JP5317947B2 - 交通流計測システム、車載器及び路側通信装置 - Google Patents
- ️Wed Oct 16 2013
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による交通流計測システムの構成を示すブロック図である。また、図2は、図1の交通流計測システムの設置例を示す図であり、片側2車線の道路と片側1車線の道路が交差する交差点に設置した場合を示している。図1に示すように、実施の形態1による交通流計測システムは、路側あるいは路上の固定局側の構成として、路側光ビーコン装置100,110,120,130及び路側DSRC通信装置200を備え、車載の移動局側の構成として車載器300を備える。
路側光ビーコン装置(第1の無線通信装置)100は、片側2車線の道路に対応して、図2に示すように、車両400が交差点に進入する側の各車線のほぼ真上に設置される、第1車線(左側車線)用光ビーコン通信装置101及び第2車線(右側車線)用光ビーコン通信装置102と、光ビーコン制御装置103を備える。
第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102は、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、自身の光ビーコン通信エリア(5m四方未満の極狭域)105を通過した車両に対して通知データを、光通信で送信する。
光ビーコン制御装置103は、ネットワーク210に接続して、情報のやり取りを行う構成部であり、路側光ビーコン装置100が搭載する不図示の路側記憶部から読み出したデータや自身が計測した時刻データから、光ビーコン通信装置101,102のそれぞれに対応する通知データ(後述する車載器300への通知データ)を構築して光ビーコン通信装置101,102に与える。なお、光ビーコン制御装置103は、路上に設置された光ビーコン通信装置101,102に個別に内蔵されて、それぞれネットワーク210に接続してもよい。
図2において、第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102は、交差点に進入する車両400が走行する道路の左側車線と右側車線とにそれぞれ対応して設置される。同様に、交差点に進入する車両410が走行する道路には、路側光ビーコン装置120が設置され、交差点に進入する車両420が走行する道路には、路側光ビーコン装置110が設置され、右側から交差点に進入する走行方向の道路には、路側光ビーコン装置130が設置される。
なお、光ビーコン通信装置101,102は、路上DSRC通信装置201のDSRC電波アンテナが設置された位置から所定の道程(道なりの距離)だけ離間した位置であって、DSRC電波アンテナに向かって走行する車両の進行方向手前の道路上に少なくとも設置される。
路側光ビーコン装置100は、既に実用化されて路上又は路側に設置されている光ビーコン装置と基本的に同様な構成及び機能を有するが、この路側光ビーコン装置100から車載器300へ送信される通知データ(ダウンリンクデータ)は、既設の光ビーコン装置と異なり、道路ID情報、タイムスタンプ情報及び交差点通過距離値を含んでいる。
道路ID情報は、路側光ビーコン装置100を設置した道路に付与されたIDであり、この道路ID情報によって、路側光ビーコン装置100が設置された道路及び車線を特定できる。タイムスタンプ情報は、路側光ビーコン装置100と車載器300とが通信した時点の時刻を示す情報であって、GPS受信時刻のような標準時刻を用いて規定される。
交差点通過距離値とは、交差点内の道路上の路側DSRC通信装置200との通信開始又は通信エリアの制限を規定する通信許可域制限データであり、路側光ビーコン装置100の位置からの道程距離によって、路側DSRC通信装置200と車載器300との通信を制限する通信制限エリ
ア23
0を規定する。
路側光ビーコン装置(第1の無線通信装置)110,130は、路側光ビーコン装置100と同様の機能及び構成を有する光ビーコン装置である。図2では、1つの交差点に対して4方向から道路が接続しており、路側光ビーコン装置110,130は、これら複数の道路のうち、交差点に車両が進入する側の車線であって、路側光ビーコン装置100,120を設置した道路と異なる道路に設置される。
第1車線(左側車線)用光ビーコン通信装置111は、第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102と同様の機能及び構成を有しており、光ビーコン制御装置113は、光ビーコン制御装置103と同様の機能及び構成を有している。この路側光ビーコン装置110と同様の路側光ビーコン装置130が、交差点に接続する道路の交差点へ進入する側の車線(左側車線)に設置される。
路側DSRC通信装置(第2の無線通信装置)200は、信号機500,501などが設けられた交差点内の道路上あるいは交差点内の道路の路側に設置され、自身の通信エリア内の車両から送信される車両アップリンクデータを受信するとともに、そのデータから進路方向別の交差点の交通流データを算出して出力する装置であり、路上DSRC通信装置201、DSRC通信制御装置202及び交通流データ処理装置203を備える。
路上DSRC通信装置201は、路上DSRC電波アンテナを介して車載器300から車両アップリンクデータを受信する装置である。路上DSRC通信装置201の路上DSRC電波アンテナは、交差点のほぼ中央の路上数mの設置ポールに取り付けられ、DSRC無線通信エリア220は、図2に示すように交差点を含む円状の領域となる。具体的には、DSRC無線通信エリア220は20m〜50m四方の狭域であり、ETC(登録商標)(自動料金収集システム)で使用されている5.8GHz帯のDSRC電波ビーコンが用いられる。より望ましいものとしては、交差点などで発生するシャドーイングやマルチパスの悪影響を受けにくい700MHz帯のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を利用したDSRC電波ビーコンや、普及が進んで低価格化した無線LAN(Local Area Network)等を利用することも可能である。路上DSRC通信装置201は、路上DSRC電波アンテナを介して、DSRC無線通信エリア220内の車両に搭載された車載器300と個別通信チャネル(交差点通過前と交差点通過後に通信開始される通信チャネル)を確立し、車載器300から車両アップリンクデータを受信する。
