綱領・基本方針|日本維新の会について|日本維新の会
⑵ 日本維新の会が目指す日本の未来社会
① 地方主導による統治機構改革
現代社会においては人々の生活様式の多様化が進み、地域ごとに抱える課題も細分化される中で、中央集権体制による画一的な政策が非効率な行政を生み出し、あるいは地域の実情に沿った課題解決につながらないといった問題が表面化している。
日本維新の会はこの状況に鑑み、中央省庁の持つ権限を大きく地方自治体に移譲し、我が国の統治機構のあり方を中央集権体制から、地域のことは地域で決められる地方分権体制に移行すべきであると考える。
それぞれに異なる課題と、異なる地理的、経済的、あるいは文化的背景を有する各地域が、各々の特性と課題に応じて主体的に政策決定を行い、自らの財源によって自立した自治体運営を行うことのできるよう、権限と財源をセットで国から地方へ移譲することが、現代社会において最も民主的で、かつ最も効率的な地方自治のあり方である。
これらの統治機構の抜本的発想転換を、地方の主体的な政治努力によっ て実現することで、我々の目指す「自立する地域」のあるべき姿を将来に亘って獲得することができる。
② 地方政府の強化と国会機能の強化
地方政府の強化は即ち、地方ごとに政策の最適化を実現すると同時に、国会機能の強化にも寄与するものである。
中央官庁の敷く全国共通の制約に服することなく、地方政府が地方の自由な裁量によって自らの地域が抱える強みと課題を分析し、真に優先順位の高い政策を選択していくことによって、これまでのような全国一律の非効率な政策は排除され、地域の特性に応じた住民サービス、産業振興、あるいは真に必要な規制のあり方が実現される。
各地方の創意工夫に満ちた自由な意志による豊かさの追求は、我が国の都市間競争をより一層高いレベルへと押し上げ、住民生活の質を向上させるとともに、さらなる多様性と豊かさをもたらすことが期待される。
また、地方政府への権限移譲によって、多くの地域課題やそこに暮らす住民課題の解消は地方政府が専ら行うこととなり、中央政府の機能は国防や外交、税と社会保障、憲法の制定および改定等、国家の本質的かつ最も重要な役割に限定される。
③ 自由競争による切磋琢磨と、手厚いセーフティネットの構築
1989年には時価総額世界のトップ企業20社に、実に14社の日本企業が 名を連ね、Japan as No.1と言われる輝かしい成功を収めた。しかし、現在では世界のトップ企業20社に名を連ねる日本企業は存在せず、アメリカ、中国はもとより、スイス・韓国・台湾などの企業に後塵を拝している。
日本維新の会は、強い規制で民間企業を政府がコントロールするという旧 来の発想から脱却し、政府の役割は企業の自由な経済活動や組織改革、および新しい産業分野への挑戦を積極的に後押しする環境を整備することが必要と考える。企業の自由競争による切磋琢磨を加速させることによって成長分野に人とお金を集中させ、日本企業の国際競争力を取り戻すことが国力の回復と国民生活の向上につながると考える。
同時に、働く個人に対しては手厚いセーフティネットの構築を進め、誰もが 公平にチャレンジできる社会の実現と、失敗しても何度でも再チャレンジができる社会を同時に実現する。
現在の生活保護のような、一度入り込んでしまうと抜け出すことが難しいセーフティネットではなく、新たなチャレンジを行うための職業訓練やリカレント教育の無償化を掲げ、国民ひとりひとりが「自立した個人」として豊かな社会の中で何度でも自己実現に向けた挑戦ができる最低所得保証制度を構築し、活力ある社会を実現する。
④ 持続可能な社会保障の実現
我が国の社会保障はその多くが高度成長期に作られ、その前提としている社会は終身雇用制度、多子人口増加社会、現在の社会からはかけ離れたものとなっている。
年齢による一律支給の年金制度、現役世代が高齢者を支える賦課方式は 現代社会において満足に機能せず、国民の多くは将来に大きな不安を抱えている。
日本維新の会は、これらの制度を微調整、微修正するだけの古い政治体制から一線を画し、現代の社会に合わせて制度を抜本的に創り直すことを目指す。
現代社会においては、働き方の多様化とジョブシェアリング等の進展によって雇用形態も複雑化、不安定化し、人口構造は少子高齢化と人口減少によって現役世代にくらべ高齢者層が大きく膨らむ構造となっている。国民の間には富の偏在的蓄積が進み、金融所得の拡大が国民間に格差を押し広げ、国民の相対的貧困率は15%を超えている。
このような状況に鑑み、日本維新の会では税と社会保障の一体的改革を進め、受益と負担の公平化を図るとともに国民の所得格差を緩和し、国民生活の実態に即した持続可能な社会保障制度を構築する。
⑤ .国際社会においてリーダーシップを発揮する日本
資源の多くを外国からの輸入に頼る我が国において、諸外国との関係強 化による食料、エネルギー、半導体・レアメタル等の戦略的物資をはじめとし た資源供給の安定化は国民生活の持続可能な発展のために不可欠である。
また、我が国の安全を脅かす軍事的挑発行為等への対処、平和維持のための国際的枠組みの発展、および国境警備などに関する我が国の主体的な取り組みを加速させ、国民生活の安全を確保していくことは重大な課題である。
加えて、温暖化等の気候変動による海面上昇や気象災害、海洋プラスチック等の流出による海洋資源の破壊、大気汚染など、地球規模での持続可能性を担保するために国際的な協力体制が不可欠な課題に対しても、世界有数の経済と人口規模を有する我が国が果たす役割は一層高まっている。
日本維新の会は、先に挙げたように、内政における多くの国民課題の解決を地方政府へと委ね、中央政府が国家の存立と我が国を取り巻く国際社会の問題に総力をあげて取り組む体制を構築する。外交においては、世界が直面する課題に対して新たな構想と解決策を自ら提示し、つくり出していくことによって、国際社会の新たな方向性やルール策定において主導的な立場をとる。それにより、国際社会の平和と繁栄の維持・発展に一層貢献するとともに、世界の成長力を日本の国と地域の成長力として戦略的に取り込んでいく。こうした方策により、日本が国際社会で一層のリーダーシップを発揮し、国益の確保と国際平和への貢献を両立する、「自立する国家」となることを目指すものである。