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日本唯一、お寺が運営する鉄道 距離も日本最短 しかし「乗ることを勧められない」ワケ | 乗りものニュース

  • ️Tue Sep 18 2018

日本唯一、お寺が運営する鉄道 距離も日本最短 しかし「乗ることを勧められない」ワケ

  • 2018.09.18

京都は鞍馬寺の境内にあるケーブルカー「鞍馬山鋼索鉄道」は、ほかの鉄道と比べて特異な存在です。お寺の境内という立地ならではの「乗ることを勧められない」ケーブルカーとは、どのようなものでしょうか。

たった207mのケーブルカー

 1200年以上の歴史を持つ京都にある鞍馬寺は、山伏修行の地としても知られ、毎年10月22日の「鞍馬の火祭」では多くの参拝客でにぎわいます。そのような由緒ある場所に、少し変わったケーブルカー「鞍馬山鋼索鉄道」があります。

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鞍馬山鋼索鉄道。写真は2015年まで運行された3代目の車両(OleOleSaggy撮影)。

 路線はすべて鞍馬寺の敷地内を走っており、始発の山門駅は2体の仁王尊像がそびえる山門のすぐ横にあります。駅構内も乗車受付カウンターも至ってシンプル。源義経の幼名にちなんで「牛若号」と名付けられた車両が、終点の多宝塔駅とのあいだを往復しています。

 通常のケーブルカーは2両の車両が重量のバランスをとりながら運転しますが、じつはこの路線、保有車両が1台のみ。対となるもう1両の役割を、カウンターウェイト(おもり)が果たします。この方式は、ケーブルカーとしては日本唯一です。

 乗車すると、2分ほどで終点の多宝塔駅に到着します。驚くほどあっけない乗車ですが、それもそのはず、その距離はわずか207m。日本で2番目に短い「別府ラクテンチケーブル」より45m短く、1957(昭和32)年の開業以来、「日本一短い鉄道路線」の座をキープしています。

 この距離であれば、「歩いた方が早い」と思うかもしれません。しかし、並行する登山道は「九十九折(つづらおり)」で、幾重にも折れ曲がっています。直線距離を100m進むのに500mは歩かなければいけないほどで、清少納言をして「近うて遠きもの 鞍馬のつづらをりといふ道(枕草子)」と嘆かせるほどの山道なのです。高低差は89mもあり、平均して20度程度の坂を上り続けなければいけません。