愛生経 - Wikipedia
愛生経
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『愛生経』[1](あいしょうきょう、巴: Piyajātika-sutta, ピヤジャーティカ・スッタ)とは、パーリ仏典経蔵中部に収録されている第87経。
類似の伝統漢訳経典としては、『中阿含経』(大正蔵26)の第216経「愛生経」や、『婆羅門子命終愛念不離経』(大正蔵91)がある。
愛(愛着)と苦の関係にまつわる仏法を、コーサラ国のパセーナディ王らが学んでいく。
ある時、釈迦は、コーサラ国サーヴァッティー(舎衛城)のアナータピンディカ園(祇園精舎)に滞在していた。
そこには一人息子を亡くして悲しんでいる長者がいたが、釈迦が彼に「愛着が苦悩の原因」だから愛着を断つように説くと、長者は「愛着から生じるのは喜楽であって、苦悩ではない」と反発して帰ってしまう。
この話を伝え聞いたコーサラ国の王パセーナディは、妃のマッリカー、更に彼女の依頼で釈迦を訪ねた婆羅門ナーリジャンガを介して、釈迦の「愛する者を失った女」の喩えを教わり、「愛着から苦悩が生じる」縁起を理解し、三宝への帰依を誓う。
- ^ 『南伝大蔵経』、『原始仏典』中村、『パーリ仏典』片山