DSRC通信制御装置202は、ネットワーク210に接続して情報をやり取りするとともに、路上DSRC通信装置201で受信した車両アップリンクデータを、交通流データ処理装置203に与える。交通流データ処理装置203は、DSRC通信制御装置202を介して入力した車両アップリンクデータに基づいて、当該車両アップリンクデータを送信した車載器300が搭載された車両の進行方向別の交差点の交通流データを算出する装置である。
なお、車載器300からの車両アップリンクデータは、道路ID情報、タイムスタンプ情報、運転操作情報及び道程距離データを含むデータである。
道路ID情報は、路側光ビーコン装置100から通知データ(ダウンリンクデータ)として車載器300が受信する道路ID情報であり、車載器300を搭載する車両が現在走行している道路及び車線を特定するための情報である。タイムスタンプ情報も、道路ID情報と同様に、路側光ビーコン装置100から通知データ(ダウンリンクデータ)として車載器300が受信するタイムスタンプ情報であり、車載器300と路側光ビーコン装置100とが通信した時点の時刻を示す情報である。運転操作情報は、車載器300を搭載する車両の方向指示器の右左折操作を示す情報である。この運転操作情報から、車載器300を搭載した車両が右折する状況にあるか、直進するか、左折する状況にあるかを特定することができる。道程距離データは、車載器300が、路側光ビーコン装置100から通知データを受信した時点から、当該車載器300を搭載した車両が走行した道程を示すデータである。
車載器300は、実施の形態1による交通流計測システムに対して交通流計測で用いる車両毎の情報を提供する車載器であり、光送受信素子301、光通信部302、車載DSRCアンテナ303、DSRC通信部304、車輪回転パルス検出器305、運転状況検出部306及び車載データ処理部307を備える。なお、図1の例では、車載器300の各構成部を一体化した構成を示したが、構成部が別筐体に分離されていても構わない。
光通信部(第1の無線通信部)302は、光送受信素子301を介して、路上に設置された光ビーコン通信装置101,102と光波による無線通信を行う構成部である。光送受信素子301及び光通信部302によって、路側光ビーコン装置100(110,120,130)から、通知データ(ダウンリンクデータ)を受信する。つまり、光送受信素子301及び光通信部302は、自車両が交差点に進入する手前で路側光ビーコン装置100との間で1対1の個別通信を行う。光送受信素子301及び光通信部302が、第1の無線通信部に相当する。
DSRC通信部304は、車載DSRCアンテナ303を介して、路上DSRC通信装置201と電波による無線通信を行う構成部である。車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304によって、路側DSRC通信装置200へ車両アップリンクデータを送信する。ただし、車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304は、交差点内の車載器300との通信が禁止される
通信制限エリア230(図2で破線で囲った交差点内の領域)外(交差点手前で、かつDSRC無線通信エリア220内)に自車両があるとき、路側DSRC通信装置200との1対1の個別通信により車両アップリンクデータを送信する。また、車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304は、複数台の車載器300(他車両の車載器300)との間で、1対複数の個別通信も行うことができる。これら車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304が、第2の無線通信部に相当する。
車輪回転パルス検出器305は、車両の車輪の回転速度に比例した周波数のパルス(以下、車輪速パルスと呼ぶ)を検出する。この車輪回転パルス検出器305は、スピードメータ表示用に使用されている検出器と基本的に同じ構成であり、それを流用してもよい。なお、通常は、車輪1回転あたり4パルスである。このパルス数をカウントすることで、車両速度(車速)や車両の移動距離を算出できる。
運転状況検出部306は、運転者による方向指示器(ターンシグナル)の操作や、ブレーキ・アクセルペダルの踏み込んだ際の操作信号を検出することにより、自車両の運転状況を示す状況信号を生成する構成部である。ここでは、方向指示器における右左折のオン信号又はオフ信号を状況信号として出力する。
車載データ処理部307は、路側DSRC通信装置200へ送信する車両アップリンクデータを生成したり、車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304による通信動作を制限する構成部であり、記憶部308、道程算出部309、通信制限部310及び情報処理部311を備える。
記憶部308は、光送受信素子301及び光通信部302によって路側光ビーコン装置100(110,120,130)から受信された通知データを格納する記憶部である。道程算出部309は、光送受信素子301及び光通信部302によって通知データが受信された時点から自車両が走行した道程を算出する構成部である。例えば、車載器300への通知データの受信を契機に車輪回転パルス検出器305が検出するパルス数をカウントすることにより、通知データの受信時点からの道程距離を算出する。
通信制限部310は、道程算出部309が算出した道程距離データと、記憶部308に格納した通知データに含まれる交差点通過距離値とを比較して、交差点内の車載器300との通信を禁止する
通信制限エリア230を自車両が走行しているか否かを判定し、自車両が
通信制限エリア230を走行している場合に、車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304による通信動作を通信不可に制限する構成部である。
情報処理部311は、記憶部308に格納した通知データ、道程算出部309により算出された道程距離データ及び運転状況検出部306から入力した状況信号を用いて、路側DSRC通信装置200へ送信する車両アップリンクデータを生成する構成部である。
