2021年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月5日に開幕した。ナショナルリーグの第52回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 52nd National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、16日から23日にかけて計6試合が開催された。その結果、アトランタ・ブレーブス(東地区)がロサンゼルス・ドジャース(西地区)を4勝2敗で下し、22年ぶり18回目のリーグ優勝および10回目のワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのは、前年のリーグ優勝決定戦に次いで2年連続5度目。ブレーブスが最初の2試合に連勝し、3勝1敗でシリーズ制覇へ先に王手をかけるという展開は、前年のシリーズと同じだった[3]。ただ、前年はドジャースがそこから3連勝で逆転したのに対し、今シリーズはブレーブスが6戦目に勝利し逆転を阻止した。シリーズMVPには、第2戦でのサヨナラ安打や第6戦での決勝3点本塁打など6試合で計14安打を放ち、打率.560・3本塁打・9打点・OPS 1.647という成績を残したブレーブスのエディ・ロザリオが選出された。このあとブレーブスは、ワールドシリーズでもアメリカンリーグ王者ヒューストン・アストロズを4勝2敗で下し、26年ぶり4度目の優勝を成し遂げた。
2021年、MLB機構が非銀行系住宅ローン会社のローンデポと契約を締結し、同社はこの年から5年間リーグ優勝決定戦の冠スポンサーとなった[4]。これにより、大会名はナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ presented by ローンデポ(英語: National League Championship Series presented by loanDepot)となる。
10月12日にまずブレーブス(東地区優勝)が、そして14日にはドジャース(西地区2位=第1ワイルドカード)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
ブレーブスはシーズン開幕から4連敗を喫し、その後も勝率.500をなかなか超えられないまま、前半戦は44勝45敗と負け越した。その間の5月には、捕手トラビス・ダーノーが左手親指靭帯損傷で故障者リスト入りし、左翼手マーセル・オズナはドメスティックバイオレンスで逮捕され休職に追い込まれる。さらに前半戦終了前日にも、右翼手ロナルド・アクーニャ・ジュニアが右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負ってシーズンを終えた。ただ、こうして打線の主軸が相次いで戦列を離れながらも、東地区の勝ち星が他地区より伸びなかったため、地区首位ニューヨーク・メッツとのゲーム差は4.0と挽回可能な程度にとどまっていた[6]。7月30日のトレード期限までには外野手の補強を重点的に行い、ジョク・ピーダーソン、ホルヘ・ソレア、アダム・デュバル、エディ・ロザリオを立て続けに獲得する。翌31日から6戦5勝で初めて勝率.500を超えると、8月15日には地区首位に浮上した[7]。後半戦はメッツが29勝45敗と失速したこともあり[8]、9月30日にブレーブスの地区4連覇が決まった[7]。平均得点4.91はリーグ3位、防御率3.89はリーグ4位。オースティン・ライリーの成長などで故障者の穴を埋めた打線や、チャーリー・モートンとマックス・フリードを中心とする投手陣の頑張りに加え、5月下旬から守備シフトを積極的に用いるようになったことも功を奏した[9]。地区シリーズではミルウォーキー・ブルワーズを3勝1敗で下した[10]。
ドジャースは前年ワールドシリーズ制覇後、オフにはFAで先発投手トレバー・バウアーを加えた。2021年は開幕15戦で13勝したものの、続く20試合では一転して5勝にとどまり、勝ち越しを1にまで減らす[11]。その間に地区首位の座をサンフランシスコ・ジャイアンツに奪われ、復調後はジャイアンツを追う展開となった。7月上旬にバウアーが性的暴行疑惑で休職したほか、故障離脱者や成績不振者も相次ぐが、数年来の選手層の厚さでこの年も穴を埋め、勝利を重ねていった[12]。前半戦終了時点ではMLB全30球団中2位の56勝35敗まで成績を上げたが、それでもジャイアンツには2.0ゲーム差離された。トレード期限までに先発投手マックス・シャーザーと内野手トレイ・ターナーを補強すると、9月1日の試合ではシャーザーが6回無失点、T・ターナーが二塁打から同点のホームを踏む活躍で勝利し、4月28日以来となる地区首位に浮上した[13]。だが、翌々日からのジャイアンツとの直接対決3連戦に負け越して再逆転を許し[14]、レギュラーシーズン最終日の10月3日にジャイアンツに地区優勝をさらわれて、ワイルドカードへまわることが決まった[15]。平均得点5.12と防御率3.03のいずれもリーグ最高。地区優勝を逃したとはいえ、レギュラーシーズン106勝は球団史上最多タイ記録だった[12]。ワイルドカードゲームではセントルイス・カージナルスに3-1でサヨナラ勝利し[16]、地区シリーズではジャイアンツに3勝2敗で雪辱した[17]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、ブレーブスがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は6試合対戦し、ドジャースが4勝2敗と勝ち越していた[18]。前述の、ドジャースが一時地区首位に立った9月1日の試合もブレーブス戦で、このときはドジャースが本拠地で8月30日からの3連戦を全勝している[13]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
- 名前の横の★はこの年のオールスターゲームに選出された選手を、#はレギュラーシーズン開幕後に入団した選手を示す。
- 年齢は今シリーズ開幕時点でのもの。
- ※1 第3戦終了後にイノアが故障のためロースターを外れ、第4戦からはリーが代わりに登録された。
