REPORT
今年は平塚競輪場で夢の競演。6日制のナイターシリーズで大阪・関西万博協賛「第67回オールスター競輪(GI)」が、8月13日に幕を開けた。初日のメイン、ファン投票によって選ばれた「ドリームレース」は、昨年のグランプリチャンピオンの松浦悠士が鮮やかに突き抜けた。また、「女子オールスター競輪」の「ガールズドリームレース」では、五輪の戦いを終えてフランスから帰国したばかりの佐藤水菜が、地元でファンの期待に応えるまくりを披露した。8月14日のシリーズ2日目は、「オリオン賞レース」をメインに一次予選1、2、「女子オールスター競輪」では予選2が行われる。
シリーズ開催中の毎日、オールスターオリジナルうちわを先着300人様に配布。豪華な景品が当たる未確定車券抽選会、イルミネーション、オリジナルクラフトビールの販売、選手会神奈川支部ブース、ウィンディくんふわふわ、「KEIRIN 4D」体験、HPCJCブースなどがあります。また、8月14日のシリーズ2日目には、「リンダカラーインフィニティ」、「AMEMIYA」のお笑いステージ、「尾崎睦×ビーチバレー」アスリートトークショー、「ばんえい騎手」トークショー、女性パチンコ演者によるオールスター予想バトルなども予定されています。平塚競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。
オールスター競輪ファン投票、男子ベストナイン
オールスター競輪ファン投票、女子ベストセブン
ベストナイン、ベストセブンの選手を代表して意気込みを語る古性優作選手
20回連続出場で表彰を受ける諸橋愛選手
20回連続出場で表彰を受ける平原康多選手
20回連続出場で表彰を受ける岩津裕介選手
20回連続出場で表彰を受ける山崎芳仁選手
敢闘宣言をする北井佑季選手
ドリームレース レース経過
号砲が鳴ると古性優作が飛び出して誘導員を追う。初手は、脇本雄太-古性、清水裕友-松浦悠士、眞杉匠、北井佑季-深谷知広、新山響平-佐藤慎太郎の並び。
青板3コーナーから新山が上昇すると、北井は新山の動きに合わせて踏み上げた。赤板を過ぎると、北井、新山ともにまったく譲らず、イン北井、アウト新山で激しいもがき合いとなる。打鐘2センターで新山が後退すると、脇本、清水がそれぞれ最終ホーム目掛けてスパート。1センター手前で脇本が踏み勝って清水が後退すると、松浦は近畿勢の後ろに切り替える。脇本が前に迫ると、1センター過ぎから深谷が番手まくりに出て、脇本と激しい踏み合いのまま最後の4コーナーを回る。3コーナーから内に入り、直線で深谷と脇本の間を割って伸びた松浦がドリームレースを制した。まくった脇本、古性の近畿勢がそれぞれ2、3着に入った。
ガールズドリームレース レース経過
号砲が鳴ると日野未来が飛び出したが、太田りゆがゆっくりと上昇し、誘導員の後ろに付いた。初手は太田、この後ろは内に日野、外に石井寛子、佐藤水菜、児玉碧衣、久米詩、山原さくらの並びとなるが、石井が1車下げて佐藤との併走のまま周回を重ねる。
青板周回の4コーナーから久米が石井の後ろまで上昇。赤板過ぎの2コーナーで佐藤が車を下げると、山原が踏み上げる。これに気付いた久米は山原を制して上昇。打鐘3コーナー過ぎに久米が前受けの太田を叩いて先頭に立つが、久米に続いていた山原が仕掛けて最終ホーム手前で叩き切る。2センターで車を外に持ち出していた佐藤は、一気にスパートすると、2コーナーで山原をとらえて先頭に躍り出た。山原に続いていた日野が佐藤にスイッチ、更に太田が続く。再三にわたり後続の様子を見ながら駆けた佐藤は余裕しゃくしゃくで、直線でも後続に詰め寄る隙も与えず、ガールズドリームレースを制した。山原の仕掛けに乗り、佐藤に切り替えた日野が2着。日野を追う形になった太田が3着に入った。
<1R>
吉川美穂選手
赤板手前から7番手の石井貴子が上昇を始めて、4番手に押し上げ柳原真緒と併走。打鐘3コーナーから柳原は内を進出。2番手の坂口楓華は4コーナー手前から仕掛ける。最終ホーム手前で坂口が先頭に立ち、そのまま駆ける。前受けの吉川美穂(写真)が2番手に飛び付いて、柳原が3番手。4番手以降はもつれる。4番手のインにいた小林優香は、わずかに空いた柳原の内を2コーナーですくって出る。3番手が小林と柳原で併走になるが、2番手の吉川はすんなり。2センターを過ぎて外に持ち出した吉川が、直線で抜け出した。
