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未来に向けた創造的な学びを 進化する安心・安全なAIが支援 - 教育とICT Online

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大阪教育大学創基150周年記念 教育とICTセミナー 2024秋

これからの学びを支えるICT活用教育 協賛講演

日々進化する子どもたちの学びにおいて、マイクロソフトではAIアシスタントの「Microsoft Copilot(コパイロット)」を活用して教育機関を支援している。AIアシスタントをどう活用して、学びを進化させていくのか。その活用事例を紹介するとともに、生成AI導入におけるマイクロソフトの基本的な考えを語った。

青木 智寛氏

日本マイクロソフト
パブリックセクター事業本部
公共・社会基盤戦略統括本部 教育戦略本部
ソリューションスペシャリスト
青木 智寛

組織向けの「Copilot」で
セキュリティとプライバシー保護を

 教育現場では今、人々がグローバルな環境で協働する未来に向けて、テクノロジーの進化とともに、多様なデバイスやアプリケーションを駆使する新たな学びが進められている。

 マイクロソフトでは子どもたちの将来に向けた学びについて、GIGAスクール構想以前から一貫した理念を掲げている。それが「Future-Ready Skills」だ。議論しあう力、協働しあう力、疑問を逃さない思考性、創造性、好奇心、計算論的思考。この6つの力を通じて国際競争社会を生き抜く力を育んでいく。

 日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 ソリューションスペシャリストの青木智寛氏は、「多様な人々と協働していく未来に向けて、マイクロソフトでは生成AIに重点的に取り組んでいます。そのため、あらゆる製品に生成AIを取り入れています」と語る。

 実際にマイクロソフトが教育現場での新たなツールとして力を入れているのがAIアシスタントの「Microsoft Copilot(コパイロット)」だ。AIを活用したデジタルアシスタントとして、子どもたちの課題解決力や創造力を高め、教育現場の効率化をサポートしている。

 教育現場で使われる組織向けのCopilotはエンタープライズデータ保護の下、ユーザーのセキュリティとプライバシーの保護を徹底している。また、AI時代の教育機関をサポートしていくため、教職員ユーザーは Microsoft 365 / Office 365 A1、A3、A5ライセンス内であれば無償で活用できる。

 さらに「Microsoft 365 Copilot」は、Microsoft 365アプリケーション(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなど)に特化したツールとして教育機関を支援していく。WordではAIがレイアウト提案を自動生成したり、Teamsでは発言内容をその場で要約したりするなど、AIが教職員を効率的にサポートしていくのだ。

ローカルAIについて

安全・安心な生成AIとして
都道府県各地域で活用

 マイクロソフトの「Copilot」は、都道府県の各地域で生成AIとしての活用が順次進んでいる。例えば、京都府教育委員会では府内全域に無償のMicrosoftのアカウントを配布することで、生成AI環境の格差解消に努めている。もちろん、情報が漏洩しないために安全な環境が整備されていることはいうまでもない。

 「教育現場では今、先生によるCopilotの活用が進んでいます。京都府では教職員向けに多様な研修を実施していますが、特に生成AIの研修は多くの関心を集めており、参加者数はすでに350名に上ります。こうした参加者の皆様により、AIが授業をサポートする土台が作られている状況です」と、青木氏はその手応えを語る。

 大阪市教育委員会では、実際の授業でCopilotを活用した対話的な学びの実践に取り組んでいる。例えば国語の授業では、子どもたち自身が一度作成した俳句を、より洗練されたものに作り直す際に生成AIを活用している。子どもたちはCopilotがアドバイスしてくれる表現例をヒントにしたり、友だちの意見を取り入れたりしながら、創造力と表現力を深めていく。

 生成AIによって子どもの思考力が奪われるのでは、という声もよく聞く。そんな中、子どもがテキストで投げ掛けると、対話して思考を深めてくれる、「答えを教えない生成AIチャット」が注目されている(Azure Open AIを用いて開発されたアプリケーションの活用)。このチャットは、子どもの質問に対して、一度で正答を返すことはない。AI が子どもと対話を繰り返してヒントを与えながら、本人が自ら正答にたどり着けるように導いているのだ。

 青木氏は「生成AI側の答え方を私たちが事前にカスタマイズして設定することで、対話を通じながら子どもたちが自らの頭で答えを見つける、論理的な思考能力を養います」と、その仕組みを説明する。

ワークステーション製品

徹底的なデータ保護を実現
AIによる学びを進化させる

 多くの教育機関がAIの導入を検討する中、セキュリティやプライバシー保護の観点から導入に対する懸念の声もあるだろう。特に教育機関では児童・生徒の個人情報を扱うため、厳重なデータ管理とプライバシーの保護が求められるからだ。そこでマイクロソフトでは、組織を守るエンタープライズデータ保護として、教育機関などのデータを徹底的に保護している。

 生成AIとの対話における内容は、ユーザーの組織外に共有されることはなく、マイクロソフト自体でも閲覧することはない。また、チャットデータはその基になる大規模言語モデル(LLM)の学習には使用されないという。

 Copilotが生成して出力したデータの著作権についてもマイクロソフトが責任を持ち、著作者の懸念を排除する仕組みを導入しているため、ユーザーは安心してデータを活用できる。著作者の懸念を理解して、製品に著作権ガードレールを組み込むなどして信頼性を確保しているのだ。

 青木氏は「私たちは、組織のデータはその組織のユーザーのものであるという考えを徹底しています。子どもたちと教職員の皆様を保護する、信頼できる生成AIとして、安心してご活用ください」と強調する。安心と安全のエンタープライズデータ保護の下で、マイクロソフトは子どもたちの将来につながる学びを支援していく。