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沿岸部は「完全な修羅場」 台風直撃のフィリピン、死者約400人に:朝日新聞

  • ️朝日新聞
  • ️Tue Dec 21 2021

 猛烈な台風22号が直撃したフィリピンで、中部と南部を中心に被害が広がっている。国家警察は20日、死者が少なくとも375人に上ると明らかにした。56人が今も行方不明のままで、犠牲者は今後も増える恐れがある。約40万人が避難したが、交通や通信が遮断されているため、被災地では水や食料の確保が困難になっている。

 台風22号は猛烈な勢力で東部シャルガオ島に16日午後に上陸した。最大瞬間風速は秒速75メートルを記録し、リゾート地が集まる中部と南部を横切った。フィリピン赤十字は現場からの報告として、沿岸部が「完全な修羅場」と化し、家屋や病院、学校は「ずたずたになった」と伝えた。「何十万人もの被災者が暮らしを取り戻すには国際社会の支援が必要だ」と訴えている。

 国家警察によると、犠牲者のほとんどが中部のビサヤ地方と南部ミンダナオ島に集中している。中部のボホール島とセブ島だけで確認された死者は19日までに142人に上った。

 被災地では水や食料の不足による治安の悪化も懸念されている。ロレンザーナ国防相は軍に対して、食料と水を最優先で被災者に届けるように指示した。地元メディアによると、ミンダナオ島北部のスリガオ市では、被害が17万世帯に及ぶ一方、救援物資は5千世帯分しかなく、市長が地元知事らに早急な支援を訴えているという。

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この記事を書いた人

宋光祐
パリ支局長
専門・関心分野
人権、多様性、格差、平和、外交