また、車載データ処理部307は、CPU(中央演算処理装置)、記憶手段、時間計測手段、及びインタフェース手段を備えた情報処理装置(コンピュータ)において、この発明の趣旨に従う処理プログラムをCPUが実行することにより、この情報処理装置上でソフトウェアとハードウェアが協働した具体的な手段として実現することができる。
なお、この情報処理装置自体の構成及びその基本的な機能については、当業者が当該技術分野の技術常識に基づいて容易に認識できるものであり、この発明の本質に直接関わるものでないので詳細な記載を省略する。
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1による交通流計測システムの車載器の動作を示すフローチャートである。この図3に沿って、図2に示す道路上に交通流計測システムを展開した場合における車載器300の動作を詳細に説明する。なお、図2において、車載器300は、車両400に搭載されているものとする。また、車両位置401〜404は、車両400が、交差点で右折するか、左折するか、直進するかに応じた車両位置である。つまり、車両400が交差点で右折する場合、車両位置401で右折待ちを行い、車両位置404が右折した後の車両位置である。車両400が左折する場合は、左折後に車両位置402に移動する。一方、車両位置403は、車両400が直進して交差点を抜けた後の位置である。
以降では、車両400の走行に伴った車載器300の動作を例に挙げる。
車両400が交差点に向かって第1車線(左側車線)を走行している間、車載器300の光通信部302は、光波による通知データの受信待ち状態にある。つまり、光波による通知データの受信有無によって路側光ビーコン装置100の下を通過したか否かが判断される(ステップST1)。ここで、光波による通知データの受信がなければ、路側光ビーコン装置100,110の下を通過していないため(ステップST1;NO)、車両400は、そのまま走行を継続する(ステップST5)。
車両400が路側光ビーコン装置100の下に達して、第1車線用光ビーコン通信装置101の光ビーコン通信エリア105に進入すると(ステップST1;YES)、車載器300の光通信部302は、光波による無線通信を介して、車線情報と同時に、道路ID情報、タイムスタンプ情報及び交差点通過距離値を含む通知データを、第1車線用光ビーコン通信装置101から受信する(ステップST2)。ここで、車線情報とは、車両400が走行する車線位置、つまり車両400が第1車線を走行中であることを示す情報である。この発明の路側光ビーコン通信装置100,110,120,130においても同様に送信される。
車載器300の道程算出部309は、光送受信素子301及び光通信部302によって路側光ビーコン通信装置100から通知データが受信されると、これを契機に、当該通知データを受信した時点から車両400が走行した道程の距離データ(道程距離データL)の積算を開始する(ステップST3)。ここでは、L=0から、車輪回転パルス検出器305の出力信号に基づいて算出した走行距離を積算し、道程距離データLとする。また、情報処理部311は、光送受信素子301及び光通信部302によって受信された通知データを記憶部308に格納する。
次に、通信制限部310が、路側DSRC通信装置200の路上DSRC電波アンテナによるDSRC通信エリア内に、自身を搭載する車両400が入ったか否かを判定する(ステップST4)。ここで、車両400がDSRC通信エリア内に入っていない場合(ステップST4;NO)、通信制限部310は、DSRC通信部304から“受信有り”を示す信号が出力されるまで、上述の判定処理を繰り返す。
一方、車両400がDSRC通信エリア内に入った場合(ステップST4;YES)、通信制限部310は、記憶部308から読み出した通知データに含まれる交差点通過距離値と、道程算出部309により当該通知データ取得後に時々刻々と算出される道程距離データLとを比較して、道程距離データLが、交差点通過距離値が示す通信制限エリ
ア23
0に達したか否かを判定する(ステップST6)。ここで、車両400が通信制限エリア
230内に達していない場合(ステップST6;NO)、通信制限部310は、道程算出部309により時々刻々と算出される道程距離データLを用いて、上述の判定処理を繰り返す。
車両400が通信制限エリ
ア23
0に達した場合(ステップST6;YES)、通信制限部310は、その旨及びこの時点での道程距離データLを情報処理部311へ通知するとともに、DSRC通信部304を制御して路側DSRC通信装置200との通信チャネルを確立する(ステップST7)。このとき、情報処理部311は、道程距離データLが通信制限エリアに達したときの状況信号を運転状況検出部306から入力して自車両の運転操作情報とするとともに、記憶部308から通知データに含まれる道路ID情報及びタイムスタンプ情報を読み出し、これら道路ID情報及びタイムスタンプ情報、現時点の道程距離データL及び運転操作情報を含む車両アップリンクデータを生成してDSRC通信部304へ出力する。DSRC通信部304は、車載DSRCアンテナ303を介して、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200へ送信する。
DSRC通信部304は、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200が受信したことを確認し、路側DSRC通信装置200との交信が終了すると、路側DSRC通信装置200との通信チャネルを遮断する(ステップST8)。
この後、通信制限部310は、記憶部308から読み出した通知データに含まれる交差点通過距離値と、道程算出部309により当該通知データ取得後に時々刻々と算出される道程距離データLとを比較して、道程距離データLが、交差点通過後の距離値を超えたか否かを判定する(ステップST9)。ここで、道程距離データLが交差点通過後の距離値を超えていない場合(ステップST9;NO)、通信制限部310は、道程算出部309により時々刻々と算出される道程距離データLを用いて、上述の判定処理を繰り返す。
道程距離データLが交差点通過後の距離値を超えた場合(ステップST9;YES)、通信制限部310は、その旨及びこの時点での道程距離データLを情報処理部311へ通知するとともに、DSRC通信部304を制御して路側DSRC通信装置200との通信チャネルを確立する(ステップST10)。このとき、情報処理部311は、現時点の状況信号を運転状況検出部306から入力して自車両の運転操作情報とするとともに、記憶部308から通知データに含まれる道路ID情報及びタイムスタンプ情報を読み出し、これら道路ID情報及びタイムスタンプ情報、現時点の道程距離データL及び運転操作情報を含む車両アップリンクデータを生成してDSRC通信部304へ出力する。
