ja.wikipedia.org

上脇博之 - Wikipedia

  • ️Fri Jul 25 1958

上脇博之

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

かみわき ひろし

上脇 博之
生誕 1958年7月25日(66歳)
日本の旗 日本 鹿児島県姶良郡隼人町
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 法学
研究機関 北九州大学
北九州市立大学
神戸学院大学
出身校 関西大学法学部卒業
神戸大学大学院法学研究科
博士前期課程修了
神戸大学大学院法学研究科
博士後期課程単位取得退学
指導教員 浦部法穂
主な業績 政党憲法問題研究
国民代表選挙制度
政治資金の研究
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

上脇 博之(かみわき ひろし、1958年7月25日 - )は、日本法学者憲法学政党国家論国民代表論・政治資金問題)。神戸学院大学法学部教授

鹿児島県姶良郡隼人町(現・霧島市隼人町)の会社員の家庭に生まれた[1]。3人兄弟の次男で、父は九州電力に勤めていた[1]。幼い頃は、父の転勤で姶良郡内を幾度か転居した[1]

1977年鹿児島県立加治木高等学校1984年関西大学法学部卒業。1988年神戸大学大学院法学研究科博士前期課程修了、1991年博士後期課程単位取得退学、日本学術振興会の特別研究員 (PD) 。

1994年北九州大学法学部専任講師1995年助教授2001年に北九州大学は北九州市立大学へ改組、2002年北九州市立大学法学部教授2004年神戸学院大学大学院実務法学研究科教授、2015年神戸学院大学法学部教授。