「まさかの1着です(笑)。確定板にのれれば上デキかなって思っていたんですけど。展開的にも良くて、(最終)バックで後ろからの仕掛けも見えなかったんで、気持ちに余裕をもって走れたかなって思います。(坂口)楓華さんじゃなくて、誰が(押さえに)来ても流れに乗ってと思っていた。ここに来る前に長い距離を踏む練習をしてきた。いつもそれで調子が上がる」
最終バックでは3番手で小林と併走になった柳原真緒は、コーナーに入っても外をこらえて、吉川を1輪差まで詰めた。
「(最終バックで小林に内から来られて外併走になったが)坂口さんのペースが上手でした。バックでトップスピードになる感じだった。まくりに行きたかったけど、行ける感じじゃなかったですね。吉川さんを差したかったんですけど。でも、思い切って踏み込めた」
<2R>
成田和也選手
赤板1コーナーで高橋晋也が押さえて、北日本3車が出る。その上を林大悟が叩きに行くが、高橋も冷静に踏み上げて突っ張る。林は外に浮いて、小川勇介が打鐘4コーナーで北日本ラインの後ろに入り、川口聖二は6番手で最終ホームを通過する。林が後退して、後方の吉田有希は2コーナーから仕掛ける。バックで川口も合わせて出る。逃げる高橋の番手で間合いを取った成田和也(写真)は、後続を引きつけて直線で追い込む。大外を強襲した吉田に伸び勝った成田が1着。
「(高橋)晋也が頑張ってくれました。(切ってから)1回踏んで、スピードが良ければ2車だけ行かせてもいいかなと思ってたんですけど。ジャンくらいで(高橋が)スピードに乗ってたんで、先行だなと。あとは(まくりを)止められればと思った。けど、(最終)バックで誰も来なかった。2センターくらいで吉田君が見えたんで、踏ませてもらいました。(前回は欠場したが)ここに向けての練習もできたんで、いい感じで走れました」
吉田有希は高橋と林の踏み合いを遥か前に見る8番手。川口に合わされながらも、まくりでそこを乗り越えて直線で大外を伸びた。
「晋也さんが前を取ってくれたらいいなと思ってたけど、(川口)聖二さんが取りにいった。晋也さんを(林)大悟さんが叩くなら、その上をカマすし、踏み合いなら届くところから(仕掛けて)行こうと。(最終)1センターで行こうと思ったんですけど、大悟さんがどういう動きをするのかわからなかった。もうワンテンポ早く行っていれば、河野(通孝)さんも付いてきて、2人で2、3着はあったと思う」
<3R>
永澤剛選手
上昇した鈴木竜士を阻んで、前受けから青野将大が突っ張る。青野がペースを握り、4番手で河端朋之と鈴木の併走で打鐘を迎える。後方でタイミングを取った三谷竜生は、詰める勢いで打鐘2センターから仕掛ける。抵抗する青野を三谷が、最終2コーナーでとらえる。小原太樹のブロックで三谷に遅れた山田久徳だったがなんとか乗り越えて、その外を鈴木がまくる。近畿勢に切り替えた小原は中割りにいって山田とからむ。コースを探した永澤剛(写真)が、山田の外を追い込んで突き抜けた。汗をぬぐう永澤は、例によって恵まれを強調する。
「(地元勢の)3番手なので車券にからめたらいいなっていう感じでした。後ろが併走していましたよね、それで内を締めていて(前が)上がらないでくれって。あとは(直線でコースが)空いたんで(伸びた)。(5月の全プロ記念で)落車してから良くない。ただ、(前々回の)サマーナイトフェスティバルでは追走いっぱいとかだったんで、そこよりは良くなっていると思います」
小原の強烈なけん制で三谷に離れた山田久徳だったが、機動力を持ち合わせているだけに追いつく。が、直線の小原の中割りもあって、山田はこう振り返る。
「早めにレースが始まったんで、(三谷は)勝負どころを逃さずに行ってくれた。(小原のブロックは)多少はわかってたんですけど、結構、キツめにきた。なんとか乗り越えられたんで良かった。バックが踏めなくて(最終4コーナーで)内を空けてしまったのは自分のせいですね。前回もそうですけど、体調的に良くないんで、気合で乗り越えた。あとは(調子が)上がってくるだけかなと」
