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ジョンソン首相、ロックダウン中にパーティーで飲酒の写真 警察の対応に疑問の声も
画像提供, ITV News
2022年5月24日
英民放ITVニュースは23日、ボリス・ジョンソン首相が、新型コロナウイルスのロックダウン中に首相官邸で開かれた集まりで飲酒している写真を公開した。
ITVニュースによると、公開された4枚の写真は2020年11月13日、リー・ケイン広報部長の退職に伴う「即席の飲み会」で撮影されたという。
ロンドン警視庁はこの日の集まりに関連し、すでに罰金通告(FPN)を出している。BBCの取材によると、この集まりについて少なくとも1人が警察から罰金を科されているが、ジョンソン首相は科されていない。
野党からは、ジョンソン氏に罰金を科さなかったロンドン警視庁への批判が出ている。
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ジョンソン政権をめぐっては昨年末以降、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。アメリカの「ウォーターゲート」事件をもじって「パーティーゲート」と呼ばれている。
ITVニュースが入手した写真には、ジョンソン氏が同僚と乾杯する様子が写っている。ジョンソン氏は、ワインボトルやワイングラス、手指消毒用の容器と思われるものが置かれたテーブルのそばに立っている。
当時、イングランドでは2回目のロックダウンが敷かれており、屋内での2人以上の集まりは「業務上必要な」ものを除いて禁止されていた。
首相官邸の報道官は、内閣執務室や警察は、この写真を含む情報にすでに当たっていると説明した。
ロンドン警視庁は、この集まりについて首相に罰金を科さなかった理由の説明を拒否している。
野党が追及
野党・自由民主党は、ジョンソン氏に追加の罰金が科されていないことや、ロンドン警視庁の捜査内容をめぐり、警察行為独立事務所(IOPC)に質問状を送っている。
同党のデイジー・クーパー副党首は、「もし、ロックダウン中にこのようなパーティーで写真を撮られた人がいたら、罰金を取られる十分な証拠になったのは確実だ」と指摘。
「首相とそれ以外の人について、別々のルールがあったように思える」と述べた。
また、一連の疑惑が発覚した当初の2020年12月8日、最大野党・労働党のキャサリン・ウエスト議員は下院でジョンソン氏に対し、11月13日に首相官邸でパーティーが開かれていたかと質問した。
この質問に対しジョンソン氏は、「いいえ、でもどんなことが起きていても、常にガイダンスとルールが守られていたことは確かだ」と回答した。
ウエスト議員が言及したパーティーが、写真に撮られたものかは明らかではない。
画像提供, ITV
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労働党のアンジェラ・レイナー副党首は写真流出を受け、首相は「内閣の品位を落としており」、「イギリス国民にはより良い首相が必要だ」と述べた。
「ボリス・ジョンソンは、法律違反について何も知らないと何度も言ったが、今となっては間違いなく、彼はうそをついた。ボリス・ジョンソンはルールを作り、それを破った」
自由民主党のクーパー副党首も、「ジョンソン氏はイギリス国民をばかにしている」と批判。スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード議員は、首相は「ペテン師でうそつき」だと述べ、保守党議員に対し、ジョンソン氏の更迭を求めた。
パーティーゲート、これからどうなる
一連の疑惑については、ロンドン警視庁が12件の集まりを対象とし、捜査を行っていた。警察は19日に捜査を終了したが、8件の集まりについて計83人に対し、126件の罰金を課した。
ジョンソン首相と妻のキャリー氏、ライシ・スーナク財務相は4月、2020年6月にジョンソン首相の誕生日を祝うために首相官邸で開かれた集まりに参加したことが、当時の新型ウイルス対策に違反していたとして、それぞれ50ポンド(約8000円)の罰金を科された。
一方で首相官邸は捜査終了を受け、追加の罰金はないと発表している。
パーティーゲートをめぐっては、昨年12月にスー・グレイ第二事務次官が内部調査を行っていたが、警察の捜査を受けて報告書は一部しか公開されていない。官邸の報道官は、グレイ氏がこの報告書を「近日中に発表し、ジョンソン首相が議会で全文を演説する」予定だと述べた。
ジョンソン首相はまた、パーティー問題をめぐって議会をミスリードする発言をしていた疑惑で、議会の特別委員会の調査の対象となっている。イギリスでは、議会で閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードしたりした場合、辞職・解任の理由になる。ミスリードとは、議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ導くことを意味する。
一方、労働党のサー・キア・スターマー党首についても、北部ダラムで昨年4月に開かれたイベントに出席した際、地元選出議員の事務所でカレーを食べてビールを飲んだことが当時の新型コロナウイルス対策に違反した疑いがあるとして、すでに警察が捜査に着手している。スターマー党首は、この件で自分が罰金対象になった場合には、党首を辞任するとしている。
<解説>ヘレン・キャット政治担当編集委員
「パーティゲート事件」の中心には、常に2つの大きな疑問があった。
ボリス・ジョンソン首相自身が法律を破ったのか? そして、首相は首相官邸での法律違反について知っていることを完全に率直に話したのか?
この最新の写真に対して、首相官邸はかなり強気だ。 警察はこの写真を見ていたが、罰金を取らなかったと述べた。
しかし2つ目の疑問は、ジョンソン首相にとっても、少し厄介なことになるかもしれない。
この集まりをめぐっては、別の誰かが罰金を科されている。その集まりにいる写真が公開された今、ルールはすべて守られていたという首相の主張は通用するのだろうか?
ここには議員と一般市民という、2つの重要な聴衆がいる。
この件に関して首相が議会で何と言ったのか、そしてそれが議会をミスリードするものだったか、大規模な精査が始まるだろう。
結果によっては、ジョンソン氏の将来に非常に素早く影響を与える可能性がある。
しかし、それ以上に、今回の写真は長期的な問題を引き起こす可能性がある。
この写真を見ても気にならない人はたくさんいるだろうが、気になる人もいるだろうし、ジョンソン氏への信頼を失う人が増えるかもしれない。