DSRC通信部304は、車載DSRCアンテナ303を介して、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200へ送信する。DSRC通信部304は、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200が受信したことを確認し、路側DSRC通信装置200との交信が終了すると、路側DSRC通信装置200との通信チャネルを遮断する(ステップST11)。
路側DSRC通信装置200の交通流データ処理装置203は、路上DSRC通信装置201及びDSRC通信制御装置202を介して車両アップリンクデータを受信すると、当該車両アップリンクデータから車両の進行方向別の交差点の交通流データとして、下記のような交通流パラメータを算出する。なお、交通流データ処理装置203は、車両アップリンクデータに含まれる運転操作情報から車両の進行方向を特定することができる。
(1)交通量Q、フローレートFQ
交通量Qは、単位時間(通常は1時間、昼間、夜間等の比較的長い時間)あたりの通過車両台数である。また、フローレートFQは、交通管制や信号制御に利用する比較的短時間(1分〜30分程度の分単位)の交通量Qである。
交差点での車両の通過台数は、後述するトラフィックカウンタで求めてもよいが、例えば、車載器300からの車両アップリンクデータを、通信制限エリアの進入時及び離脱時もしくは交差点入り口及び交差点出口で受信したことをもって通過車両を特定し、通過台数のカウントを行うようにしてもよい。
(2)平均速度V
平均速度Vは、交差点を通過する車両の平均速度であり、車両の走行速度を流れとして見たもので交通流の速度といえる値である。通常は、時間平均した時間平均速度もしくは空間で平均した空間平均速度を用いる。なお、平均速度Vは流れの速さはわかるが、交通流の大きさをそのままでは表していない。
この発明では、信号制御等に寄与する交差点での交通流パラメータを生成するのが目的であるため、交通流データ処理装置203が、交差点における交通流データとして、例えばフローレートFQを演算し出力する。交差点のフローレートFQとして、当該交差点に設置された各方向の信号の灯火が、緑・黄・赤(矢印青があればそれを含む)と1回ずつ変化する合計時間を1サイクルとしたときの、例えば、3サイクル〜30サイクルぐらいを単位時間としたものが適切である。
ここで、交差点における車両の道程距離データLの時間変化について説明する。
図4は、交差点における車両の道程距離データの時間変化を示す図であり、図2の下方から交差点に進入する車両400の交差点通過前後における道程距離データLの時間変化を示しており、上段のグラフは車両400が交差点を直進して通過した場合であり、下段のグラフは車両400が交差点を右折して通過した場合を示している。また、横軸は時間軸であり、信号の1サイクル時間のほぼ1.5倍の長さ分の期間を記載している。なお、縦軸のスケールは、図をわかりやすくするために交差点入り口の地点から上と下で同じではなく、交差点入り口の手前では、スケールを小さく(縮めて)表記している。
縦軸の0点では、車両400が交差点手前の路側光ビーコン装置100の下を通過(図4の地点a)すると、車載器300の道程距離データLが“0”にリセットされ、路側光ビーコン装置100から通知データを受信したことを契機に、車載器300の道程算出部309が、車両400の走行に従って道程距離データLをアップカウントする。
次に、車両400が交差点の入り口地点(図4の地点b)を通過する。地点bに車両400が達したとき、道程算出部309が積算している道程距離データLは、路側光ビーコン装置100の下の位置から交差点の入り口までの道程距離となる。地点bから通信制限エリアが始まるように交差点通過距離値が設定されている場合や、交差点入り口(地点b)から通信制限する設定されている場合(実施の形態4で後述する)には、車載器300が路側DSRC通信装置200と交信して、上述の車両アップリンクデータが車載器300から路側DSRC通信装置200へ送信される。
車両400がさらに走行すると、交差点の出口付近の地点cに到達する。この地点cにおいても、上記と同様に、地点cで通信制限エリアが終わるように交差点通過距離値が設定されている場合や、交差点出口(地点c)で通信制限を解除する設定されている場合(実施の形態4で後述する)は、車載器300が路側DSRC通信装置200と交信して、上述の車両アップリンクデータが車載器300から路側DSRC通信装置200へ送信される。
図4において、車両400が交差点を通過して離脱した後も路側光ビーコン装置が設置されており、車両400がさらに走行してその路側光ビーコン装置の下を通過することを横軸に沿った実線で示している。なお、実線は、路側光ビーコン装置の設置場所で決まる地点を示しており、交差点入り口及び交差点出口の各地点をそれぞれ破線で示している。
また、図4上段のグラフにおいて、符号Aを付した曲線部分は、車両400が、交差点の信号機が“赤”の期間に交差点手前まで走行し、交差点入り口(地点b)付近で停車(信号待ち)し、その後に信号機が“緑”になってから交差点を直進通過した場合の道程距離データLの時間変化を示している。
符号Bを付した曲線部分は、車両400が、信号機が“緑”の期間に交差点に進入し、そのまま交差点を直進通過した場合の道程距離データLの時間変化である。
符号Cを付した曲線部分は、車両400が、信号機が“緑”から“右折緑矢印”に変化する期間に交差点手前まで走行した後、交差点入り口(地点b)付近で停車(信号待ち)し、その後に信号機が“緑”になってから交差点を直進通過した場合の道程距離データLの時間変化を示している。
さらに、交差点を右折する車両については、信号機の灯色だけでなく、対向直進車両や右折後の横断歩道上の歩行者や自転車も一種の走行障害になり、考慮する条件が増える。
図4下段のグラフにおいて、符号Dを付した曲線部分は、信号機が“緑”であっても、対向直進車両410が通行するため、車両400が交差点内で一時待機し、さらに交差点出口(地点c)手前で横断歩行者があるために、車両400が、途中で低速走行した場合の道程距離データLの時間変化を示している。
