現代美術 - Wikipedia
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現代美術(げんだいびじゅつ、英語: Contemporary art)または現代アート、コンテンポラリー・アートとは、歴史の現代を借りた用語で、美術史における今日、すなわち20世紀後半の第二次世界大戦後の1950年以降から21世紀までの美術を指す[1]。
現代美術家たちは、世界的にお互いに関連した状況で、文化的には異なった環境で、しかも技術的には先進的な世界で作品を作っている。画題の本質を新鮮な目で見て、新しい方法で実験を行った時代である。彼らの芸術は画材、方法、コンセプト、主題の常に変化する動的な組み合わせであり、それは20世紀には既に始まっていたものである。その背景として、19世紀以前の芸術は教会や裕福なパトロンに支えられて制作されており、作品を見るものが導かれるような指導的な役割りを担う、宗教的・神秘的な物語が描かれることが多かったが、産業革命以降は、芸術家はパトロンのためではなく、自身の個人的な経験や視点での制作が可能になったことがあげられる[2]。
- 理論の重要性
現代美術は、それが芸術だと認識することが困難な場合が多々ある。芸術の領域で活動している人々の間でさえ、芸術か芸術ではないかという区別は難しく、自分が芸術の領域に立ち入っていることに気がつかない場合もある。その場合、芸術だと認識する手段つまり、芸術とそれ以外を区別するものとして理論の存在が挙げられる。アメリカの分析哲学者、アーサー・ダントーは論文「アートワールド」において、「そもそも芸術を可能にすることも、理論が持つ効用の一つである。そうした本来の理論をもたなかったグラウコンをはじめ他の対話者たちは何が芸術であり、なにがそうでないかについて知ることはほとんどできなかったのである」と述べている[3]。
一般的な用語としては、日本語でも英語でも、現代美術(Contemporary art)はその以前の近代美術(Modern art)と同義語として使われることも多いが、ここでは時代の移り変わりを表すために敢えて区別して使っている。
この項目は現代美術の動向を理解するために、現代美術のターム以前のものでなおかつ強く現代美術に影響を与えたものを中心に、年代に関係なく動向ごとにまとめています。
主義(Ism)
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主義(Ism)
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技法や運動(movement)
その他
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この項では、現代美術の動向やグループを基本的に始まった年代ごとにまとめていますが、年代が不明なものや意味が変わったものは、動向などが盛り上がった/変化の見られた年代に分類しています。
戦後の1950年代になるとフランスをはじめとしたヨーロッパ中心のアートシーンに、アメリカが影響を及ぼすようになる。また、戦後のモダニズム絵画として、抽象画が流行した。一方、その反動としての具象的な絵画の再評価を試みるなど、現代美術は絵画がシーンの中心であった。絵画以外では、政治的なイデオロギーから逸脱を目指したものや、国家や既存の枠組みを越えようとするものなどが見られる。
1960年代になると絵画ではない表現が多く見られるようになる。”政治的なイデオロギーからの逸脱”とは異なる概念的なアートや、ハプニング、社会関与など、事象を取り扱うムーブメントも勃興してくる。世界的な社会情勢として、反戦運動、女性解放運動、LSDを使った平和を訴えるフラワーパワージェネレーションなどの市民運動が盛んな時代。
かつてのムーブメントや活動に、ネオ/ポスト/ニュー/トランスなどをつけた再定義や乗り越えの活動が多く見られる。またビデオカメラなどのデジタル機器やデジタル技術の大衆化が進み、表現手法として多く取り入れられるようになる。
2000年代は、オルター/メタ/ポスト/Reなどの語を使い近代を乗り越えようという動きが盛んになる一方で、ゲームやアニメをはじめとした仮想世界を取り入れている。
- ポスト・インターネット(Postinternet)
- レジリエンス・アート(Art Résilience)
- パラドックス・アート(art paradox)
この項では、代表的な現代美術の作品や展覧会、批評を年代ごとにまとめています。
作品
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展覧会 |
批評、他
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作品 |
展覧会 |
批評、他 |
- アーサー・ダントー(著)、西村 清和 (翻訳)『分析美学基本論文集』勁草書房、2015年8月28日、445ページ頁。ISBN 4326800569。
- 末永 照和 (著), 早見 堯 (著), 林 洋子 (著), 近藤 幸夫 (著), 中村 英樹 (著), 嶋崎 吉信 (著), 堀 元彰 (著), 末永照和 (監修), 美術出版社編集部 (編集)『増補新装 カラー版 20世紀の美術』美術出版社、2013年8月9日、240ページ頁。ISBN 4568400856。
- 山本 浩貴『現代美術史-欧米、日本、トランスナショナル』中央公論新社、2019年10月16日、318ページ頁。ISBN 4121025628。
- パブロ・エルゲラ, アート&ソサイエティ研究センター SEA研究会 (翻訳)『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門 アートが社会と深く関わるための10のポイント』フィルムアート社、2015年3月23日、195ページ頁。ISBN 4845914506。
- Charles Harrison (編集), Paul Wood (編集) (2002/10/22). Art in Theory 1900 - 2000: An Anthology of Changing Ideas. Wiley-Blackwell. pp. 1288 pages
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- ^ “Tate-ART TERM-NÉGRITUDE”. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “素人の乱 自由芸術大学”. 2020年5月3日閲覧。
- ^ “How to Speak Artspeak (Properly)”. 2020年4月8日閲覧。
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