ja.wikipedia.org

大野雄二 - Wikipedia

  • ️Fri May 30 1941
曖昧さ回避 元プロ野球選手の「大野雄次」あるいは元テニス選手の「大野雄治」とは別人です。
大野 雄二
別名 ピーター・ストーン (Peter Stone)
生誕 1941年5月30日(83歳)
出身地 日本の旗 日本 静岡県熱海市
学歴 慶應義塾大学法学部政治学科
職業 作曲家
編曲家
ピアニスト
担当楽器 ピアノ
レーベル バップ
著名な家族 父:大野市郎(政治家)
共同作業者 You & The Explosion Band
公式サイト 大野雄二 OFFICIAL WEBSITE

大野 雄二(おおの ゆうじ、: Yuji Ohno1941年昭和16年〉5月30日[1] - )は、日本ジャズピアニスト作曲家編曲家静岡県熱海市出身[1]。『ルパン三世』シリーズの作曲家としても知られる[2]

日本テレビ音楽専属、フリーを経て、バップ専属で活動している。

来歴

[編集]

演奏家・作曲家として

[編集]

静岡県熱海市にある旅館瑞雲荘大野屋(後のホテル大野屋)の創業家に生まれ、小学生の時からピアノを始める[1]。6年生の2学期までは地元の小学校に通い、その後は小田原にある小学校・中学校まで越境通学していた[3]。小田原市立第一中学校(現:小田原市立城山中学校)卒業後は慶應義塾高等学校に進学[3]。同級生だった明石勇クラリネット担当、後にNHKアナウンサーとなる)らと「ジュニア・ライト・ミュージック」を結成[1]。同時期に、独学でジャズを学ぶ[1]慶應義塾大学法学部法学部政治学科に入学後は、名門ビッグバンド「慶應義塾大学ライトミュージックソサエティ」に所属[1]鈴木"コルゲン"宏昌佐藤允彦らと共に「慶應のピアノ三羽烏」と呼ばれた。佐藤は『証言で綴る日本のジャズ史』の中で、慶應在学中に大野と遊びながら和音を作ったと証言している。大野は前田憲男に師事した。

大学在学中、渋谷毅の推薦で藤家虹二クインテットに所属し、プロ・ピアニストとなる[1]。その後白木秀雄(大野のアルバム・デビューは、東芝から発売された白木秀雄クインテットでのLP『HIDEO SHIRAKI MEETS YUZO KAYAMA』)のバックを経て、自らのバンド「大野雄二トリオ」を結成する[1]

1970年代前半にピアニストを休業し、作曲家活動に専念[1]テレビドラマ映画劇伴などを手がけ始める。1975年には、しばたはつみの「シンガー・レディ」を作曲した。アルバムでは11曲中8曲を作曲している。

1976年、映画『犬神家の一族』の音楽を担当[1][4]。なお、同作に主演した石坂浩二は慶應義塾高等学校・慶應義塾大学法学部の同級生であり、アルバム『音楽と幻想』をリリースしている。劇場公開時のパンフレットには、石坂が大野のレコーディングスタジオを訪ねた記事が掲載されている。

多いときは、ルパン1シリーズで200曲も書いたという。楽器は使わず、朝起きたらすぐに鉛筆を握り、五線紙に向かう。新シリーズのたび、1日15時間を作曲や編曲に費やす生活を3カ月間続けた[5]

ルパン三世と映像音楽

[編集]

1977年にはテレビ版『ルパン三世』第二シリーズの音楽を担当[注釈 1][1][6]。大野は、70年代前半の「ジャズロック」「クロスオーバー」を継承し、映画音楽や歌手のアルバムに反映させた。1977年の映画『人間の証明』ではジョー山中が歌った「人間の証明のテーマ」を担当する[7]。1978年には『野性の証明』の主題歌、町田義人の「戦士の休息」を作曲した。