また、符号Eを付した曲線部分は、車両400が、対向直進車両の通行のため、信号機が“緑”の期間内に交差点を右折できず、信号機が“右折緑矢印”の現示になって交差点を右折した場合の道程距離データLの時間変化である。
次に、図4を用いて交通流データ処理装置203による交通流データの演算処理を説明する。ここでは、交差点の交通流データとして、フローレートFQの算出方法を詳細に述べる。
先ず、交差点を通過した各車両の交差点入り口(地点b)から交差点出口(地点c)までの平均車速は、車両アップリンクデータに含まれる各車両の地点bから地点cまでの道程距離データLを、この道程距離データLを積算した経過時間で除算することにより算出される。ここで、各車両の交差点通過における平均車速をCViとする。平均車速CViは、直進車両も右折車両も同様に上述のように演算することができる。
次に、信号の1サイクル時間Tsの間における直進車両の通過台数(図4上段のグラフでは、6台)に関して、その平均車速ACVを下記式(1)に従って演算する。従って、この信号サイクル(例えば、k番目とする)において、直進通過車両のフローレートFQ(k)は、下記式(2)から算出できる。
ACV=ΣCVi/6 ・・・(1)
FQ(k)=(6(台)+α)*ACV ・・・(2)
右折通過車両についても、地点bから地点cまでの間で同様の計算が可能であり、図4下段のグラフの例では、信号の1サイクル時間Tsでの右折車両の通過台数が5台であることから、この信号サイクルでの右折通過車両のFQ(k)は、下記式(3)から算出できる。なお、上記式(2)及び下記式(3)における+α、+βについては、後述する。また、最終的な交差点での進行方向別の交通流データは、複数の信号サイクル分(例えば10サイクル〜30サイクル)で平均化した量を用いればよい。
FQ(k)=(5(台)+β)*ACV ・・・(3)
このように、交通流データ処理装置203は、交差点の信号機の信号サイクルに同期して進行方向別の車両アップリンクデータを収集して、アップリンクされたデータを用いて交通流データを算出する。また、車両アップリンクデータに含まれるタイムスタンプ情報を用いることで、進行方向別の交通流データを時間帯別に算出することも可能である。
また、本発明は、プライバシの問題を避けるため、車両個別のIDを利用せず、道路ID情報のみを用いるため、進行方向の車線が複数ある場合、交差点通過中に車両の追い越しが発生すると、車両アップリンクデータから特定する地点bと地点cが、同一の車両の走行に起因したものであるかどうか判別できない。この場合は、各車両の平均車速に誤差が含まれる可能性がある。
そこで、本発明では、上述したように各車両の平均車速をさらに所定回数の信号サイクルにわたって平均化する。これにより、各車両の平均車速における誤差を相殺することができる。
上記式(2)及び(3)で示したように、交通流データ処理装置203は、複数の信号サイクルでの平均車速(ACV)に比例定数(通過車両台数Qに相当する値)を乗じた値を、交差点の交通流パラメータとして算出する。この通過台数は、交差点の信号機の信号サイクルの整数倍の期間(例えば、1信号サイクルの期間)における進行方向別の車両の通過台数である。
なお、交差点手前に設置した路側光ビーコン装置100が、トラフィックカウンタ(路側光ビーコン装置100下を通過する車両からの光の反射信号を検出して各車両の通過をカウントするカウンタ)の機能を有している場合は、このカウント情報(通過)をネットワーク210を経由して交通流データ処理装置203へ通知する。交通流データ処理装置203では、受信したカウント情報から通過台数を算出することができる。
このようにすることで、本発明による車載器300を搭載していない車両についても、通過台数に相当する比例定数を、精度良く見積もることができる。上記式(2)及び(3)で示した+α及び+βは、本発明による車載器300を搭載していない車両の台数も含めた通過台数の補正値である。
次に、車両アップリンクデータから交差点手前及び交差点通過直後における渋滞情報の算出処理について説明する。
図4に示す交差点入り口(地点b)及び交差点出口(地点c)において、路側DSRC通信装置200の交通流データ処理装置203は、車両の車載器300から受信した車両アップリンクデータから、路側光ビーコン装置100下(地点a)からの車両の道程距離データLを取得する。また、交通流データ処理装置203は、車両アップリンクデータに含まれるタイムスタンプ情報から、地点aから地点bへ車両が到達するまでの経過時間を算出し、上記の道程距離データLを上記経過時間で除算することにより、地点aから地点bまでの各車両の平均車速を算出することができる。
なお、車載器300が、タイマ(実施の形態3で後述する時間算出部)を有している場合は、このタイマで計測した各地点間の経過時間を、車両アップリンクデータとしたものを利用してもよい。
上記式(1)を用いて、地点aから地点bまでの区間及び地点bから地点cまでの区間における1信号サイクルでの平均車速ACVを算出し、これら平均車速データから交差点手前及び交差点通過後における渋滞情報が得られる。
例えば、一般道路における直進での平均車速は、通常時、40km/h〜60km/hであるが、交差点付近では、これより少し低速になるため、ここで得られた平均車速が、20km/h〜30km/hならやや混雑気味、10km/h〜20km/hならばやや渋滞、10km/h以下なら渋滞という、渋滞状況を表すデータを進路方向別に得ることができる。
以上のように、この実施の形態1によれば、路側DSRC通信装置200の通信制限エリア内にあるとき、路側DSRC通信装置200との通信を制限するとともに、交差点手前に設置された路側光ビーコン装置100からの通知データに含まれる道路ID情報及びタイムスタンプ情報、自身で検出した自車両の運転操作情報、自車両が通信制限エリアに達した地点まで又は通信制限エリアを抜けた地点までの道程距離データLを含む車両アップリンクデータを、路側DSRC通信装置200へ送信する車載器300を備え、路側DSRC通信装置200が、自身の通信エリア内の車両に搭載された車載器から受信した車両アップリンクデータを用いて、交差点における車両の交通流データを進路方向別に算出する。交差点での路側DSRC通信装置200との通信負荷を増加させることなく、簡易で安価な構成で交差点を通過する車両の交通流を精度良く計測することができる。
実施の形態2.
