ja.wikipedia.org

ネメアーの獅子 - Wikipedia

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ピーテル・パウル・ルーベンスが描いたネメアーの獅子と戦うヘーラクレース。マサチューセッツ州ケンブリッジフォッグ美術館所蔵。

ネメアーの獅子(ネメアーのしし、古希: Νεμέος λέων, Neméos léōn)はギリシア神話に登場するライオンネメアに住み着き、家畜を襲ったとされる。

母はエキドナ、父はその子オルトロスとも[1]テューポーンともいわれる[2]エピメニデースによるとネメアーの獅子を生んだのはセレーネーであり、恐ろしい身震いをしたときに地上に降ってきたという[3]。またヒュギーヌスによるとセレーネーはネメアーの獅子を2つの入り口がある洞窟で育てた[4]

ヘーラクレースの最初の難行はこのネメアーの獅子を殺して毛皮を持ち帰る事だった。ヘーラクレースはを撃ち、次いで棍棒で殴ったが毛皮には傷一つつかなかった。ヘーラクレースは3日間獅子の首を締め上げて獅子を殺した。獅子の皮は獅子の足の爪で引き裂かれてヘーラクレースのにされ、肉は食べられたという。その後、ネメアーの獅子は動物の王としてゼウスによって空に上げられ、星座の一つである「獅子座」になったと言われている[5]

またネメアーの獅子の毛皮に包まれた者は不死を授かるという伝説も生まれた。アイスキュロスの現存しない悲劇『トラーキアの女たち』では、トロイア戦争の英雄大アイアースは幼いころにヘーラクレースによって毛皮でくるまれて不死を授けられたが、ヘラクレスが矢筒を身に着けていたせいで脇腹だけ毛皮が触れず、その部分だけ不死にならなかったと伝えられている[6][7]

通常のライオンよりも大柄、洞窟を住居とする、単独生活など推察されているヨーロッパホラアナライオンの生態と共通点が目立つ。

ポントスガイア
ネーレウスドーリスタウマースエーレクトラーポルキュースケートーエウリュビアークレイオス
ネーレーイデスイーリスアエローオーキュペテーペンプレードーエニューオーステンノーエウリュアレー
ポセイドーンメドゥーサ
タルタロスガイアカリロエークリューサーオールペーガソス
テューポーンエキドナゲーリュオーン
ケルベロスオルトロスヒュドラーキマイラ
スピンクスネメアーの獅子
  1. ^ ヘーシオドス、327行。
  2. ^ アポロドーロス、2巻5・1。
  3. ^ エピメニデース断片2(アイリアーノス『動物の特性について』7巻7による引用)
  4. ^ ヒュギーヌス、30話。
  5. ^ しし座”. エラトステネスの星座物語. 2018年9月24日閲覧。
  6. ^ アイスキュロス断片、83。
  7. ^ 木曽明子 1991, p. 4.

ウィキメディア・コモンズには、ネメアーの獅子に関連するカテゴリがあります。