手本(テホン)とは? 意味や使い方 - コトバンク
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デジタル大辞泉 「手本」の意味・読み・例文・類語
精選版 日本国語大辞典 「手本」の意味・読み・例文・類語
て‐ほん【手本】
- 〘 名詞 〙
- ① 文字や絵画などを習うときに、そばに置いて模範とするために書かれた本。臨本。
- [初出の実例]「て本四くわん、いろいろのしきしにかきて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
- 「いまめかしきてほむ習はば、いとよう、書い給ひてん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- ② 物事を行なうのに、模範とすべき人や物、または行ない。見ならうべきこと。模範。
- [初出の実例]「是を見給へ、東国の殿原、日本一の甲の者の自害する手本とて」(出典:平家物語(13C前)九)
- ③ 標準となる型、様式。また、商品などの見本。
改訂新版 世界大百科事典 「手本」の意味・わかりやすい解説
手本 (てほん)
絵や文字を習うとき模範とすべき書画およびそれをかいた本をさし,転じて物事を行うとき模範とすべきもの,見本とするものをいう。《源氏物語》梅枝巻に〈手本多くつどへたりし中に……〉の用例があるように,早くからこの語句が使われた。一般に書を学ぶとき,その時間の大半は臨書に費やされる。先生の手本や古典の名蹟を見て練習し,自運,創作への基礎とするのである。みずからの栄養源となるものであるから良い手本を習うにこしたことはなく,永年にわたり万人が認めた古典的名筆が選ばれる。中国では法とすべき書,法書というものが篆隷楷行草の各体にあって参考とされ,日本では古来,王羲之の書や隋唐の写経が模範とされ,日本書道の母胎となった。また日本の三筆,三蹟の書も手本にふさわしいもので,中・近世になると往来物(消息文)がおもな手本となり,手習いと同時に日常生活に必要な知識の学習に用いられ,さらに江戸時代の寺子屋では師が書き与える手本そのものが修身,歴史,作文など一般知識を習得する手本となった。なお中国では,〈手本〉は下級官史が上官に,あるいは門生が師に会うときに差し出す名刺の意で,書画の手本にあたるものは字帖,画帖という。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
普及版 字通 「手本」の読み・字形・画数・意味
【手本】しゆほん
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