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Socket 370 - Wikipedia

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Socket 370
ソケット形式 PGA-ZIF
チップ形状 PPGA及びFC-PGA
接点数(ピン数) 370
FSBプロトコル GTL+
FSB周波数 66, 100 及び 133 MHz
電圧範囲 1.05~2.1 V
採用プロセッサ #採用製品を参照
前世代 Slot 1
Slot 2
次世代 Socket 423
Socket 603

この記事はCPUソケットシリーズの一部です

Socket 370(ソケット370、またはPGA370 Socket)は、当初インテルPentium IIICeleronプロセッサで使用し、前世代のスロットであるSlot 1を置き換えた、PCCPUソケットの形式である。 "370"は、CPUのピンを刺すためのソケットの穴の数を表している。

当初のSocket 370はCeleron向けであったが、CoppermineTualatinのPentium IIIプロセッサや、後にVIA C3に改名されたVIACyrix IIIで利用されるソケットとなった。Socket 370を使用した一部のマザーボードは、デュアル構成でのインテルのプロセッサをサポートした[1]。また、一部のマザーボードではSocket 370とSlot 1の両方を備え、どちらのソケットおよびスロットでも利用することが出来たが、同時に使用することは出来なかった[2]

MendocinoのCeleronで使用されたPPGAと、その後のコアむき出しのCeleronおよびPentium IIIで使用されたFC-PGAと、ヒートスプレッダ付きのCPU[注 1]で使用されたFC-PGA2の3種類があり、この3つはソケットは同一ではあるものの、PPGAとFC-PGA/FC-PGA2ではピンアサインが違うので互換性はない[3]。ただし、PPGAをFC-PGA/FC-PGA2に変換するゲタが当時発売されていた[3]。FC-PGA2はFC-PGAとピンアサインは同一で、ヒートスプレッダ付きのCPU[注 1]に対してFC-PGA2と名付けられた[4]

電気的には互換性は無いが、Socket 370はx86以外のプラットフォームでも利用された。サン・マイクロシステムズUltraSPARC CPUのいくつかのモデルでSocket 370を使用した。Macintosh互換機向けとして、UMAXPowerPC 603eをSocket 370用に再パッケージした。

Socket 370に対応したCPUはコアがむき出しになっているものが多かった[注 2]CPUクーラーを取り付ける際にコアに対し均等に圧力をかけないとコアを破損(コア欠け)することがあった[7]。特に重量のあるCPUクーラーを使用する場合は注意が必要であった。また、Socket 370のCPUはクーラーのバネを片側のソケットに引っ掛けた状態でもう片方にも引っ掛けて装着するのだが、装着にかなりの力を要するため、引っ掛ける際にマイナスドライバーなどを使用すると、マイナスドライバーを滑らせた際にマザーボードのパターンを削ってしまう危険性もあった[8]

このプラットフォームは過去のものとなり、その後はSocket 423/478/775Pentium 4Core 2プロセッサ向け)に取って代わられ、現在では特殊な用途に限られている。VIAもSocket 370プロセッサを生産していたが、インテルとのライセンスが切れたため、その後は自社のプロセッサシリーズをBGAパッケージに移行している。

Socket 370はSlot 1と電気的な互換性があるので、Slot 1をSocket 370に変換するゲタが利用でき、主にマザーボードメーカーから多数の商品がリリースされた[9]。このタイプのゲタはマザーボードと同一メーカーの商品を使用する事が推奨され、同社製のマザーボードとセットで使用することにより、変換先のCPUの動作保証をしていた事も多くあった[9]。ただし、チップセットが対応しないCPU[注 3]には単純な変換では対応できないので、後述する電圧やFSBを変換するゲタが必要であった。