<4R>
山田英明選手
菅田壱道ラインが前団に構える。青板バック前から中団の志田龍星と上昇した後藤大輝で早くもけん制が始まり、そのまま赤板を迎える。2コーナー手前で後藤が先頭に立つ。山田英明(写真)が続いて、3番手は菅田、志田、瓜生崇智でもつれる。挟まれた志田は後退して、菅田は1車下げて4番手。九州勢が3車で出切り、後藤の先行で最終周回へ。2コーナー過ぎに7番手の志田がまくるが、逃げる後藤の掛かりがいい。中団確保の菅田は2センターから踏み込むが、番手で車間を空けて盤石の態勢の山田が差し切った。
「前に出てからはもう後藤君のペースでって感じで任せていました。瓜生君も3番手を固めてくれていましたし、安心感がありましたね。志田君が先に切るのかやり合うのかで、レースの展開は違うと思った。ずっと踏み上がっていましたし、あれだけ頑張ってくれたので3着には残したいなって思っていたら残ってくれた。ラインのおかげですね」
GI初出場の後藤大輝が主導権。冷静なペース配分で別線を完封して、ラインでの上位独占をメイクした。
「前が取れたら、いつも通り突っ張ろうと思っていたんですけど。誘導を切らないと始まらないと思ったので、上に上がってでも降ろしてと思って叩きに行きました。2周前から上がりっぱなしだったんですけど、思ったよりも脚にきていなかった。落ち着いて駆けられました。お客さんの声援も力になりましたしうれしかったですね。直前に宇都宮で、眞杉(匠)さんや坂井(洋)さんたちと練習をさせてもらった。ボロボロにされたので、いい意味で開き直ったというかレースに出せたと思います」
<5R>
和田健太郎選手
根田空史に併せ込んだ小松崎大地が赤板で外併走から動くが、福永大智は突っ張る。小松崎が3番手に入り、根田は早めに下げて6番手で態勢を整える。福永のペースが上がる前に、根田は2コーナー手前から仕掛ける。根田が打鐘2センターで叩き切って、福永は切れ目の4番手に下げて最終ホームを通過。逃げる根田の加速に、6番手で車間が空いた小松崎は詰められない。原田研太朗は最後方のまま。バック過ぎに踏んだ福永も一息。願ってもない展開が訪れた和田健太郎(写真)が、しっかりと勝ち切った。
「(展開は)ある程度の想定はしていて、そのうちの1個が今日(一次予選1)の形でした。(根田は)やっぱりすごいっすね。タイミングを取って行くっていうよりも、行かなきゃいけないところで責任感を持って行ってる感じだった。根田がフタされてからすぐリスタートを決めてくれて、嶋津(拓弥)がカマシに付いてきてくれたのも大きかった。上積みはないと思う。自分は展開次第です」
思惑通りの流れになった根田空史が、仕掛けどころを逃すことなく踏み込んで駆ける。根田の掛かりに別線は沈黙して千葉ワンツーの決着。
「理想通り中団が取れて、福永君は小松崎さんを1個突っ張るかなっていうのも頭に入れていた。先に引いておいて、小松崎さんが叩けばその上を叩くし、突っ張るなら落ち着いてと。福永君はそんなに早く踏むタイプじゃないし、ジャンくらいで行っちゃえば和田(健)さんがどうにかしてくれる。バンクがじっとりしていて、重さを感じたけど、前回からフレームを柔らかくして正解でした」
<6R>
佐々木悠葵選手
5番手で佐々木悠葵(写真)にフタをされた町田太我は、赤板手前からインを押し上げて3番手を取る。しかしながら、佐々木が再度、町田の外に追い上げて併せ込む。町田はさらに内を突くが、そのタイミングで佐々木が仕掛けて打鐘で主導権を握る。吉澤純平が踏み出しで遅れて、山田諒が番手に飛び付く。佐々木の後ろがもつれて、最終ホーム手前から6番手の町田が踏み上げる。町田がのみ込むかに見えたが、逃げる佐々木が合わせ切り、中川誠一郎のまくりも3番手付近まで。番手を奪取した山田が3コーナー過ぎから追い込むが、佐々木が二の足で踏ん張って1着。
