公卿補任 - Wikipedia
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『公卿補任』(くぎょうぶにん)は、歴代朝廷の高官の名を列挙した職員録で、日本史の基本史料の1つ。
各年毎に朝廷の官職を記している。従三位以上で太政大臣・摂政・関白・左大臣・右大臣・内大臣・大納言・中納言・参議・非参議のいわゆる公卿に相当する者の名を官職順に列挙する。記載される人名には本姓が使われ、藤原氏は、「藤原○○」ではなく略して「藤○○」と記載される。各人の名の下には、生没年、昇叙・任官などの事歴を付記している。『国史大系』本には神武天皇の代から明治元年までの分を含む。
公卿補任の作者、成立年代は不明であるが、弘仁2年(811年)に成立した「歴運記」[注釈 1]を基に、以後の分を書き足していったものと考えられている。後年の詳細な尻付(しつけ)を伴った形態としての本書の成立は、応和から正暦あたり(10世紀後半)とみられている。なお非参議の項は、長和以後に補足されていったとみられている。
任官についてもっとも纏まった史料であるが、平安時代前期における記事の不正確さ[注釈 2]や政治的な事情から書き直し(遡った期日での任官など)が行われた部分もあるといわれており、実際の任官と合致しない場合がある。
『国史大系』に収められている。
- 『新訂増補国史大系 第53卷・公卿補任 第1篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 4642003568
- 『新訂増補国史大系 第54卷・公卿補任 第2篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 978-4642003575
- 『新訂増補国史大系 第55卷・公卿補任 第3篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 978-4642003582
- 『新訂増補国史大系 第56卷・公卿補任 第4篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 978-4642003599
- 『新訂増補国史大系 第57卷・公卿補任 第5篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 978-4642003605
- 『新訂増補国史大系 別卷・公卿補任 索引』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 4642003614