この実施の形態2は、上記実施の形態1とシステム構成及び動作の基本的な内容は同様であるが、路側DSRC通信装置200が、交差点に交差する道路ごとに通信エリア(分割通信エリア)を分割することにより、車載器300から運転操作情報を取得することなく、進行方向別に各車両の交差点通過時の情報を得ることができる点で異なる。
図5は、この発明の実施の形態2による交通流計測システムの設置例を示す図であり、路側DSRC通信装置200が、路上DSRC電波アンテナから、交差点に交差する道路ごとに通信エリア221a,221b,222a,222bを分割している。
また、図6は、実施の形態2による車載器の構成を示すブロック図である。図6において、実施の形態2による車載器300は、上記実施の形態1と異なって、運転状況検出部306が省略されている。
実施の形態2による交通流計測システムの構成は、車載器300が図6に示す構成であり、路側DSRC通信装置200が分割通信エリアで車両アップリンクデータを受信すること以外は、上記実施の形態1と同様である。従って、車載器300以外のシステム構成については、図1を参照する。
図5に示すように、路側光ビーコン装置(第1の無線通信装置)100は、片側2車線の道路に対応して車両400が交差点に進入する側の各車線のほぼ真上に設置される、第1車線(左側車線)用光ビーコン通信装置101及び第2車線(右側車線)用光ビーコン通信装置102と、光ビーコン制御装置103を備える。第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102は、上記実施の形態1と同様に、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、自身の光ビーコン通信エリア(5m四方未満の極狭域)105を通過した車両に対して通知データを、光通信で送信する。また、車載器300へ送信される通知データ(ダウンリンクデータ)は、上記実施の形態1と同様に、道路ID情報、タイムスタンプ情報及び交差点通過距離値を含んでいる。
路側DSRC通信装置(第3の無線通信装置)200は、交差点内の道路上あるいは交差点内の道路の路側に設置され、交差点を交差する道路ごとに分割された通信エリア221a,221b,222a,222bを形成し、各通信エリア内の車両から送信される車両アップリンクデータを受信するとともに、そのデータから進路方向別の交差点の交通流データを算出して出力する装置である。
実施の形態2において、車載器300は、図6に示すように運転状況検出部306を有さないため、車載器300から路側DSRC通信装置200へ送信する車両アップリンクデータには、道路ID情報、タイムスタンプ情報及び道程距離データが含まれる。
路側DSRC通信装置200の交通流データ処理装置203は、車載器300からのアップリンクデータを通信エリア221aで受信した後、さらに通信エリア221bでアップリンクデータを受信すれば、当該車載器300を搭載した車両は、交差点を直進通過したものと判断することができる。同様に、車載器300からのアップリンクデータを通信エリア221aで受信した後、通信エリア222aでアップリンクデータを受信すれば、当該車載器300を搭載した車両は交差点を左折しており、通信エリア222bでアップリンクデータを受信すれば、当該車両は交差点を右折したと判断する。
車両の道程距離データLの算出や車両進行方向以外の車両アップリンクデータを用いた交通流データの演算内容については、上記実施の形態1と同様であるので詳細な説明を省略する。
以上のように、この実施の形態2によれば、路側DSRC通信装置200の通信制限エリア内にあるとき、路側DSRC通信装置200との通信を制限するとともに、交差点手前に設置された路側光ビーコン装置100からの通知データに含まれる道路ID情報及びタイムスタンプ情報、自車両が通信制限エリアに達した地点まで又は通信制限エリアを抜けた地点までの道程距離データLを含む車両アップリンクデータを、路側DSRC通信装置200へ送信する車載器300を備え、路側DSRC通信装置200が、交差点に繋がる道路ごとの通信エリア221a,221b,222a,222bを形成するとともに、道路ごとの通信エリア内の車両に搭載された車載器300から受信した車両アップリンクデータを用いて、交差点における車両の交通流データを進路方向別に算出する。このようにすることで、車載器300が車両の右左折の操作情報を収集する必要がないため、車載器300の構成を簡易化することができる。また、交通流データ処理装置203へのアップリンクデータを低容量化できるので、車載器300と路側DSRC通信装置200との間の通信負荷を低減することが可能である。
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3による車載器の構成を示すブロック図である。図7において、実施の形態3による車載器300は、上記実施の形態2で図6を用いて説明した構成に時間算出部312を追加している。時間算出部312は、光送受信素子301及び光通信部302によって通知データが受信された時点からの経過時間を算出する構成部である。なお、その他の構成部については、上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
実施の形態3の車載器300は、上記実施の形態1及び上記実施の形態2における車載器の代わりに用いることができる。
なお、実施の形態3の車載器300は、交通流データ処理装置203へのアップリンクデータとして、上記実施の形態1及び上記実施の形態2で示した内容に加え、時間算出部312が算出した上記経過時間を含める。
このため、路側光ビーコン装置100(第1の無線通信装置)から車載器300へ送信する通知データに、車両がビーコン下を通過した時点のタイムスタンプ情報を含めなくてもよい。つまり、路側DSRC通信装置200の交通流データ処理装置203は、車両アップリンクデータから得た道程距離データLと上記経過時間から車速を算出する。
以上のように、この実施の形態3によれば、車載器300が、通知データが受信された時点からの経過時間を算出する時間算出部312を備えたので、路側光ビーコン装置100が時間計測をする必要がなく、本発明を既存の路側光ビーコン装置100へ適用する際に付加すべき構成を簡易化することができる。
実施の形態4.