- ※2 第4戦終了後にJ・ターナーが故障のためロースターを外れ、第5戦からはAn・バーンズが代わりに登録された。
- ※3 第4戦終了後にソレアが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から復帰し、第5戦からはパチェがロースターを外れた。
- ※4 第5戦終了後にケリーが故障のためロースターを外れ、第6戦からはプライスが代わりに登録された。
ブレーブスは地区シリーズのロースターから投手と野手をひとりずつ入れ替え、ディラン・リーとテレンス・ゴアを外してクリス・マーティンとヨハン・カマルゴを加えた。ブレーブスは、地区シリーズの相手ミルウォーキー・ブルワーズ打線に対しては左投手のカーブが有効とみて、リーを同シリーズのロースターに入れていた[19]。結局リーは登板機会がないまま、マーティンと入れ替わることになった。リーを抜いても、ブレーブスの救援投手陣にはタイラー・マツェックやA.J.ミンターなど、左投手が4人いる[20]。ゴアとカマルゴはともにこの年レギュラーシーズンの大半を傘下マイナーリーグAAA級で過ごし、地区シリーズではゴアがロースター入りして第2戦に代走出場していた。カマルゴは複数のポジションを守れるうえ[21]、スイッチヒッターであるという使い勝手の良さを買われた[19]。
ドジャースは地区シリーズのロースターから野手をひとり減らす形で2枠を入れ替えることにし、投手のデビッド・プライスと野手のビリー・マッキニーに代えて、ともに投手のジャスティン・ブルールとエバン・フィリップスを登録した。地区シリーズでは、プライスは登板機会がなく、マッキニーは2試合に途中出場し1打数無安打だった。投手を増やしたのは、今シリーズ第1戦でドジャースが先発ローテーションの投手に先発登板させず、最初から救援投手だけで小刻みに継投する "ブルペン・デイ" を画策しているためである[22]。当初はマックス・シャーザーの先発登板を予定していたが、そのシャーザーを地区シリーズ最終第5戦の9回裏に救援登板させたため、疲労を考慮して今シリーズでの先発登板は第2戦へスライドさせ、第1戦はコーリー・クネイブルから細かくつなぐことにした[23]。
ESPNが自社の記者13人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、ドジャース勝利予想が11人に対しブレーブス勝利予想が2人という結果となった[24]。CBSスポーツも同様の企画を記者4人で実施し、こちらでは4人全員がドジャースを支持した[25]。『スポーツ・イラストレイテッド』の企画では、記者6人のうちブレーブス支持がひとりいたものの、残りの5人はドジャース勝利と予想した[26]。
2021年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月16日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 |
試合 |
ビジター球団(先攻) |
スコア |
ホーム球団(後攻) |
開催球場
|
10月16日(土) |
第1戦 |
ロサンゼルス・ドジャース |
2-3x |
アトランタ・ブレーブス |
トゥルーイスト・パーク |
|
10月17日(日) |
第2戦 |
ロサンゼルス・ドジャース |
4-5x |
アトランタ・ブレーブス
|
10月18日(月) |
|
移動日 |
|
10月19日(火) |
第3戦 |
アトランタ・ブレーブス |
5-6 |
ロサンゼルス・ドジャース |
ドジャー・スタジアム
|
10月20日(水) |
第4戦 |
アトランタ・ブレーブス |
9-2 |
ロサンゼルス・ドジャース
|
10月21日(木) |
第5戦 |
アトランタ・ブレーブス |
2-11 |
ロサンゼルス・ドジャース
|
10月22日(金) |
|
移動日 |
|
10月23日(土) |
第6戦 |
ロサンゼルス・ドジャース |
2-4 |
アトランタ・ブレーブス |
トゥルーイスト・パーク
|
優勝:アトランタ・ブレーブス(4勝2敗 / 22年ぶり18度目)
|
両チームの
先発ラインナップ
両チームの
先発ラインナップ
両チームの
先発ラインナップ
両チームの
先発ラインナップ
両チームの
先発ラインナップ
両チームの
先発ラインナップ
- ^ "League Championship Series umpires announced / Miller, Meals to Serve as Crew Chiefs As Clubs Aim for the World Series," MLB.com, October 16, 2021. 2021年10月17日閲覧。
- ^ Charles Odum, "Dodgers eager to embrace 2020 NLCS storyline against Braves," Assoicated Press News, October 23, 2021. 2021年11月28日閲覧。
- ^ "loanDepot named presenting sponsor of AMERICAN AND NATIONAL League Championship Series on FOX, FS1 and TBS," MLB.com, March 5, 2021. 2021年10月10日閲覧。