「(組み立ては)町田君にフタをして引かせて、ジャン前から行くっていうのを考えていました。(飛び付いた山田が番手を奪取して)そこはどうなっているかわからなかったです。ペースっていうより、(最終)ホームで1回、全開で踏んでと思ってました。もうちょっとすんなりが良かったけど、早め(の先行)での練習はしていた。(前回の)別府の2日目に同じような感じで、最終ホームで全開っていうのができなかった。そこを成田(和也)さんにアドバイスをしてもらった。今日(一次予選1)は無理くりだったけど、(押し切れたんで)自信になります」
飛び付いた山田が、吉澤から佐々木の番手を奪う。山田マークの笠松信幸は、後ろの気配を察知しながらソツなく追い込んだ。
「(山田)諒君が前々に攻めてくれたのが良かった。最後は外を踏もうかと思ったけど、オグリュウさん(小倉竜二)が後ろにいるのがわかったんで(やめました)。(踏んだ感じは)悪くないですね。ここ2、3場所はあんまり良くなくて、疲れがあるのかと思った。それで(今回は)練習内容を変えてきた。疲れは取れているのかと思います」
<7R>
松谷秀幸選手
野田源一が切ったところを纐纈洸翔が押さえるが、赤板2コーナーでペースは上がらない。5番手の外で晝田宗一郎と併走していた岩本俊介が仕掛けて、打鐘3コーナーで主導権を奪う。巻き返した晝田は3番手までで行き切れない。最終2コーナーからまくりを打った野田に合わせて、逃げる岩本も踏み上げる。野田のまくりを阻んだ松谷秀幸(写真)が、コースを確保して追い込む。こじ開けるように桑原大志が迫ったが、地元の松谷が1着。
「岩本君は纐纈君が叩いたところでも(叩きに行く)っていう感じだった。(岩本は)出切ってからは、ちょっと重そうでしたね。いつも上げないところで(尻を)上げていた。野田さんに行かれてしまいそうだったんですけど。あまりもっていっても、内からいかれてしまうので難しかったですね」
晝田が3番手の外で力尽きると桑原大志は、切り替えて最終2センターから追い込む。直線では野田を外に張って2着に伸びた。
「晝田君がスピードを上げてくれたので、そこからなにもできなくてモヤモヤするところもあるんですけど。このグレードで隙を見せるのは無理なので必死でした。脚がパンパンなのでマッサージをします」
<8R>
南修二選手
佐々木豪、伊藤颯馬の順番で出るが、次の長島大介は寺崎浩平を警戒するように5番手に入り前との車間を空ける。7番手に下げ切った寺崎がアクションを起こし、合わせるように長島が打鐘手前で踏み込む。長島が叩き切るが、関東勢を追った寺崎が最終ホームから襲い掛かる。スピードの違いで、寺崎が最終2コーナーでまくり切る。4番手は佐々木と伊藤で重なり、流れは3車の近畿勢。南修二(写真)が、余裕をもって追い込んだ。
「(寺崎は)ダッシュがすごかったと思います。(打鐘で)1回やめてからの踏み直しだったんで、(付いていくのは)キツかったですね。付き切ってからは、佐々木君が来てるのも見えていたんで、なんとか(ラインで)決められればいいかなと。(状態は)問題ないと思います」
近畿勢は3番手の山本伸一までラインで上位を独占。慌てることなくまくりにチェンジした寺崎浩平が2着。
「自分が行くタイミングで、長島さんが行ってくれたんで、スピードをもらって行けましたね。落ち着いてニュートラルに入れてから、(最終)ホーム目がけて行きました。スピードの乗りは悪くないけど、出切ってからうまく回せなかった。気持ち的には充実しています」
<9R>
松井宏佑選手
谷口遼平が赤板1センターで出ると、松井宏佑(写真)を制して島川将貴が2コーナーで先頭に立つ。島川は、松井の反撃に合わせて踏み上げる。打鐘の2センターで松井が強引に叩き切って、島川が番手に飛び付く。逃げる松井後位が併走になり、6番手には谷口。最終1コーナーから後方の松本秀之介が仕掛ける。谷口も合わせて出るが、松井後位を和田真久留が死守して佐々木龍まで続く地元ラインを脅かすまでには至らない。脚力を消耗しながらも、松井が最後の力を振り絞って1着。
「主導権は絶対にって思ってたんですけど、意外にほかのラインに踏まされた。それで出切るのに結構、キツかったです。(和田)真久留さんが落ち着けって感じだったので(仕掛けを)ワンテンポ遅らせたら、島川君に踏まされてキツかった。(出切ってからは)ペース配分を考えてというより、最後までガムシャラに走った感じですね。もうちょっといい走りができたかなって思うけど、ラインでワンツースリーだったんで。地元のファンの前で僕らしい力強い走りができたかなって思います」
