ドイツ総選挙、中道左派SPDが僅差でメルケル氏の党に勝利 連立交渉へ - BBCニュース
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- ️Mon Sep 27 2021
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ドイツで26日午後6時(日本時間27日午前1時)、総選挙(連邦議会、基本定数598)の投票が締め切られた。事前の予想どおり、二大政党の激しい接戦となったものの、中道左派の社会民主党(SPD)が僅差で勝利したもよう。政権づくりへ向けた連立交渉が、加速することになる。
選挙管理委員会が発表した暫定結果によると、SPDは25.7%を獲得した。これまでの第1党・中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の得票率は24.1%、緑の党が過去最多の14.8%。自由市場主義を掲げる自由民主党(FDP)は11.5%の見通し。
SPDが第1党になるのは、2005年以来。
新政権の形は、今後の連立交渉次第となる。新政権の確立は12月までかかる可能性もあり、在任16年を経て引退する予定のアンゲラ・メルケル首相はそれまで首相の座にとどまる。
SPDとCDU・CSUはいずれも、過去4年間のような大連立に消極的なため、連立交渉の行方は、緑の党とFDPが大きく左右する可能性がある。
SPDの首相候補、オラフ・ショルツ副首相は、ドイツ国民が変化を求めて投票したと述べ、メルケル首相の後任に自分を選んだのだと強調した。
ショルツ氏はSPDが僅差で優位になった時点で、SDPが第1党としての明確な信認を国民から得たと自信を示した。
一方、メルケル氏の後継としてCDUを率いるアルミン・ラシェット党首は、結果はまだ「不透明」で、連立の組み方はただ単に数の問題ではないと反論した。ただしCDU・CSUの得票率がかつてないほど大きく落ち込んだことは認めた。
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CDUのラシェット氏は支持者を前に、「この結果を喜ぶわけにはいかない」と、やや沈痛な面持ちで語った。
ただし、他党党首たちとのテレビ討論で、政界での自らの今後を尋ねられると、今後の連立交渉で中核的な役割を果たすのは自分だと力説した。
「私は党首として、予備的な協議を実施していくつもりだ」と、ラシェット氏は述べた。
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ラシェット氏は現在、CDU党首に加え、ノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)首相でもある。以前は、選挙結果がどうなってもNRW州首相は辞任すると発言していたが、26日夜のテレビ討論会ではこれに言及しなかった。
新型コロナウイルスのパンデミックの最中の総選挙とあって、ワクチンや感染対策が選挙戦の主要テーマとなるかと思われたが、実際に有権者が重視したのは、気候変動、経済、インターネットのブロードバンド通信速度などだった。
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今年7月にはドイツ西部が壊滅的な洪水に襲われ、190人が死亡し、人口の多い2つの州で甚大な被害が出た。
ただし、今ではどの政党も気候変動対策を重要課題に掲げ、再生可能エネルギーへ移行するための対策を打ち出しているだけに、緑の党だけが特に有利だったわけではない様子だ。
どのような連立に
ドイツでは、連立政権は政党の色で示される。中道左派のSPD(赤)が勝てば赤黄緑の「信号」連立、保守派のCDU(黒)が勝てば黒黄緑の「ジャマイカ」連立といった具合だ。
ただし現状では、「左翼党(Die Linke, the Left)」は議席を獲得できるほどの得票数が見込まれていないため、「赤・赤・緑」の連立実現の可能性は低い。
また極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」との連立を受け入れる政党はないとされるため、連邦レベルでの連立交渉にAfDがかかわる可能性はほとんどない。
AfDの得票率は10.3%になる見通し。特に東部ザクセン州とチューリンゲン州では最大政党になるとみられる。
移民排除、イスラム教徒排除を主張するAfDは、東西ドイツ再統一移行、経済的に困窮してきた旧東独の一部地域が支持基盤となっている。