なな(ナナ)とは? 意味や使い方 - コトバンク
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デジタル大辞泉 「なな」の意味・読み・例文・類語
な‐な
1 《上代東国方言》活用語の未然形に付く。…ないで。…ずに。
「我が背なを筑紫へ遣やりて愛うつくしみ帯は解か―あやにかも寝も」〈万・四四二二〉
[補説]前の「な」は打消しの助動詞「ず」の古い未然形。後の「な」については、打消しの助動詞「ず」の古い未然形、または終助詞、あるいは助詞「に」の音変化した「な」などとする説がある。万葉集の東歌にだけみられる。
2 《完了の助動詞「ぬ」の未然形+終助詞「な」。上代語》活用語の連用形に付く。…てしまいたい。…てしまおう。
「秋の田の穂向ほむきの寄れる片寄りに君に寄り―言痛こちたくありとも」〈万・一一四〉
ナナ(Nana)
精選版 日本国語大辞典 「なな」の意味・読み・例文・類語
な‐な
- [ 1 ] ( 完了の助動詞「ぬ」の未然形に、願望の助詞「な」の付いたもの ) 自己の行為につき、ひたすらに願望する意を表わす。…てしまいたい。…てしまおう。
- [初出の実例]「秋の田の穂向の寄れる片寄りに君に寄り奈名(ナナ)言痛(こちたく)ありとも」(出典:万葉集(8C後)二・一一四)
- [ 2 ] ( 打消の助動詞「ず」の古い未然形「な」の重複形 ) …ずにありつつ。…ずに。…ないで。
- [初出の実例]「しらとほふ小新田山の守る山の末枯(うらが)れせ奈那(ナナ)常葉にもがも」(出典:万葉集(8C後)一四・三四三六)
ななの補助注記
[ 二 ]は、上代東国方言として現われる。未然形「な」と助詞「に」の結合とみる説もある。諸例とも、終止でなく接続するものと解することができるので、下の「な」を願望の助詞とする説はとりがたい。
ナナ
な‐な
- 〘 副詞 〙 ( 副詞「な」を、重ねて強めたもの ) 「そ」を伴って用いる。…するな。…してはならない。
- [初出の実例]「卯の花がさねなな召さいそよ、月にかがやきあらはるる」(出典:歌謡・閑吟集(1518))
改訂新版 世界大百科事典 「なな」の意味・わかりやすい解説
ナナ
Nana
フランスの小説家ゾラの代表作《ナナ》(1880)の主人公。正式の名はアンナ・クーポーAnna Coupeau。《居酒屋》の女主人公ジェルベーズとクーポーの間に1852年に生まれた。ビロードのような全身赤茶の産毛におおわれた肉体には強烈な性的魅力があり,それを唯一の売物として,パリのバリエテ座で〈金髪のビーナス〉の主役としてデビューし,成功する。その後は銀行家や貴族たちをパトロンにして豪勢な生活を送る。何代もつづいたアルコール中毒の遺伝による性的異常を示すが,男たちはみなこの美しい牝に魅せられ,身を滅ぼすことをいとわない。新聞で,男だけでなくパリを腐敗させる女,〈汚物から飛び立った金蠅〉と書かれたことがある。その後,街娼をしたりしていて,突然,姿をくらまし,中近東へ出かけるが,1870年,普仏戦争直前にパリに戻り,ホテルの一室で,天然痘のため無残な姿で死ぬ。わずか18歳であった。第二帝政と共に栄え,共に滅びたナナの生涯は,まさにその時代の象徴といえる。
→ルーゴン・マッカール
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本大百科全書(ニッポニカ) 「なな」の意味・わかりやすい解説
ナナ
なな
Nana
フランスの作家ゾラの長編小説。『ルーゴン・マッカール双書』第九巻として1880年に刊行、空前のベストセラーになった。『居酒屋』のヒロイン、ジェルベーズの娘アンナ(愛称ナナ)が、美しい肉体を売り物にして貴族、実業家、記者、純情な少年などを次々と破滅に追いやるが、プロイセン・フランス戦争勃発(ぼっぱつ)の当日、天然痘にかかり無残な最期を遂げる。第二帝政下の腐敗した環境を「堆肥(たいひ)」として成長したナナは、まさしくセックス・シンボルであり、彼女を通して下層階級が上流社会に復讐(ふくしゅう)し、帝政が崩壊すると同時にヒロインも死に至る。全体を一気に盛り上げる巧みな構成と旺盛(おうせい)な想像力、豊饒(ほうじょう)な文章に支えられたゾラの代表作。
[工藤庸子]
『田辺貞之助・河内清訳『ナナ』全二冊(岩波文庫)』
[参照項目] | ゾラ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「なな」の意味・わかりやすい解説
ナナ
Nana
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
普及版 字通 「なな」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
デジタル大辞泉プラス 「なな」の解説
ナナ
世界大百科事典(旧版)内のななの言及
【ナナ】より
…フランスの小説家ゾラの代表作《ナナ》(1880)の主人公。正式の名はアンナ・クーポーAnna Coupeau。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」