松木恒秀ギター)、長岡道夫(ベースSHŌGUNミッチー長岡)、数原晋トランペット)、渡嘉敷祐一ドラムス)、市原康(ドラムス)などと結成した「You & Explosion Band」はテレビ番組、松田優作に関わる作品が多い。テレビアニメでは『ルパン三世』『海底超特急マリンエクスプレス』など、テレビドラマでは『大追跡』『大激闘マッドポリス'80』など、松田優作主演の映画『最も危険な遊戯[8]に始まる「遊戯シリーズ」の劇伴、バックバンドとして参加した松田のアルバム『Uターン』、後述の『24時間テレビ』のサントラ(クレジットは「大野雄二とYou & Explosion Band」)などがある。また、『犬神家の一族』に始まる初期角川映画3作品、テレビアニメ『キャプテン・フューチャー』『ルパン三世 PARTIII』は、バンドのレギュラーメンバーが参加しているが、原盤権日本テレビ音楽(後述)ではないためクレジットではバンド名が異なっている。2015年放送開始のテレビアニメ『ルパン三世 PART IV』では久しぶりに「You & Explosion Band」名義が使用され、市原康、渡嘉敷祐一、岡沢章(ベース)といった当時のメンバーが再集結した。

「You & Explosion Bandバンド」は大野の所属事務所であった日本テレビ音楽がプロデュースした作品で便宜的に使用される名義で、『ルパン三世』の第二シリーズでサントラを発売する際、名義が必要になったため形式的に名付けられたのが起源である。このため、制作作品に合わせて大野がセクションごとにミュージシャンを選抜し、恒久的なメンバーはいない。オリジナルアルバムとしては『SPACE KID』(2007年にCD化)・『FULL COURSE』などをリリースしている。後年の『ルパン三世』TVスペシャルのサウンドトラック録音でも、数原晋、杉本喜代志(ギター)ら、1970年代当時のメンバーも多い。2005年には「You & Explosion Band」名義のアルバム『Made In Y.O.』が発売された。内容は大野のこれまでの曲の、全て再アレンジの上での新規録音で、大野はアルバム制作のためライブ活動を3ヶ月休止した。

大野の音楽性の特徴は、演奏能力のあるミュージシャンを積極的に起用し、自身のキーボード演奏(主にフェンダー・ローズによるもの)に、リズムセクションにジャズ・ルーツらしいホーンセクション・ストリングセクションを加えたバンド編成で、複雑な調性和音リズムを導入した。

劇伴のジャンルで名を馳せた大野だが、弘田三枝子ソニア・ローザといった歌手のプロデュースも手がけ、成功を収めている。これらの作品は1990年代にレアグルーヴとして再評価された。

また、電子音楽のレーベル「トランソニック」主宰の永田一直によるドラムンベース・プロジェクト「FANTASTIC EXPLOSION」は、1970 - 1980年代のテレビCMなどの音ネタと共に、大野やYou & Explosion Bandが手がけた作品の多くをサンプリングして使用し、1990年代後半に話題となった。『ルパン三世』のリミックスアルバム『PUNCH THE MONKEY!』では「非常線突破」のリミックスを(YOU & FANTASTIC EXPLOSION MIX)と題し手がけている。

『ルパン三世』を通じて山田康雄小林清志納谷悟朗らレギュラー出演者と交流があり、特に山田とは自宅兼スタジオ「STUDIO YOU」に招いて酒を酌み交わすほど親しい仲であった。1992年には、山田のCDアルバム制作で自宅スタジオを使い、劇中の台詞に「大野雄二」を呼ぶアドリブがある。1995年に山田が亡くなり、翌年のGWに公開された劇場映画第六作『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』並びに毎年恒例となっているTVスペシャルの第八弾『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』の音楽担当は辞したが、翌1997年には復帰している。PlayStation 2専用ソフト『ルパン三世 ルパンには死を、銭形には恋を』では劇中やクリア特典にポリゴンモデルとしてカメオ出演している。

テレビ音楽では主に日本テレビNHKでの仕事が多かった。『ルパン三世』の他には、NHK連続テレビ小説マー姉ちゃん』『いちばん太鼓』、SFアニメ『キャプテン・フューチャー』、『おひかえあそばせ』にはじまる石立鉄男ドラマ、NHKの紀行番組小さな旅』、特撮ヒーロー『星雲仮面マシンマン』、NHKテレビアニメ『学園戦記ムリョウ』、テレビドラマ『俺はご先祖さま』『外科医 有森冴子』、NHK報道番組ニュースセンター9時』(2代目テーマソング)『海外ウィークリー』『サンデースポーツ』『NHKニュースTODAY』なども担当。フジテレビでは時代劇『戦国ロック はぐれ牙』、テレビアニメ『スペースコブラ』の主題歌(劇中音楽は羽田健太郎)を手がけた。映画音楽では『犬神家の一族』『人間の証明』『野性の証明』『黄金の犬』のほか、劇場版『義務と演技』、にっかつ映画『おさな妻』などがある。

