[15][13]。

テネシー州中部地区連邦検事代行のスミス（2017年）

2015年、スミスはナッシュビルのテネシー州中部地区連邦地方裁判所（英語版）で連邦検事補となった[16][13]。彼はデヴィッド・リヴェラの辞任に伴い2017年に連邦検事代行となり、ドナルド・Q・コクラン（英語版）が指名されると2017年9月付けで辞任した[17]。2017年にスミスはホスピタルコーポレーション・オブ・アメリカの副社長兼訴訟責任者となった[18]。

2018年5月7日、スミスはハーグのコソボ特別法廷（英語版）の主任検察官に4年任期で任命され、サルヒ・ムスタファ（英語版）の事件を含むコソボ紛争の戦争犯罪（英語版）を捜査した[11][12][16][19]。彼は2018年9月11日に着任し、2022年5月8日に2期目に任命されたが、2022年11月18日に退任した[20]。

司法省が撮影したマー・ア・ラゴのバスルームの書類箱

2022年11月18日、アメリカ合衆国司法長官のメリック・ガーランドは2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件に関するドナルド・トランプの行動とマー・ア・ラゴ邸の機密文書を含むトランプの政府記録の取り扱いと保管に関する犯罪（英語版）の捜査を監督させるためにスミスを特別検察官（英語版）に任命した[12][15][21][22]。当時のスミスはサイクリング中にスクーターにはねられて負傷した足の骨折を癒やしつつオランダで働いていた[6]。2023年1月初旬までにスミスはアメリカに戻った[23]。

2023年6月8日、大陪審（英語版）は7つの連邦犯罪容疑でトランプを起訴（英語版）した。現職または元大統領が連邦犯罪容疑で起訴されるのはアメリカ史上初めてのことであった[24]。8月1日、トランプは大陪審により2020年アメリカ合衆国大統領選挙の覆そうとした（英語版）件と議会議事堂襲撃事件での行動に関する4件の連邦犯罪でさらに起訴（英語版）された[3]。

2024年7月15日、フロリダ州連邦地裁の判事は、スミスが違法に任命され起訴する権限を持たないとして、機密文書不正保管に関する起訴を棄却した[25]。8月26日、判断を不服とし控訴した[26]。

同年11月25日、同月5日の大統領選挙でトランプが勝利したことを受け、起訴取り下げを連邦裁判所に申請した。裁判所に提出した文書で、現職の大統領を在任中に起訴・訴追しないという司法省の従来の方針が、次期大統領に就任するトランプに「適用される」と説明。一方で「起訴の是非に関する政府の立場は変わっていない」とも指摘し、起訴したことの正当性を強調した[27]。2025年1月10日に特別検察官を辞任した[28]。

  • アメリカ合衆国司法長官賞[29]
  • アメリカ合衆国司法長官功労賞[30]
  • 連邦法曹協会若手連邦弁護士賞[30]
  • 東部地区協会チャールズ・ローズ賞[29]
  • ニューヨーク郡法曹協会ヘンリー・L・スティムソン・メダル[29]
  • ハーバード・ロー・スクール・ワッサースタイン・フェローシップ[31]

スミスは30代半ばで水泳を始めた競技トライアスリートである[32][33]。彼はこれまでに100以上のトライアスロンを完走し、少なくとも世界中で9回のアイアンマンレースに参加している[34]。2021年に彼はドキュメンタリー映画作家のケイティ・シェヴィニー（英語版）と結婚した[35][36]。夫婦は娘を1人もうけている[33]。夫婦は2018年からオランダに住んでいたが[8]、スミスが特別検察官に任命された直後の2022年12月にワシントンD.C.に引っ越した[4]。