島川の飛び付きをしのいだ和田真久留は、直線で橋本強の中割りも許さなかった。
「島川君は最近(番手に飛び付いたり)そういうレースが多いんで、ジャンであの並びになったのでそういう感じになるんじゃないかと。松井君が落ち着いて仕掛けてくれたんで、あとは(後ろの)自分たちの仕事。ただ、自力よりもキツかったですね。(状態的には)正直、わけがわからない。久々の地元のGIで緊張もするしキツかった。(そういう意味では)流れだったりをつかみ切りたいですね」
<10R>
荒井崇博選手
周回中、3番手にいた阿部将大は、村田祐樹の上昇に合わせて動いて切って出る。阿部が中近コンビを受けて、そこを道場晃規が叩いて打鐘で主導権を握る。南関3車が出切り、今度は山岸佳太が4番手に追い上げて目まぐるしい仕掛け合い。結果的に後方にはなった阿部だが、最終1コーナーからのまくりであっさり別線を仕留める。3番手以降を大きくちぎった九州2人の直線勝負は、番手の荒井崇博(写真)の差し切り。
「阿部君が強かったね。(周回中は3番手だったが)取れた位置からだった。でも、前が欲しかったけどね。それにしても強かったね」
人気の決着もゴール前で荒井に交わされた阿部将大は、こう振り返る。
「(荒井が)めっちゃ強かったです。しっかり踏み直したつもりなんですけど、しっかり差されちゃいました。落ち着いて仕掛けられましたし、最後も踏み直す余裕は合ったんですけど。めちゃくちゃ緊張はしました。自分が点数上位だったので、勝つレースをしないとなって。(荒井と)ワンツーを決められて良かったです」
<11R>
佐藤水菜選手
内に包まれたまま佐藤水菜(写真)が赤板を通過する。打鐘でも外に児玉碧衣がいて動けなかったが、視界が開けた2センター付近から佐藤は反撃を開始。久米詩を叩いて山原さくらが先行するが、そこを佐藤がまくり上げる。最終1センターでは久米、日野未来と3車が重なったが、エンジンの違いであっさりと山原をとらえる。パリ五輪からの強行ローテーションもなんのその。昨年末のグランプリ制覇以来となるガールズケイリンだったが、佐藤が地元でファンの期待に応えた。
「1周半か、1周では(仕掛けて)行こうと思ってたんですけど、6番の石井(寛子)選手に押さえられて道がなくて、道ができてから行きました。パリッとしないレースだったんですけど、休まずに行けました。どんな展開でも、経験を増やしていかないといけないし、すんなり引かないところをアピールできた。良くない展開を、どう組み立て直すか勉強になりました。自転車を(昨年の)グランプリから乗り換えたんですけど、セッティングもまだ合わせてなくて、ローラーで合わせたぐらいだった。全然セッティングが出てないまま走ったので、明日(2日目)はしっかりと修正して走れたらなと思います」
最終ホーム手前で山原にスイッチした日野未来は、佐藤に合わせて踏み込んで高速まくりに対応。佐藤を交わせずも流れ込んだ。
「1周半踏んでも絶対残れないので、仕掛ける人を出してから自分の持ち味で行きました。いままでああいう風に切り替えるのが苦手だったんですけど、このレースに備えて練習した成果が出ました。佐藤さんが見えた瞬間に100パーセントで踏んで飛び付けた。バイク誘導でトップスピードを上げる練習をしているおかげで、周回がゆっくりに思えたし成果は出ています。最後も差しにいったんですけど、脚力及ばずだった。また練習あるのみです」
太田りゆも佐藤と同じくフランス帰り。佐藤、日野を追いかけて最終2コーナーで外に持ち出したが、日野の後ろに降りる形になっての3着。
「スタートは前を取りたかったんですけど、(前を取れず)このままだと後方になると思ったし、いまのコンディション的に自信がなくて、前々で勝負しようと思って前に行きました。そこは瞬時の判断です。久々の日本のレースで、ギアが軽いのもあって、スピード感にも余裕がありました。佐藤さんがすごいスピードで来たのもわかって、日野さんがスイッチしたのもわかった。自分もスイッチして、すぐまくりに行ったけど、勝ち上がりのことを考えて無理はしなかった」