- ^ Scott Miller, "When the Uniforms Seem Not Quite Right," The New York Times, April 17, 2022. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Gabriel Burns, The Atlanta Journal-Constitution, "July could make or break Braves' season," AJC.com, July 16, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ a b Ronald Blum, "Fab Four of July acquisitions lead Braves to World Series," AP News, October 26, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Mike Puma, "Big Mets changes coming as season ends with brutal loss," New York Post, October 3, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ 城ノ井道人 「30球団通信簿 全選手最終成績+GM通信簿 アトランタ・ブレーブス 総力を結集して逆境を克服し、逆転で地区4連覇」 『隔月刊スラッガー』2021年12月号増刊、日本スポーツ企画出版社、2021年、雑誌15510-12、73頁。
- ^ Mark Bowman, "Freddie! Late HR sends Braves back to NLCS," MLB.com, October 15, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Alden Gonzalez, "After five straight series losses, the Los Angeles Dodgers are looking for answers," ESPN.com, May 10, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ a b 新井裕貴(SLUGGER編集部) 「30球団通信簿 全選手最終成績+GM通信簿 ロサンゼルス・ドジャース 誤算続きで地区V9は逃すも実力を証明」 『隔月刊スラッガー』2021年12月号増刊、日本スポーツ企画出版社、2021年、雑誌15510-12、85頁。
- ^ a b Field Level Media, "Dodgers rally to sweep Braves, grab first place," Reuters, September 2, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ R.J. Anderson, "Giants retake NL West lead over Dodgers with season series-clinching victory," CBSSports.com, September 6, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Janie McCauley, "Giants beat Padres, win NL West title on season's final day," AP News, October 4, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Juan Toribio, "Taylor-made! Dodgers walk off into NLDS," MLB.com, October 8, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Juan Toribio, "Dodgers finally overtake Giants, reach NLCS," MLB.com, October 16, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年10月15日閲覧。
- ^ a b Mark Bowman, "Martin, Camargo new for Braves' NLCS roster," MLB.com, October 17, 2021. 2021年11月28日閲覧。
- ^ Gabriel Burns, The Atlanta Journal-Constitution, "Braves announce roster for NLCS vs. Dodgers," The Atlanta Journal-Constitution, October 16, 2021. 2021年11月28日閲覧。
- ^ WSBTV.com News Staff, "Braves announce roster for NLCS vs. Dodgers; Anderson to start Game 2," WSB-TV Channel 2, October 16, 2021. 2021年11月28日閲覧。
- ^ "Braves, Dodgers tweak rosters for NL Championship Series," Associated Press News, October 17, 2021. 2021年11月28日閲覧。
- ^ Bradford Doolittle, "Los Angeles Dodgers start reliever Corey Knebel in Game 1 of NLCS vs. Atlanta Braves," ESPN.com, October 17, 2021. 2021年11月28日閲覧。
- ^ ESPN.com, "MLB playoffs 2021: ALCS and NLCS expert predictions," ESPN.com, October 15, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ Matt Snyder, "Dodgers vs. Braves picks, NLCS predictions: Experts pick reigning champs to keep World Series repeat bid alive," CBSSports.com, October 15, 2021. 2022年9月1日閲覧。
- ^ SI Staff, "MLB Roundtable: Who's Going to Win the NLCS?," Sports Illustrated, October 16, 2021. 2022年9月1日閲覧。