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記者の目:連載「ソ連崩壊30年」を取材して 指導部に残る超大国意識=前谷宏(モスクワ支局)

  • ️毎日新聞
  • ️Thu Dec 23 2021
NATOのロバートソン事務総長(当時、右)と握手するプーチン露大統領。プーチン氏はこの時の会談で、NATOの第2次東方拡大について懸念を示した=ブリュッセルで2002年11月11日、AP
NATOのロバートソン事務総長(当時、右)と握手するプーチン露大統領。プーチン氏はこの時の会談で、NATOの第2次東方拡大について懸念を示した=ブリュッセルで2002年11月11日、AP

 社会主義国家・ソビエト連邦(ソ連)が崩壊して、25日で30年となる。当時は後継国家のロシアが冷戦時代に対立した欧米諸国と融和し、民主化も進むと期待された。だが、連載「ソ連崩壊30年」で紹介したように、権威主義が強まるプーチン政権下のロシアはソ連時代と比べられ、欧米との軍事的緊張は「新冷戦」とも表現される。なぜ時計の針は巻き戻ったのか。

 札幌市に暮らす中学生だった私がソ連崩壊を肌で感じたのは、1992年の初めに友人らと釣りをしに小樽港を訪れた時だった。停泊するおんぼろの船から下りてきた白人男性が、ジェスチャーで「釣れるのか」と聞いてきた。「全然ダメだ」。私たちも身ぶり手ぶりで返し、必死に会話をしようとした。