毎年夏恒例の日本テレビ『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』の第1回放送(1978年)では、ピンクレディーの曲を除き、テーマ曲「LOVE SAVES THE EARTH」からコーラス曲、手塚治虫のアニメに至るまで、音楽監督的な立場で参加。第2回以降も大野の音楽は使用され、第14回まで携わった。

イベントへの音楽提供としては1981年の「ポートピア'81」において神戸館の「神戸プラネタリウムシアター」の音楽を担当(アルバム『COSMOS』)や、ハウステンボスエッシャー館の上映フィルムの音楽などがある。

大野雄二トリオ・Yuji Ohno & Lupintic Five〜Yuji Ohno & Lupintic Six

[編集]

2000年代は作曲活動を極力抑え、井上陽介(ベース)、江藤良人(ドラムス)(ベースは2010年4月まで俵山昌之、ドラムスは2007年3月まで村田憲一郎)とともに「大野雄二トリオ」として、また、2006年にはトリオに加え、松島啓之(トランペット)、鈴木央紹サックス)、和泉聡志エレキギター)の3名を含む計6名で「Yuji Ohno & Lupintic Five」を結成し、全国でライブ活動を行っている(2015年末に一度解散)。 2016年には上記の松島・鈴木・和泉と、新たにドラムスに市原康とベースにミッチー長岡という大野の古くからの盟友2人、若手キーボーディストの宮川純をハモンドオルガンとして迎え、「Yuji Ohno & Lupintic Six」として活動を再開した。

楽曲提供アーティスト

[編集]

ディスコグラフィ

[編集]

リーダーアルバム

[編集]

タイトル 発売日 レーベル 規格 規格品番 備考
Sound Adventure Act.1 1975年 SONY LP YFSC-29
2015年11月20日 BRIDGE INC. Blu-spec CD2 EGDS-69 2015年デジタルリマスター盤
マイ・リトル・エンジェル 1976年 RVC LP RVL-5505
2014年10月22日 RCA CD SICP-4292
永遠のヒーロー 1977年 CBS・ソニー LP 25AP-738
2014年7月10日 BRIDGE INC. Blu-spec CD2 EGDS-68 2014年デジタルリマスター盤
スペース・キッド 1978年4月 CBS・ソニー LP 25AH-501
2013年4月10日 BRIDGE INC. Blu-spec CD2 EGDS-66 2013年デジタルリマスター盤
サイレント・ダイアローグ 1979年9月 ポニー・キャニオン LP C22R-0028 大野雄二プロデュース、松田昌とのアルバム
COSMOS 1981年 CBS・ソニー LP 30AH-1202
2013年4月10日 BRIDGE INC. Blu-spec CD2 EGDS-67 2013年デジタルリマスター盤
LIFETIDE-生命潮流 1982年 ビクター音楽産業invitation LP VIH-28104
2010年1月20日 BRIDGE INC. CD(紙ジャケ) EGDS-48 2010年デジタルリマスター盤
フル・コース 1983年 ビクター音楽産業・invitation LP VIH-28119
2011年3月8日 BRIDGE INC. CD(紙ジャケ) EGDS-49 2011年デジタルリマスター盤

映画音楽

[編集]

テレビ作品

[編集]

テレビドラマ

[編集]

テレビアニメ・特撮

[編集]

その他番組

[編集]

ビデオ作品/Vシネマ

[編集]

イメージ作品

[編集]

  • LaserVision DEMONSTRATION Ⅱ (LD)(1988年、レーザーディスク協会)
  • HIGH VISUAL・CHECK DISK / WATCHING PEOPLE (1989年、LD/DVD)(パイオニアLDC)
  • REFERENCE LASER DISC (1990年、LD)(パイオニア)
  • サラブレッド 明日をめざす戦士 (1992年、MUSE Hi-Vision LD)(パイオニア)
  • Hi-Vision LD Demonstration (1992年、MUSE Hi-Vision LD)(パイオニア)
  • Ordinary Europe 素顔の欧羅巴 (1993年、MUSE Hi-Vision LD/DVD)(パイオニアLDC)
  • PAL LD DEMONSTRATION (LD)(パイオニア)