  • 2002年3月20日に市民団体のネットワーク「政治資金オンブズマン」を弁護士阪口徳雄と設立し、阪口とともに代表に就き、事務局を大阪市中央区に置いた[2][3]
  • 大阪府議会議員や大阪府知事を務めた松井一郎が、政治家秘書給与を自身が経営する企業に肩代わりさせたことを政治資金収支報告書に記載していない点を指摘し、2012年10月に政治資金規正法違反容疑で大阪地方検察庁に告発した[4][5]。松井は「自分の会社の仕事をサポートしてくれた対価として払ったお金で、問題があるとは思っていない」[4]などと反論したが、上脇は「知事はこの問題で責任を取っていない。全国政党の幹事長としてあってはならないことだ」[5]と主張している。政治資金規正法では、政治家秘書の給与を企業が負担した場合はその企業からの寄附として扱われるため、政治資金収支報告書に記載しなければならない[6]。この点について松井は「社長秘書として仕事してもらった部分には対価を払っている。議員秘書の部分はサービスでやってもらったという認識だ」[7]など主張している。
  • 2018年1月19日に最高裁官房機密費の使途の一部開示を命じる判断を下した裁判[8][9][10] の原告の一人[11]
  • 2019年11月27日、河井案里参議院議員の事務所による選挙違反疑惑に関し「夫婦が共謀して違法行為をした疑いがある」として、広島地方検察庁告発状を送付し記者会見した[12]
  • 2020年6月1日、東京高等検察庁検事長黒川弘務の定年延長問題に影響を及ぼした閣議決定の際に、法務省人事院内閣法制局が提出した資料として開示された各文書は閣議決定後に作成された可能性が高く、閣議決定後の文書は不存在であるとした不開示決定の理由も偽りの可能性が高いとして、決定の取消しを求める訴えを大阪地方裁判所に提起した[13]。2023年12月1日に、法務省元事務次官への証人尋問が行われた。2024年6月27日、大阪地方裁判所は「黒川の定年延長を行うため、解釈を変更した」として、不開示決定の一部を取り消した[14]。国が控訴を断念してこの判決が確定した。国は該当の文書自体は上脇の別の請求に対して開示済みのため、判決が確定しても問題ないと判断した[15]
  • 2020年9月28日、政府が新型コロナウイルスの感染対策として全世帯に配布した俗称アベノマスクについて、納入業者に発注した枚数と単価を開示しないことは不当として、日本国政府情報公開を求めて大阪地方裁判所に提訴した。上脇は記者会見で「政策の妥当性を議論するために国は情報を開示する必要がある」と主張した[16]2023年2月28日に大阪地方裁判所は、国に対して不開示を取り消して開示することを命じた[17]。政府が大阪高等裁判所へ控訴を断念して確定判決した[18]
  • 2022年8月2日に、第49回衆議院議員総選挙細田博之の陣営が、島根県内の地方議員らに労務費名目で1日当たり数千円程度の現金を支払っていた問題で、細田と陣営幹部に対する公選法の買収違反容疑で松江地方検察庁に告発状を提出した[19][20]2023年8月15日に松江地方検察庁は、告発を受けた細田と出納責任者を嫌疑不十分で不起訴処分とした[21]
  • 2023年3月、岡山県の伊原木隆太知事の後援会が、知事の親族から政治資金規正法の上限を超える寄付を受け取っていた問題で、後援会関係者らを政治資金規正法違反の疑いで岡山地方検察庁に告発。同年9月28日、岡山区検察庁は後援会の会計責任者ら2人を政治資金規正法違反の罪で略式起訴[22]
  • 2023年10月、自由民主党5派閥が政治資金パーティーの収入を2018年から2021年までの政治資金収支報告書に計4168万円分を過少記載したとして、各派閥の当時の会計責任者らを政治資金規正法の不記載・虚偽記入違反容疑で東京地方検察庁に告発した[23][24][25]
  • 学生時代からバンダナを愛用し、多くの場合で頭部に纏い法廷や記者会見に現れる。外すことはないと思われるが事実ではない[27]。バンダナをトレードマークとすることで敢えて世間に対し自分とバンダナを強く印象付け、外した場合自身を認識されにくくすることでテロから身を守る策と語る。外出時に帽子を被ることもある[28]
  • 好きな歌手は小椋佳である[29]
  • 特攻隊員で生還した叔父の存在から、おもに政治資金に執着する、と語る[30]
  • 『政党国家論と憲法学―「政党の憲法上の地位」論と政党助成』(信山社、1999年)
  • 『政党助成法の憲法問題』(日本評論社、1999年)
  • 『政党国家論と国民代表論の憲法問題』(日本評論社、2005年)
  • 『ゼロからわかる政治とカネ』(日本機関紙出版センター、2010年)
  • 『議員定数を削減していいの? ゼロからわかる選挙のしくみ』(日本機関紙出版センター、2011年)
  • 『なぜ4割の得票で8割の議席なのか~いまこそ、小選挙区制の見直しを』(日本機関紙出版センター、2013年)
  • 『自民改憲案 VS 日本国憲法 緊迫! 9条と96条の危機』(日本機関紙出版センター、2013年)
  • 『安倍改憲と「政治改革」~【解釈・立法・96条先行】改憲のカラクリ』(日本機関紙出版センター、2013年)
  • 『どう思う? 地方議員削減~憲法と民意が生きる地方自治のために』(日本機関紙出版センター、2014年)
  • 『誰も言わない政党助成金の闇 「政治とカネ」の本質に迫る』(日本機関紙出版センター、2014年)
  • 『財界主権国家・ニッポン 買収政治の構図に迫る』(日本機関紙出版センター、2014年)
  • 『告発!政治とカネ 政党助成金20年、腐敗の深層』(かもがわ出版、2015年)
  • 『追及! 安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』(日本機関紙出版センター、2016年)
  • 『日本国憲法の真価と改憲論の正体 施行70年、希望の活憲民主主義をめざして』(日本機関紙出版センター、2017年)
  • 『ここまできた小選挙区制の弊害―アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』(あけび書房、2018年)
  • 『内閣官房長官の裏金 ~ 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(日本機関紙出版センター、2018年)
  • 『安倍「4項目」改憲の建前と本音』(日本機関紙出版センター、2018年)
