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バド・パウエル - Wikipedia

  • ️Sun Jul 31 1966

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バド・パウエル

1953年

基本情報
出生名 Earl Rudolph Powell
生誕 1924年9月27日
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューヨーク市マンハッタン区ハーレム
死没 1966年7月31日(41歳没)
ジャンル ジャズ
ビバップ
職業 ピアニスト
担当楽器 ピアノ
レーベル ブルーノート・レコード
マーキュリー・レコード
Norgran Records
Clef Records
ヴァーヴ・レコード
共同作業者 チャーリー・パーカー
ディジー・ガレスピー

バド・パウエルBud Powell 本名:アール・ルドルフ・パウエル(Earl Rudolph Powell), 1924年9月27日 - 1966年7月31日)は、アメリカ合衆国ジャズピアニスト[1]ビバップスタイルの第一人者[1]。技巧的なピアノ・プレイにより「ピアノのチャーリー・パーカー」とも呼ばれた。

1924年、ニューヨークに生まれる。パウエルの祖父はフラメンコギタリストで、父はストライドピアニスト、兄のウィリアムはトランペット奏者という音楽一家で育つ。また、弟のリッチー・パウエルや、学友のエルモ・ホープも後にピアニストとして名を成すことになる。バドは最初はクラシックの勉強をしていたが、アート・テイタムらの影響でジャズに興味を持つようになり、15歳になる頃には兄のいるバンドでピアノを弾くようになっていた。

スイング・ジャズ系ピアニストの中でもモダンなスタイルを持つアール・ハインズビリー・カイルの影響を受けた右手の高速なシングルトーンと、頻繁なコードチェンジに対応するため左手はコードプレーに徹するという、ビバップに最適化された新たな演奏スタイルを確立した。また、同時代のジャズピアニストであるセロニアス・モンクとは深く親交があり、若き日のパウエルはモンクから音楽理論を学んだと言われている。1947年、パウエルはハーレムのバーで喧嘩をして、ビンで顔面を殴られた。彼の論理が意味不明で、一貫していなかったため、パウエルは州立病院に入院させられた。パウエルは人種差別に基づく扱いだと主張した[2]。パウエルはガールフレンドから妊娠を告げられたが、その後、当時流行していた精神疾患の治療、電気ショック療法を受けさせられた。彼は11か月病院に収容され、48年の10月に退院を許された。

1940年代後半から50年代初頭にかけて音楽面の最盛期を迎えるが、50年代中期以降は麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、精神障害(統合失調症[3])を負う。しかしながら、不調期の録音においても、「クレオパトラの夢」などの鬼気迫る演奏を聴くことができ、これを含めてパウエルの個性として評価する声が多い。

1960年代初頭は本国アメリカに一種のジャズ不況が訪れ、多くのジャズメンがヨーロッパに活動の場を移した時期であるが、パウエルもまたフランスに渡って活動を続ける。映画監督のベルトラン・タヴェルニエは、この時期のパウエルの演奏活動のエピソードを元に、映画「ラウンド・ミッドナイト」を撮影している。良好な環境と好意的な聴衆に支えられて麻薬禍からは脱却するが、既に体はボロボロであり、1966年アメリカに帰国した後にニューヨークで死去。死因は結核栄養失調アルコール中毒であったという。

ブルーノートルーレット・レコードなどのレーベルに演奏を残す。アルバムの代表作に『バド・パウエルの芸術』『アメイジング・バド・パウエル』『ジャズ・ジャイアント』『ザ・シーン・チェンジス』『バド!』など。作曲も多く、「ウン・ポコ・ローコ」、「クレオパトラの夢」などが知られる。

選定(英語版より)
  • Tempus Fugue-It - Proper Records, four disc set, from 1944 recordings with Cootie Williams to the first sessions for Blue Note and Clef in 1949-50.
  • The Complete Bud Powell on Verve - Five discs, sessions from 1949 to 1956.
  • The Best of Bud Powell on Verve - single disc compilation of the best of Powell's work for the label.
  • jazz giant
  1. ^ a b 参照 バド・パウエルコトバンク
  2. ^ Geoff Dyer (24 June 2014). But Beautiful: A Book About Jazz. Farrar, Straus and Giroux. pp. 219–. ISBN 978-1-4668-6985-1
  3. ^ 「ベスト・オブ・ジャズ・ピアノ」(小川隆夫)より。