文化財を継ぐ:/上(その1) 子どもがガイドに
- ️毎日新聞
- ️Mon Jan 18 2016
日本(にっぽん)には次(つぎ)の世代(せだい)に残(のこ)したい歴史的(れきしてき)な建造物(けんぞうぶつ)がたくさんあります。その魅力(みりょく)を知(し)ってもらうため、愛知登文会(あいちとうぶんかい)(愛知県国登録有形文化財建造物所有者(あいちけんくにとうろくゆうけいぶんかざいけんぞうぶつしょゆうしゃ)の会(かい))は、子(こ)どもによる文化財(ぶんかざい)ガイドをしています。【ささきあり】
文化財(ぶんかざい)は、長(なが)い年月(ねんげつ)を経(へ)て伝(つた)えられてきた国民(こくみん)の財産(ざいさん)です。日本(にっぽん)は文化財保護法(ぶんかざいほごほう)に基(もと)づき、重要(じゅうよう)なものを国宝(こくほう)、重要文化財(じゅうようぶんかざい)などと指定(してい)して保存(ほぞん)、活用(かつよう)しています。各市町村(かくしちょうそん)でも重要(じゅうよう)なものを指定(してい)しています。
建設後(けんせつご)50年(ねん)を過(す)ぎ、時代(じだい)の特色(とくしょく)があって同(おな)じには造(つく)れないような建造物(けんぞうぶつ)を、文化財(ぶんかざい)として国(くに)に登録(とうろく)できる制度(せいど)もあります。愛知県(あいちけん)には現在(げんざい)452件(けん)の国登録有形文化財(くにとうろくゆうけいぶんかざい)(建造物(けんぞうぶつ))があり、魅力(みりょく)を伝(つた)える事業(じぎょう)が行(おこな)われています。その一(ひと)つが、「子(こ)ども文化財(ぶんかざい)ガイド」です。
墨会館(すみかいかん)の魅力(みりょく) 発見(はっけん)しよう
昨年(さくねん)11月(がつ)、子(こ)ども文化財(ぶんかざい)ガイドが、一宮市(いちのみやし)の墨会館(すみかいかん)でありました。参加(さんか)したのは、2〜5年生(ねんせい)の11人(にん)。1回目(かいめ)の講座(こうざ)では、春日井未琴(かすがいみこと)さんら大人(おとな)のボランティアガイドの案内(あんない)で、墨会館(すみかいかん)の見(み)どころを教(おし)えてもらいました。2回目(かいめ)は、四(よっ)つのグループに分(わ)かれて、どういうコースでお客(きゃく)さんを案内(あんない)するかを考(かんが)えます。
墨会館(すみかいかん)は、染色整理加工業(せんしょくせいりかこうぎょう)をしていた艶金興業(つやきんこうぎょう)の本社(ほんしゃ)として、58年前(ねんまえ)にできました。広島平和記念資料館(ひろしまへいわきねんしりょうかん)や東京都庁舎(とうきょうとちょうしゃ)などを手(て)がけた世界的(せかいてき)な建築家(けんちくか)、丹下健三(たんげけんぞう)さんが設計(せっけい)しました。
墨会館(すみかいかん)ができたころ、あたりは工場(こうじょう)に囲(かこ)まれ、機械(きかい)やトラックの音(おと)でうるさかったそうです。丹下(たんげ)さんは、どうしたら静(しず)かな空間(くうかん)をつくれるかを考(かんが)え、壁(かべ)に囲(かこ)まれた建物(たてもの)を設計(せっけい)しました。
綿貫夏月(わたぬきなつき)さんと牧里緒子(まきりおこ)さん(ともに5年(ねん))は、今(いま)は公民館(こうみんかん)になっている墨会館(すみかいかん)が「国(くに)の登録文化財(とうろくぶんかざい)だと知(し)ってほしいので、入(い)り口(ぐち)から案内(あんない)しようと思(おも)いました」と、外(そと)から始(はじ)まるコースを計画(けいかく)しました。
石垣青悟君(いしがきせいごくん)(4年(ねん))は「壁(かべ)に囲(かこ)まれていても、いろんなところに明(あ)かりとりがあって明(あか)るいのに、びっくりした」と言(い)います。そこで、天野初音(あまのはつね)さん(3年(ねん))と、お客(きゃく)さんを案内(あんない)するとき解説中(かいせつちゅう)に照明(しょうめい)を消(け)して、どれだけ明(あか)るいかを感(かん)じてもらう演出(えんしゅつ)を考(かんが)えました。=2面(めん)につづく