このソケットを採用したCPUはPentium IIIならKatmai[注 4]→Coppermine→Tualatin、CeleronならMendocino→Coppermine-128K→Tualatin-256Kといずれも3世代に渡っている。特にIntel 440系のようなSlot 1世代にリリースされたチップセットはFSB 133MHzやTualatinに対応できないものが多かったが、電圧やFSBを変換するゲタを利用すれば、対応できないCPUでも対応できる事があった。 このタイプのゲタは主にPowerLeapから発売され、Katmai/Mendocino/Coppermine/Coppermine-128Kにしか対応しないマザーボードをTualatin/Tualatin-256Kに対応できたり[10][11]した。同様にPPGAをFC-PGAに変換するゲタも発売されていた[3]。ただし、これらのゲタはCPUのマイクロコードがない状態で動作させる事になるため、前述の単純にSlot 1をSocket 370に変換するだけのゲタより相性は厳しかった[11]

CPU
チップセット
  1. ^ a b 主にTualatin/Tualatin-256Kに対応するCPU。
  2. ^ 主にCoppermineのPentium IIIとCoppermine-128KのCeleronがコアがむき出しであった。世代的にはPentium III、Celeronとも1世代のみだが、Katmaiはリリース半年程度でCoppermineに取って代わられ、Tualatin/Tualatin-256KはPentium 4より後のリリースだった[5][6]のでやはり短命に終わり、Mendocinoを除けば製品寿命は一番長い世代で、流通量も一番多かった。
  3. ^ 主にコードネームやFSBで対応可否が決まる。
  4. ^ KatmaiはSlot 1対応のCPUしか存在しないが、前述のSlot 1をSocket 370に変換するゲタでSocket 370対応のCPUも使用可能。
  5. ^ 一部のCPUはFC-PGA2。
  1. ^ 池西樹 (2016年1月1日). “10年ぶりに息を吹き返したデュアル370マザーボード、Iwill「DVD266u-RN」を動かす”. エルミタージュ秋葉原. GDM. 2022年9月4日閲覧。
  2. ^ 世界初のSlot 1とSocket 370両用のマザーボードが登場 16通りのベースクロック設定が用意されたDCS製”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (1999年2月20日). 2022年9月4日閲覧。
  3. ^ a b c PPGA-FC-PGA変換アダプタ「Neo S370」が発売に”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (2000年4月22日). 2022年9月4日閲覧。
  4. ^ FC-PGA2版Pentium IIIが正式にリテールパッケージで出回る 化粧箱の側面に「FC-PGA2」の文字、ヒートシンクは若干小型化”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (2001年6月23日). 2022年9月4日閲覧。
  5. ^ Pentium 4 1.3GHzはすでに正式出荷 1,000個ロット時単価は409ドル”. PC Watch. 株式会社インプレス (2001年1月16日). 2022年9月4日閲覧。
  6. ^ Intel、0.13μm製造プロセスのPentium III「Tualatin」の出荷を開始”. PC Watch. 株式会社インプレス (2001年6月20日). 2022年9月4日閲覧。
  7. ^ 【懐かしのPCパーツ図鑑】 Vol.5 まさかの「Celeron 300A」未開封パッケージが発掘される”. エルミタージュ秋葉原. GDM (2015年11月23日). 2022年9月4日閲覧。
  8. ^ Tsukumo_eXのツイート(679470557675405312)
  9. ^ a b 元麻布春男 (2001年4月18日). “■元麻布春男の週刊PCホットライン■ Slot変換用のゲタ6機種をテスト”. PC Watch. 株式会社インプレス. 2022年9月4日閲覧。
  10. ^ 旧型Socket 370マザーをTualatin対応にするアダプタ「PL-370/T」登場”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (2001年2月9日). 2022年9月4日閲覧。
  11. ^ a b 小磯 (2001年11月8日). “Tualatinコア版CPUをSlot1で利用可能になるゲタが来週にも発売予定”. ASCII.jp×ゲーム・ホビー. 株式会社角川アスキー総合研究所. 2022年9月4日閲覧。

Socket 370 / Socket PGA370” (英語). CPU-World. 2022年9月4日閲覧。