関与媒質とは、雲・牛乳・石鹸のように媒質内部の微粒子によって,光が何度も散乱する多重散乱光を媒質内部で発生させる物質のことです.実物体の関与媒質をコンピュータグラフィックスで忠実に再現するには実物体の散乱特性などの散乱特性を推定する必要があります.本研究では,最初に関与媒質をハイダイナミックレンジカメラで撮影し,実写画像を作ります.次に実写画像と同じシーンで関与媒質を様々な散乱特性でレンダリングを行います.レンダリングには,関与媒質を物理的に正しくレンダリングできるフォトンマッピング法を使用しました.これにより,得られた複数枚の生成画像と実写画像を比較し,実写画像に最も一致する生成画像を求めます.この生成画像で使用された散乱特性が推定結果とすることで散乱特性の推定を行いました.これにより,従来手法では推定不可能であった複雑な形状を持つ関与媒質の散乱特性の推定が可能となりました.
|