ドラマCD

[編集]

プロレス

[編集]

ゲーム音楽

[編集]

CM

[編集]

競輪

[編集]

  • 競輪テーマA・B - 1982年~1991年にかけて競輪で使用。

ビブリオグラフィ / 著書

[編集]

受賞歴

[編集]

共同作業者

[編集]

  • 鈴木清司 - 『ルパン三世』をはじめ、大野が劇伴を手掛けた作品の多くの選曲やサウンドディレクションを務めている。
  • 伊豫部富治 - レコーディング・エンジニア。

脚注

[編集]

注釈

[編集]

  1. ^ テレビ版『ルパン三世の第一シリーズ』は山下毅雄が担当している。
  2. ^ Amazon Prime Videoによる配信。

出典

[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k ガモウユウイチ、馬飼野元宏(監修/編集)・真鍋新一(編集)「大野雄二」『昭和歌謡 職業作曲家ガイド』(初版)シンコーミュージック・エンタテイメント、2018年4月15日、190-191頁。ISBN 978-4-401-64371-4
  2. ^ 「カリオストロの城」シネマコン 大野雄二80歳の元気”. 産経ニュース (2022年2月3日). 2022年2月3日閲覧。
  3. ^ a b 【証言で綴る日本のジャズ】大野雄二|「やってもいいんだ」から始まったジャズの道”. ARBAN (2018年2月15日). 2022年2月4日閲覧。
  4. ^ 大野雄二(インタビュアー:加茂伸太郎)「作曲家・大野雄二氏が語る映画「犬神家の一族」楽曲秘話「強いメロディーを意識した」…インタビュー後編」『スポーツ報知』、報知新聞社、2022年3月6日。2023年9月12日閲覧
  5. ^ “「ルパン三世」テーマ曲の秘密 大野雄二が〝初公開〟”. 産経ニュース (産経デジタル). (2021年10月22日) 2023年9月12日閲覧。
  6. ^ 大野雄二(インタビュアー:加茂伸太郎)「作曲家・大野雄二氏が語る「ルパン音楽」楽曲秘話「最先端だと飽きられる」…インタビュー前編」『スポーツ報知』、報知新聞社、2022年3月5日。2023年9月12日閲覧
  7. ^ 映画『人間の証明』における大野雄二の音楽とは?”. 大人のミュージックカレンダー. DI:GA ONLINE×大人のMusic Calendar共同企画 第8回 (2018年3月11日). 2023年9月12日閲覧。
  8. ^ 最も危険な遊戯:映画作品情報 - MOVIE WALKER PRESS
  9. ^ 新「ルパン三世」ED曲は石川さゆり×つんく×大野雄二”. 音楽ナタリー (2015年8月26日). 2015年8月26日閲覧。
  10. ^ 「ルパン三世」×「キャッツ・アイ」コラボアニメ決定!制作はトムスが担当”. コミックナタリー. ナターシャ (2022年9月22日). 2022年9月22日閲覧。
  11. ^ 作品ラインナップ”. 金曜ロードシネマクラブ. 日本テレビ. 2015年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月12日閲覧。
  12. ^ NHK特集 富士山 - NHKアーカイブス
  13. ^ 2010.6.9”. 大野雄二オフィシャルブログ「大野雄二のLupintic Blog」 (2010年6月9日). 2020年4月12日閲覧。
  14. ^ 「ドラゴンボール」鳥山明や声優・古川登志夫が受賞!「TAAF2024」アニメ功労部門の顕彰者が決定”. AnimeAnime.jp (2023年12月15日). 2024年5月1日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

登場人物
漫画
原作
派生作品
アニメ
テレビシリーズ
テレビスペシャル
映画
オリジナルビデオ
Web配信
派生作品
実写
映画
テレビドラマ
ミュージカル
ゲーム
楽曲
シングル
アルバム
関連人物
原作
監督・演出 
脚本
音楽
音響監督
作画監督
製作
関連項目
カテゴリ カテゴリ
1940年代
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
  • 括弧内は作品年度を示す、授賞式の年は翌年(2月)