¥サバイバル:安月給だけど「やりがいはある」の終わり 沸騰する初任給戦争
- ️毎日新聞
- ️Tue May 21 2024

「令和XX年、少子高齢化の加速により就活生が会社を選ぶ時代となった」。近未来の就職面接を描いた1分間のショートフィルム「逆面接」が今春、SNS(ネット交流サービス)上で拡散し、大きな反響を巻き起こした。監督は、映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎氏(40)。視聴者の反応は、人々の心の奥底を鋭く切り取ってきた上田氏にとっても意外なものだった。
逆面接は「フィクション」じゃなかった
「逆面接」はこんなふうに始まる。就職面接の面接官の席に座るのは、パーカを着た若い男性。そこにスーツ姿の中年男性3人が緊張した面持ちで入室し、面接される側の椅子に並んで座る。
「じゃあ、皆さんの会社に入るメリットを教えてください」。定時退社、有給休暇取り放題、在宅勤務……。企業の採用担当者がその会社で働く「メリット」を次々にあげていく。最後に順番の回ってきた男性担当者が「仕事のやりがい」を熱く訴えるが、逆にやり込められ、結局は待遇の良い会社が選ばれる――。そんなストーリーだ。
円安と人手不足がデフレ期に染みついたゲームのルールを変えていく。大転換期を迎えるヒトとモノの「値段」の今をリポートします。
初任給30万円の「おいしい」仕事とは…本当の人手不足時代が来る
「金額だけで決めてはいけない」 初任給アップの注意ポイント
SNSへの投稿直後から話題になり、上田氏の公式X(ツイッター)だけでも1200万回以上表示された。採用する側の立場が強く、採用される側が弱い。そんな就職面接の風景を逆転させ、そのあり方を風刺する「フィクション」のつもりだった。しかし、反響の広がりは上田氏の予想を大きく超えていた。
「今は会社側が入社するメリットを見せないと優秀な人は…