<12R>
松浦悠士選手
ファン投票によって選ばれたトップ9によるドリームレースは、北井佑季と新山響平のプライドがぶつかり合う壮絶叩き合いで幕開け。打鐘でも南関と北日本勢が重なり、その後ろの5番手は車間が空いて脇本雄太が確保する。7番手の清水裕友は、4コーナーから仕掛ける。脇本は、北井が主導権争いを制したところで踏み込む。最終1センター過ぎに深谷知広が合わせて番手まくりに出るが、脇本も外を踏む。清水は近畿勢に合わされて、松浦悠士(写真)が古性の後ろにスイッチ。脇本と深谷の踏み合いで3コーナーに入り、松浦は古性の内を進出。直線で深谷、脇本の間を踏んだ松浦が突き抜けた。
「(北井と新山で壮絶な主導権争いになって)前がどうなっているかはわからなくて、(清水)裕友の後輪だけを見てました。(仕掛けた清水が近畿勢に合わされて)ちょっと待ったんですけど、自分が入らないと後ろに眞杉(匠)君もいたんで入られるんじゃないかと。(直線のコースは)狭かったけど、あそこを行かないとアタマがないと思っていきました。(脇本雄太が)膨らんではないけど、脇本さんと深谷さん(の間)なので、差し込んじゃえばなんとかなるかなと。感触自体はいいです。前節の決勝のいい雰囲気が今日(ドリーム)はありました」
脇本雄太は、勝負どころで中国勢より前のポジションをキープ。ロングまくりを深谷に合わされるも力でねじ伏せた。
「立ち遅れないような位置取りを心がけていました。どちらにして(先行争いの)ケリがついた段階で(仕掛けて)行かないといけないなって。そこは行けたんですけど、レースに余裕がなかった。この1走に関しては、すべてを通して余裕がなかった。(このレースで)疲労が蓄積されたんで、しっかり休みます」
脇本マークの古性優作は、頑張りを無にするわけにもいかず外に持ち出して追い込んだ。
「脇本さんが隙のない、いいタイミングで行ってくれた。脇本さんがすごい頑張っていたんで、自分のなかでは中(のコース)を行く選択肢はなかった。松浦が入ってきたのもわかったんですけど、コケるリスクも高くなるんで。自分の走っている感覚は悪くなかったけど、いま(VTRを)見たらフォームが良くない。ブレ過ぎていて、自分が思っているよりも良くないですね」
<<2日目>>
<3R>
諸橋愛選手
前回の平塚FIでは初日に落車に見舞われた諸橋愛(写真)は、久留米を欠場してこのオールスターの舞台、平塚から復帰を果たす。3週間以上空いたが、落車の影響は心配なさそうだ。
「(落車の)怪我はほとんどない。2日後には練習をしていました。(前回の平塚で)予行演習ができなかったのが残念でした。練習の感じは結構、仕上がった感じです。あとはいつもそうですけど、間隔が空くとレース勘が鈍るんで、(心配は)そのくらいかなと。(練習での)数値的にも最近にしてはいいかなと思います」
今期は1班に返り咲いた森田優弥は、1カ月以上ぶりの今シリーズに新車を投入する。
「和歌山は腰痛で欠場したけど、休んで練習もできたので問題ないです。今回から新車に換えます。サイズはほぼ一緒で、硬くて軽い材質に変えました。スピードは出ると思うので、(スピードバンクの平塚に)フレームがうまく合ってくれればって思います」
<4R>
坂井洋選手
坂井洋(写真)は前々回のサマーナイトフェスティバルで落車。復帰場所となった前回の川崎FIを612着で感触も悪くなさそうだ。
「(落車は)脳震とうが結構ひどくて、1週間ほど休んでから乗り始めました。(川崎は)悪くなかったですね。思ったよりは走れた感じでした。(そのあとは)練習をしっかりとやれました。伊藤颯馬君、後藤大輝君が来てたんで、一緒に練習をやった。(前回よりも)全然、いいと思います」
前々回の佐世保ミッドナイトでGIIIを3連勝で制した松本貴治は、続く久留米FIを324着。
「佐世保のミッドナイトGIIIは3日間とも番手回りだったんですけど、結果を出せたことは良かったですしうれしいです。前回の久留米は暑さがキツくて、湿気もキツくてあまり良くなかったですね」
<5R>
山崎賢人選手
