version 21.1 @ 新木場スタジオコースト-rockinon.com|https://rockinon.com/live/detail/21750
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サカナクション
OGRE YOU ASSHOLE
the telephones
80年代、90年代、00年代…とその時代を引っ張ってきたバンドがそれぞれいるように、来る2010年代を担っていくであろうバンドが集まって本日、新木場STUDIO COASTにて行われたのがこの『version 21.1』というイベントだ。記念すべき第1回はサカナクション、OGRE YOU ASSHOLE、the telephonesという強力な3バンドが集結。3月に行われたサカナクションのライブ・ツアーにて金沢と長野の2ヶ所ですでにこの3バンドによる対バンがあったのだが、その打ち上げの席で意気投合し、またこの3バンドで何かやろうということで今回のイベントが実現したのだという。そして、この3バンドの転換時にDJを担当したのは、ROCK IN JAPAN FES.やCOUNTDOWN JAPANのレジデントDJでお馴染みの前田博章氏。開場時間の17:00から終演21:00までバンドの演奏も含め音が途切れることなくコーストを興奮の坩堝へと巻き込んだ素晴らしいイベントだった。
トップバッターを飾ったのはサカナクション。山口(Vo/G)が後に説明していたが、「出順はジャンケンで決めました!」とのこと。ジャンケンで勝ったそうだが、機材が多いためお客さんを待たせないためにも一番を選んだという。“Ame(B)”をSEにメンバー登場! 山口はステージぎりぎりのところまで飛び出し、4つ打ちのリズムに身を任せてダンスしながらオーディエンスを煽っていく。暗闇に赤青緑の三原色のライトが揺れる中、満員のコーストを圧巻のグルーヴで牽引していった。“ライトダンス”“インナーワールド”“サンプル”とノンストップで繰り広げられるエレクトロ・サウンドはえもいわれぬ昂揚感を生み出し、早くもオーディエンスを絶頂へと連れて行ってしまった。完全クラブ仕様のインスト・ナンバー“minnanouta”では、メンバーそれぞれのソロ・パートをフィーチャー。草刈姉さんのアグレッシブなベースさばきは何度観ても見惚れてしまう。後半は眩いレーザー光線が会場を鮮やかに彩った“ネイティブダンサー”、フロアのテンションを一気に沸騰させた“セントレイ”、アッパーかつエモーショナルな“アドベンチャー”とラストまで駆け抜けるようにキラー・チューンを放出し、オープニングに相応しい開放感溢れるステージを見せてくれた。
バキバキの4つ打ちエレクトロ・サウンドで盛り上げたサカナクションに続いて登場したのは、OGRE YOU ASSHOLE。いつものようにヨ・ラ・テンゴ“NUCLEAR WAR”が流れる中、メンバーがゆっくりステージに現れるとキャッチーなギター・フレーズが響き渡る“コインランドリー”でスタート。中毒性のあるメロディと浮遊感に満ちたグルーヴはもう言うまでもなく最高なのだが、次の曲へと雪崩れ込む曲間のアレンジも素晴らしい。異次元に誘うかのような浮遊するギター・サウンドが鳴り響く中、続いたのは“フラッグ”。フェスやイベントで観ると毎回欠かさずやる楽曲として何度も何度も演奏を重ねてきている曲だが、観る度にどんどんバンドの音が骨太になっていることに気付かされる。それぞれが見せ場を持つのではなく、それぞれが楽曲に寄り添いその楽曲にとって最善の音を鳴らしているからバンド・アンサンブルがどんどん強固になっているのだ。「今、レコーディング中でして、このライブに出なきゃいけないのがイヤだったんですよ。違う月にしてくれって。だけど、他のバンドが『ここでオウガが出なきゃ僕らもやらない!』って言うから…どれだけ僕らは愛されてるんだ…」と本日の出戸のMCは絶好調! それは「今日は上手くしゃべれたよ、俺」と本人が言うほど。後半はグルーヴィーに攻める“アドバンテージ”やバンドの個性を突き詰めながらより歌ものとしての威力を発揮した“ピンホール”と続き、ラストは圧倒の轟音ギターが渦巻いた“ネクタイ”で締めくくられた。
出順を決めるジャンケンで負けてトリを飾ることになったのはthe telephones。同じダンス・ミュージックでもサカナクションとthe telephonesではこんなにも違うものかと共演するのを見て改めて気付く。クラブよりのサカナクションとロックよりのthe telephones。ノブのシンセが会場に煌く6つのミラーボールと同化してキラキラとした輝きを放つ“Love&DISCO”で始まり、ハードロック、メタルを通過した石毛のギター・リフが4つ打ちビートに冴え渡る最強ナンバー“RIOT!!!”“DaDaDa”など、これでもかと言わんばかりの激烈ナンバーを畳み掛け、すでにフロアはカオス状態。床が面白いほどに揺れる揺れる。ノブの痙攣ダンスも絶好調だ。関節外れるんじゃないかと思うほどの激しい動きを見せながらもしっかりシンセを弾いたり、カウベルを叩いてはステージを走り回る。「俺らは一生懸命曲を書いて、一生懸命ライブをやって、たまに毒づいて…2010年、音楽が80年代、90年代、00年代と続いて必要なのはバンドはもちろんだけど、ここにいるみんななんですよ!」と感謝の言葉を真面目に語り、「2010年代に殴りこむために7月にアルバムを出します。J-POPシーンにまじりっけなしのロックをやるために殴りこみます!」という堂々宣言からニュー・アルバムの新曲へ突入! これまでの疾駆する4つ打ちビートとはまた違った、どっしりと構えた重厚なビートの中で展開されるダンス・ナンバーだ。後半は“D.A.N.C.E to the telephones!!!”“HABANERO”“sick rocks”と必殺ナンバー攻めでフロアは今日一番のピークを迎えた。最後は「ウィー・アー?」「ディスコ!」のお決まりのコール&レスポンスから“urban disco”を、さらにアンコールでは“FREE THROW”を披露し、フロアは踊り狂い、暴れ果てて、すっかり昇天しきってしまった。
最後は全出演者が出てきて会場のお客さんとともに記念撮影大会が行われた。なんとその場にいるお客さんも写メ撮り放題という大盤振る舞いだ。会場は携帯を構えたお客さんでいっぱい! ラストは「2010年代を担うこの3バンド、それ以外のメンツも集めてイベントをやっていくんでまた集まってください!」というサカナクション・山口の挨拶とともに一本締めでイベントは終了。2010年代の音楽シーンはこの3バンドに託した! 今後のそれぞれの動向とこのイベントからも目が離せなさそうだ。(阿部英理子)
サカナクション
1.Ame(B)
2.ライトダンス
3.インナーワールド
4.サンプル
5.minnanouta
6.ナイトフィッシングイズグッド
7.ネイティブダンサー
8.セントレイ
9.アドベンチャー
OGRE YOU ASSHOLE
1.コインランドリー
2.フラッグ
3.しらない合図しらせる子
4.J.N
5.サカサマ
6.アドバンテージ
7.かたっぽ
8.ピンホール
9.ひとり乗り
10.ネクタイ
the telephones
1. Love&DISCO
2. RIOT!!!
3. DaDaDa
4. Monkey Discooooooo
5. Beautiful Bitch
6. electric girl
7. 新曲
8. fu〜shit!!!
9. D.A.N.C.E to the telephones!!!
10. HABANERO
11. sick rocks
12. urban disco
アンコール
13. FREE THROW