この実施の形態4は、上記実施の形態1とシステム構成及び動作の基本的な内容は同様であり、車載器は上記実施の形態3で図7を用いて説明した構成と同様であるので、システム及び車載器の構成については図1及び図7を参照する。また、以降では、図2に示す設置例で実施の形態4に特有な内容について説明する。
先ず、実施の形態4の路側光ビーコン装置(第4の無線通信装置)100,110,120,130は、上記実施の形態1と同様、図2に示すように車両400が交差点に進入する側の各車線のほぼ真上に設置される、第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102を備え、また光ビーコン制御装置103を備える。
ただし、この実施の形態4による路側光ビーコン装置100は、上記実施の形態1と異なり、交差点のかなり手前(例えば、交差点入り口から100m程度離れた位置)に設置される。
第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102は、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、自身の光ビーコン通信エリア(5m四方未満の極狭域)105を通過した車両に対して通知データを、光通信で送信する。
実施の形態4において、路側光ビーコン装置100から車載器300へ送信される通知データ(ダウンリンクデータ)は、道路ID情報、路側光ビーコン装置100の位置から交差点入り口までの道程距離値及び路側光ビーコン装置100から交差点出口までの道程距離値を含んでいる。道路ID情報は、上記実施の形態1で示したものと同様である。また、路側光ビーコン装置100の位置から交差点出口までの道程距離値は、車両の進行方向別の値(右左折、直進に応じた道程距離)が設定される。
路側DSRC通信装置(第5の無線通信装置)200は、上記実施の形態1と同様に、交差点内の道路上あるいは交差点内の道路の路側に設置され、自身の通信エリア内の車両から送信される車両アップリンクデータを受信するとともに、そのデータから進路方向別の交差点の交通流データを算出する。
ただし、実施の形態4による路側DSRC通信装置200は、例えば、主要道路が交差する大規模な交差点に設置することを想定しており、さらに交差点通過前で車載器300と個別通信チャネルを確立して車両アップリンクデータを受信できるように、路側光ビーコン装置100から交差点入り口までの間を通信エリアに含む。
車載器300は、上記実施の形態2と同様に、光送受信素子301、光通信部302、車載DSRCアンテナ303、DSRC通信部304、車輪回転パルス検出器305、車載データ処理部307及び時間算出部312を備える。また、車載データ処理部307は、記憶部308、道程算出部309、通信制限部310及び情報処理部311を備える。
実施の形態4による車載器300では、路側光ビーコン装置100からの通知データとして、道路ID情報、路側光ビーコン装置100の位置から交差点入り口までの道程距離値及び路側光ビーコン装置100から交差点出口までの道程距離値が通知される。
情報処理部311は、記憶部308に格納した通知データ、道程算出部309により算出された道程距離データ及び時間算出部312から入力した経過時間を用いて、路側DSRC通信装置200へ送信する車両アップリンクデータを生成する。
例えば、車両アップリンクデータとして、路側光ビーコン装置100の通知データから抽出した道路ID情報、道程算出部309が算出した道程距離データL、時間算出部312が算出した、上記通知データが受信された時点からの経過時間、交差点入り口に達するまでの経過時間、交差点出口に達するまでの経過時間、及び自車両の車速を含める。
なお、交差点入り口に達するまでの経過時間は、通知データに含まれる路側光ビーコン装置100の位置から交差点入り口までの道程距離値に自車両が達した時点で時間算出部312が算出した値を用いる。同様に、交差点出口に達するまでの経過時間についても、通知データに含まれる路側光ビーコン装置100の位置から交差点出口までの道程距離値に自車両が達した時点で時間算出部312が算出した値を用いることができる。
さらに、自車両の車速は、通知データに含まれる上記交差点出口までの道程距離値から上記交差点入り口までの道程距離値を減算した値を、上記交差点出口までの経過時間から上記交差点入り口までの経過時間を減算した値で除算して求める。
次に動作について説明する。
図8は、実施の形態4による交通流計測システムの車載器の動作を示すフローチャートである。この図8に沿って、図2に示す道路上に交通流計測システムを展開した場合における車載器300の動作を詳細に説明する。なお、図2において、車載器300は、車両400に搭載されているものとする。また、車両位置401〜404は、車両400が、交差点で右折するか、左折するか、直進するかに応じた車両位置である。つまり、車両400が交差点で右折する場合、車両位置401で右折待ちを行い、車両位置404が右折した後の車両位置である。車両400が左折する場合は、左折後に車両位置402に移動する。一方、車両位置403は、車両400が直進して交差点を抜けた後の位置である。
以降では、車両400の走行に伴った車載器300の動作を例に挙げる。
車両400が交差点に向かって第1車線(左側車線)を走行している間、車載器300の光通信部302は、光波による通知データの受信待ち状態にある。つまり、光波による通知データの受信有無によって路側光ビーコン装置100の下を通過したか否かが判断される(ステップST1a)。ここで、光波による通知データの受信がなければ、路側光ビーコン装置100,110の下を通過していないため(ステップST1a;NO)、車両400は、そのまま走行を継続する(ステップST5a)。
車両400が路側光ビーコン装置100の下に達して、第1車線用光ビーコン通信装置101の光ビーコン通信エリア105に進入すると(ステップST1a;YES)、車載器300の光通信部302は、光波による無線通信を介して、車線情報と同時に、道路ID情報、タイムスタンプ情報、路側光ビーコン装置100の位置から交差点入り口までの道程距離値及び路側光ビーコン装置100から交差点出口までの道程距離値を含む通知データを、第1車線用光ビーコン通信装置101から受信する(ステップST2a)。ここで、車線情報とは、車両400が走行する車線位置、つまり車両400が第1車線を走行中であることを示す情報である。この発明の路側光ビーコン通信装置100,110,120,130においても同様に送信される。
車載器300の道程算出部309は、光送受信素子301及び光通信部302によって路側光ビーコン通信装置100から通知データが受信されると、これを契機に、当該通知データを受信した時点から車両400が走行した道程の距離データ(道程距離データL)の積算を開始する(ステップST3a)。ここでは、L=0から、車輪回転パルス検出器305の出力信号に基づいて算出した走行距離を積算して道程距離データLとする。