ナショナルチームの活動のため6月の久留米記念が今年の初場所だった山崎賢人(写真)は、いきなりのGIII優勝。続く前回のサマーナイトフェスティバルでも2勝をマークした。
「(前回は)自分の調子は全然、良かった。でも、2日目はまくられてしまったので力負けですね。(そのあとは)ここまではいい状態で来られていると思います。伊豆でトレーニングしてきて、とくに体調とかを崩すこともなかった」
前回の松戸記念は一、二次予選を連勝。藤井侑吾は十八番のカマシだけに頼ることなく、戦いのバリエーションを増やしてさらなるステップを踏もうとしている。
「松戸記念は準決で負けてしまったんですけど、いい感じで走れたと思います。高松宮記念杯でカマシ、まくりだけじゃ通用しないと感じて、(突っ張り先行だったり)いろいろと考えてやっているなかで形になってきていると思います」
<6R>
吉田拓矢選手
吉田拓矢(写真)は、前々回の地元、取手記念を制すと、続くサマーナイトフェスティバルを132着。決勝は眞杉匠のまくりに続いて2着に入った。
「(サマーナイトフェスティバルのあとの弥彦は)腰痛で大事をとって休みました。(前回は)感触は良かった。(決勝は)眞杉が強かったんで、ただ付いていっただけです。(ここまで)いい練習はできたと思います」
前回の松戸記念を121着で優出を果たした取鳥雄吾の決勝は、南関勢に出切られると分断策。自身は8着に沈んだが、連係した清水裕友の優勝に貢献した。
「松戸記念の決勝は突っ張れれば、突っ張りたかったんですけど、(青板バックの)標識線にビビッてしまった。出られてしまったので粘りましたけど、前も踏まなかったので難しかったですね。前回が終わってからは玉野で(清水)裕友たちと一緒に合宿をして、2日間バンクで練習しました。若い子たちもいて、いい練習がでたので頑張りたい」
<12R>
太田海也選手
パリ五輪ではケイリン、スプリント、チームスプリントの3種目に出場した太田海也(写真)は、超過密スケジュールのなかで、昨年のヤンググランプリ優勝以来の競輪がオリオン賞になる。久々の不安はつきまとうものの、それを補って余りあるスピードを有している。
「(帰国してすぐで)疲労感がないと言ったらウソになるけど、飛行機の中でも過ごしやすい環境を整えていただいたので、体の方は準備ができているんじゃないかと思います。(パリ五輪では)3種目に出場させていただいて、メダルにも届きそうだった。7日間、気持ちを張りつめて、一本、一本を全力で走った。けど、メダルに届かなくて、自分にとっては悔しいオリンピックになりました。競技が終わってから時間があったので、日本の競輪をしっかりイメージしながら平塚に入ってきました。メダルには届かないなかでオリオン賞に乗れて、(ファンの方々に選んでもらい)とてもありがたい気持ちです。自分の鍛えてきた脚をしっかり出して戦っていきたい」
郡司浩平は、前回の川崎FIを3連勝の完全優勝。今シリーズの平塚オールスター、このあとの小田原記念と地元“神奈川三部作”で、まずは好スタートを切った。
「(前回は)しっかりレースのなかでやりたいこともできての結果なので、満足してというか、いい流れでここに来られた。前回から地元のあっ旋が3連チャンで入っているので、そこに向けてやってきたことが前回は出せました。そういう面では、ここ最近はいい調子をキープできてるんじゃないかと。(ここまで)少し時間があったので、しっかり練習も調整もできました。悔いのないように、ここに入ってこられました」
3場所前の取手記念、前々回のサマーナイトフェスティバルを連続で優出。前回の別府記念こそ決勝進出はならなかった山口拳矢だが、ようやく自身が納得できるレベルまで戻ってきたようだ。
「(別府記念は)やりたいことはできた。あとはちょっと自分が弱かっただけなんで、意識としては良かったかなと思います。(レース勘や体の感じなど)それはもともと問題なかったんで、練習でも調子悪いとかはないんで大丈夫です。(ここまでは)とくに体調を崩すこともなく普通に練習してきました。(自転車は)フレームを新しくしたんですけど、寸法が変わったとかはない。新車特有の硬さ、重さみたいなのは感じますけど、大丈夫かなと思います」