  • 『なぜ「政治とカネ」を告発し続けるのか』(日本機関紙出版センター、2023年)
  • 『検証 政治とカネ』(岩波書店、2024年)
  • 『自民党〝裏金〟事件 刑事告発は続く』(日本機関紙出版センター、2024年)
  • 市民オンブズマン北九州幹事(1996年 - 2004年)
  • 議会の情報公開と政治倫理の確立度ランキング制定委員会委員長(1999年 - 2004年)
  • 政治倫理九州ネットワーク(1999年 - ?)
  • 政治改革オンブズパーソン事務局長(2000年 - 2007年)
  • 「有事法制を阻止し、憲法を守る」北九州の会代表委員(? - 2004年)
  • 政治資金オンブズマン共同代表(2002年 - )
  • 株主オンブズマン共同代表(2005年 - )
  • 兵庫県憲法会議幹事・事務局長(? - 1994年、2004年 - )
  • 九条の会がくえん代表呼びかけ人(2004年 - )
  • NHK市民の会会員
  • 政治資金センター理事[31]
  1. ^ a b c 上脇博之「正義の告発」を生み出した家族と仲間”. 東洋経済オンライン (2024年7月27日). 2024年12月7日閲覧。
  2. ^ 政治資金オンブズマンについて”. 政治資金オンブズマン. 2022年10月28日閲覧。
  3. ^ 政治資金オンブズマン結成宣言”. 政治資金オンブズマン. 2022年10月28日閲覧。
  4. ^ a b 「松井府知事を政治資金規正法違反で告発――大学教授ら」『松井府知事を政治資金規正法違反で告発 大学教授ら - MSN産経ニュース産経デジタル、2012年10月24日
  5. ^ a b 「松井府知事へ政治資金規正法違反の告発状」『松井府知事へ政治資金規正法違反の告発状 - 社会ニュース : nikkansports.com日刊スポーツ新聞社、2012年10月24日。
  6. ^ 「政治資金規正法――松井知事を刑事告発」『政治資金規正法 松井知事を刑事告発|MBSニュース-MBS毎日放送の動画ニュースサイト-毎日放送、2012年10月25日
  7. ^ 「大阪府知事らを告発=政治資金規正法違反容――市民団体」『時事ドットコム:大阪府知事らを告発=政治資金規正法違反容疑-市民団体時事通信社、2012年10月24日。
  8. ^ 事件番号  平成29(行ヒ)46 不開示決定処分取消等請求事件”. 最高裁判所. 2021年10月18日閲覧。
  9. ^ “官房機密費、一部開示認める 最高裁が初判断”. 日本経済新聞. (2018年1月19日) 2021年10月18日閲覧。
  10. ^ “「官房機密費」最高裁が一部開示命じる判決”. 日テレNEWS24. (2021年1月19日) 2021年10月18日閲覧。
  11. ^ 「開かずの扉こじ開けた」 最高裁「機密費」一部開示認める. KyodoNews. 19 January 2018. 2021年10月18日閲覧
  12. ^ 河井前法相と妻らを刑事告発”. NHK (2019年11月27日). 2019年12月5日閲覧。
  13. ^ 赤旗新聞黒川氏定年延長の真相を 大学教授閣議決定文書めぐり提訴」。2020年6月2日。
  14. ^ “黒川氏定年延長巡る文書開示 「個人のため法解釈変更」―大阪地裁”. 時事通信. (2024年6月27日) 2024年6月27日閲覧。
  15. ^ “定年延長の閣議決定めぐる訴訟、国は控訴せず 「黒川氏のため」言及”. 朝日新聞. (2024年7月12日) 2024年7月12日閲覧。
  16. ^ [1]
  17. ^ “政府が配布の布マスク、単価など開示命じる…大阪地裁「税金の使途にかかる説明責任」”. 読売新聞. (2023年2月28日) 2023年3月15日閲覧。
  18. ^ “アベノマスクの単価や発注枚数、開示へ 国が控訴断念”. 毎日新聞. (2023年3月15日) 2023年3月15日閲覧。
  19. ^ “細田議長の告発状提出 衆院選で公選法違反容疑”. 東京新聞. (2022年9月15日) 2022年9月24日閲覧。
  20. ^ “細田博之衆院議長が運動員買収で刑事告発されていた 《告発状入手》”. 文春オンライン. (2022年9月14日) 2022年9月24日閲覧。
  21. ^ “細田博之氏ら不起訴処分 公職選挙法違反の疑い 松江地検”. 山陰中央新報. (2023年8月15日) 2023年9月29日閲覧。
  22. ^ “知事後援会 会計責任者ら略式起訴 岡山区検、収支報告書虚偽記載で”. 山陽新聞. (2023年9月28日) 2023年9月29日閲覧。
  23. ^ 木原育子、山田祐一郎 (2023年11月28日). “自民5派閥の過少申告も告発した…上脇博之教授が「政治とカネ」で孤軍奮闘 「チェック役」どう増やす?”. 東京新聞. 2023年12月10日閲覧。
  24. ^ 5派閥パー券収入不記載に捜査の手 自民“戦々恐々”「赤旗」日曜版報道が発端”. しんぶん赤旗 (2023年11月22日). 2023年12月11日閲覧。
  25. ^ 自民党に「裏金」疑惑…5派閥でパーティー収入4000万円の過少記載、党内で手口蔓延か?”. 日刊ゲンダイ (2023年11月6日). 2023年12月9日閲覧。
  26. ^ 「違法寄付疑いで「つばさの党」代表らを告発」『佐賀新聞』2024-5-29
  27. ^ 「どうなる自民党裏金問題 告発人の「バンダナ」教授に聞いた」『毎日新聞』2024-5-22
  28. ^ 「自民党裏金疑惑告発した教授は鹿児島出身 バンダナがトレードマーク神戸学院大・上脇氏「1人でも気張らにゃいかん」」『MBC南日本放送』2024-2-16
  29. ^ 前掲『政党国家論と憲法学』の「あとがき」、およびTwitterへの投稿内容による。
  30. ^ https://www.47news.jp/10514063.html
  31. ^ 公益財団法人政治資金センターの発足にあたって”. 公益財団法人政治資金センター. 2021年10月18日閲覧。
  32. ^ 日隅一雄・情報流通促進賞2024大賞決定”. 日隅一雄・情報流通促進基金 (2024年5月15日). 2024年12月2日閲覧。
  33. ^ 新語・流行語大賞:「ふてほど」が年間大賞 トップテンに「Bling-Bang-Bang-Born」「50-50」など選出」『MANTANWEB』2024年12月2日。2024年12月2日閲覧。