また、情報処理部311は、光送受信素子301及び光通信部302によって受信された通知データを記憶部308に格納する。
次に、通信制限部310が、路側DSRC通信装置200の路上DSRC電波アンテナによるDSRC通信エリア内に、自身を搭載する車両400が入ったか否かを判定する(ステップST4a)。ここで、車両400がDSRC通信エリア内に入っていない場合(ステップST4a;NO)、通信制限部310は、DSRC通信部304から“受信有り”を示す信号が出力されるまで、上述の判定処理を繰り返す。
一方、車両400がDSRC通信エリアに入った場合(ステップST4a;YES)、通信制限部310は、記憶部308から読み出した通知データに含まれる上記交差点入り口までの道程距離値と、道程算出部309により当該通知データ取得後に時々刻々と算出される道程距離データLとを比較して、道程距離データLが、交差点入り口までの距離値に達したか否かを判定する(ステップST6a)。ここで、車両400が交差点入り口に達していない場合(ステップST6a;NO)、通信制限部310は、道程算出部309により時々刻々と算出される道程距離データLを用いて、上述の判定処理を繰り返す。
車両400が交差点入り口に達した場合(ステップST6a;YES)、通信制限部310は、その旨及びこの時点での道程距離データLを情報処理部311へ通知するとともに、DSRC通信部304を制御して路側DSRC通信装置200との通信チャネルを確立する(ステップST7a)。このとき、情報処理部311は、道程算出部309から自車両が交差点入り口に達するまでの道程距離データLを入力し、時間算出部312から交差点入り口に達するまでの経過時間を入力するとともに、記憶部308から通知データに含まれる道路ID情報を読み出し、道路ID情報、交差点入り口に達するまでの道程距離データL及び経過時間を含む車両アップリンクデータを生成してDSRC通信部304へ出力する。DSRC通信部304は、車載DSRCアンテナ303を介して、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200へ送信する。
DSRC通信部304は、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200が受信したことを確認し、路側DSRC通信装置200との交信が終了すると、路側DSRC通信装置200との通信チャネルを遮断する(ステップST8a)。
この後、通信制限部310は、記憶部308から読み出した通知データに含まれる交差点出口までの道程距離値と、道程算出部309により当該通知データ取得後に時々刻々と算出される道程距離データLとを比較して、道程距離データLが、交差点通過後の距離値(交差点入り口までの距離値+交差点内通過距離値)を超えたか否かを判定する(ステップST9a)。ここで、道程距離データLが交差点通過後の距離値を超えていない場合(ステップST9a;NO)、通信制限部310は、道程算出部309により時々刻々と算出される道程距離データLを用いて、上述の判定処理を繰り返す。
道程距離データLが交差点通過後の距離値を超えた場合(ステップST9a;YES)には、通信制限部310が、その旨及びこの時点での道程距離データLを情報処理部311へ通知するとともに、DSRC通信部304を制御して路側DSRC通信装置200との通信チャネルを確立する(ステップST10a)。このとき、情報処理部311は、道程算出部309から自車両が交差点出口に達するまでの道程距離データLを入力し、時間算出部312から交差点出口に達するまでの経過時間を入力するとともに、記憶部308から通知データに含まれる道路ID情報を読み出し、道路ID情報、交差点出口に達するまでの道程距離データL及び経過時間を含む車両アップリンクデータを生成してDSRC通信部304へ出力する。
DSRC通信部304は、車載DSRCアンテナ303を介して、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200へ送信する。DSRC通信部304は、車両アップリンクデータを路側DSRC通信装置200が受信したことを確認し、路側DSRC通信装置200との交信が終了すると、路側DSRC通信装置200との通信チャネルを遮断する(ステップST11a)。
路側DSRC通信装置200の交通流データ処理装置203は、路上DSRC通信装置201及びDSRC通信制御装置202を介して車両アップリンクデータを受信すると、上記実施の形態1と同様にして、当該車両アップリンクデータから車両の進行方向別の交差点の交通流データを算出する。
なお、この実施の形態4では、路側光ビーコン装置100(第4の無線通信装置)が、交差点のかなり手前(例えば、100m程度手前)に設置される。このため、上記実施の形態1で示した図4のグラフにおける交差点手前のビーコン下(地点a)から交差点入り口(地点b)までの距離は長くなるが、地点aから地点bまでの各車両の平均車速を算出する方法自体は、上記実施の形態1と同様である。
また、地点aから地点bまでの経過時間は、交差点手前のビーコン下(100m手前)から交差点までの待ち時間に相当し、交差点へ進入する車両の渋滞状況を示すデータとなり得る。
以上のように、この実施の形態4によれば、路側DSRC通信装置200の通信制限エリア内にあるとき、路側DSRC通信装置200との通信を制限するとともに、交差点手前に設置された路側光ビーコン装置100からの通知データに含まれる道路ID情報、自車両が通信制限エリアに達した地点まで又は通信制限エリアを抜けた地点までの道程距離データL、及び通知データを受信した時点から当該道程距離データLが得られるまでの経過時間を含む車両アップリンクデータを、路側DSRC通信装置200へ送信する車載器300を備え、路側DSRC通信装置200が、自身の通信エリア内の車両に搭載された車載器300から受信した車両アップリンクデータを用いて、交差点における車両の交通流データを進路方向別に算出するとともに、交差点への進入方向手前の道路における車両の交通流データを算出する。このように、交差点の手前(かなり手前、100m程度)に設置される路側光ビーコン装置100から、交差点入り口、交差点出口までのそれぞれの道程距離が通知されるので、交差点入り口に至るまでの待ち時間や平均車速を示すデータが計測可能であるため、交差点手前における渋滞状況等を示す交通流データを得ることができる。
なお、上記実施の形態4では、車載器300として、上記実施の形態3で図7を用いて示した車載器を使用する場合を説明したが、上記実施の形態2で図6を用いて示した車載器を使用しても構わない。この場合には、路側光ビーコン装置100から、通知データとして、道路ID情報、タイムスタンプ情報、路側光ビーコン装置100の位置から交差点入り口までの道程距離値及び路側光ビーコン装置100から交差点出口までの道程距離値を通知する。これにより、車載器300の情報処理部311は、通知データに含まれるタイムスタンプ情報から、通知データが受信された時点からの経過時間、交差点入り口に達するまでの経過時間、交差点出口に達するまでの経過時間を算出することができる。