  1. ^ スミスは上院議員のジョン・エンサイン（英語版）、下院議員のトム・ディレイ、ジェリー・ルイス（英語版）、アラン・モロハン（英語版）に対する捜査を打ち切るように勧告した[6]。
  1. ^ Tucker, Eric; Balsamo, Michael (2022年11月18日). “Merrick Garland names special counsel to oversee Trump classified documents probe: 'The extraordinary circumstances here demand it'”. Fortune 2022年11月21日閲覧。
  2. ^ “Special counsel brings more charges against Donald Trump in Mar-a-Lago classified documents case” (英語). CNN (2023年7月27日). 2023年7月28日閲覧。
  3. ^ a b Gannon, Tierney Sneed,Marshall Cohen,Zachary Cohen,Devan Cole,Hannah Rabinowitz,Katelyn Polantz,Casey (2023年8月1日). “Donald Trump has been indicted in special counsel's 2020 election interference probe | CNN Politics” (英語). CNN. 2023年8月2日閲覧。
  4. ^ a b Thrush, Glenn (2023年6月8日). “Who Is Jack Smith, the Special Counsel Who Indicted Trump?”. The New York Times 2023年6月11日閲覧。
  5. ^ a b Yost, Pete (2010年8月30日). “DOJ's elite Public Integrity unit gets new leader”. The San Diego Union-Tribune. Associated Press 2022年11月19日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g Savage, Charlie; Feuer, Alan (2022年11月19日). “In New Special Counsel, a Prosecutor Schooled in Corruption Cases”. The New York Times 2022年11月21日閲覧。
  7. ^ Casey, Ashley M. (2022年11月18日). “Liverpool grad named special counsel to oversee Trump investigations”. Eagle News Online 2022年11月19日閲覧。
  8. ^ a b c Eisenstadt, Marnie (2022年12月14日). “How Jack Smith went from Liverpool football bench to a starring role in Trump investigation” (英語). syracuse.com 2022年12月14日閲覧。
  9. ^ Keller, Aaron (2022年11月18日). “Special Counsel Tapped by Merrick Garland to Investigate Trump Formerly Prosecuted Top Democrats and Republicans”. Law & Crime. 2022年11月19日閲覧。
  10. ^ Scott, Eugene (2022年11月18日). “Who is Jack Smith, special counsel in Trump criminal investigation?”. The Washington Post 2022年11月18日閲覧。
  11. ^ a b “Specialist Prosecutor” (英語). Kosovo Specialist Chambers & Specialist Prosecutor's Office (2016年5月20日). 2022年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月18日閲覧。
  12. ^ a b c d “Who is Jack Smith, the special counsel named in the Trump investigations” (英語). CNN (2022年11月18日). 2022年11月19日閲覧。
  13. ^ a b c d e “Who Is Jack Smith, the New Special Counsel?”. The New York Times (2022年11月18日). 2022年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月8日閲覧。
  14. ^ “Jack Smith”. United States Department of Justice (2015年4月14日). 2022年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月2日閲覧。 “From 2008 to 2010, Jack served as Investigation Coordinator in the Office of the Prosecutor at the International Criminal Court (ICC) in the Hague, Netherlands.”
  15. ^ a b Gerstein, Josh; Cheney, Kyle (2022年11月18日). “Garland names Jack Smith special counsel for Trump criminal probes” 2022年11月18日閲覧。
  16. ^ a b Jones, Dustin (2022年11月18日). “Who is DOJ Special Counsel Jack Smith?”. NPR. 2022年11月18日閲覧。
  17. ^ Barchenger, Stacey (2017年8月4日). “Jack Smith to resign from Nashville federal prosecutor's office”. The Tennessean 2022年11月18日閲覧。
  18. ^ "US Prosecutor Jack Smith appointed Specialist Prosecutor". Kosovo Specialist Chambers & Specialist Prosecutor's Office (Press release). 4 May 2018. 2022年11月21日閲覧。
  19. ^ Berg, Stephanie van den (2021年9月15日). “Ex-rebel denies war crimes as Kosovo tribunal starts first trial” (英語). Reuters 2022年11月19日閲覧。
  20. ^ “Former Specialist Prosecutors” (英語). Kosovo Specialist Chambers & Specialist Prosecutor's Office (2023年6月10日). 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  21. ^ “Garland Names Special Counsel for Trump Inquiries”. The New York Times (2022年11月18日). 2022年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月19日閲覧。
  22. ^ "Appointment of a Special Counsel". U.S. Department of Justice (Press release). 18 November 2022. 2023年6月10日閲覧。
  23. ^ Stein, Perry; Barrett, Devlin (2023年1月3日). “Jack Smith returns to U.S. weeks after becoming Trump special counsel” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286 2023年4月27日閲覧。
  24. ^ “Trump indicted on seven criminal counts in classified documents case”. CNBC (2023年6月8日). 2023年6月8日閲覧。
  25. ^ “トランプ氏の機密文書持ち出し、起訴棄却 司法省は上訴へ”. ロイター. (2024年7月16日) 2024年12月7日閲覧。
  26. ^ “トランプ氏起訴棄却で控訴　機密文書不正保管事件―米検察”. 時事通信. (2024年8月27日) 2024年12月7日閲覧。
  27. ^ “トランプ氏の起訴取り下げ 20年大統領選介入、機密文書保管―「現職訴追せず」適用・米検察”. 時事通信. (2024年11月26日) 2024年12月7日閲覧。
  28. ^ “スミス特別検察官が辞任、連邦議会襲撃などトランプ氏の捜査を担当”. CNN. (2025年1月12日) 2025年1月12日閲覧。
  29. ^ a b c Leonard, Barbara (2018年5月7日). “US Prosecutor Tapped to Head Up Kosovo War Crime Court” (英語). Courthouse News Service. 2022年11月18日閲覧。
  30. ^ a b Gans, Jared (2022年11月18日). “Who is Special Counsel Jack Smith?” (英語). The Hill. 2022年11月18日閲覧。
  31. ^ “Past Wasserstein Fellows” (英語). Harvard Law School. 2022年11月18日閲覧。
  32. ^ Viswanatha, Aruna; Gurman, Sadie (2022年11月18日). “Jack Smith Brings Broad Resume, Low Political Profile to High-Visibility Post”. The Wall Street Journal 2022年11月19日閲覧。
  33. ^ a b "Masters/Tri Q&A: Jack Smith". Nashville Aquatic Club (Interview). 31 January 2018. 2022年11月20日閲覧。
  34. ^ “Who is Jack Smith? What to know about the special counsel who charged Trump.” (英語). Washington Post (2023年6月9日). 2023年8月2日閲覧。
  35. ^ "Class Notes". Harvard Law Bulletin. Vol. 63. 2012. p. 58. 2023年6月10日閲覧。On July 23, Jack Smith and Katy Chevigny were married on the banks of the St. Lawrence River in upstate New York by the Honorable Nicholas G. Garaufis. Smith is serving as the chief of the public integrity section of the U.S. Department of Justice in Washington, D.C., where the couple lives.
  36. ^ “WEDDINGS; Katy Chevigny, Jonathan Chen” (英語) (2001年9月30日). 2022年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月17日閲覧。

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