【独自】京アニ事件控訴審、弁護側が地裁判断の誤りを主張する方針 被告の精神鑑定巡り新資料提出
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【独自】京アニ事件控訴審、弁護側が地裁判断の誤りを主張する方針 被告の精神鑑定巡り新資料提出
2024年10月2日 5:00
36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件で、一審京都地裁で死刑判決を受けた青葉真司被告(46)の犯行時の精神状態について、弁護側が大阪高裁で開かれる控訴審で、善悪を区別する能力があったなどとした地裁の判断に誤りがあると主張することが1日、関係者への取材で分かった。弁護側は新たな資料として、青葉被告の精神鑑定結果に関して、鑑定を行った医師とは別の医師による意見書を高裁に提出した。控訴審も被告の刑事責任能力が最大の争点となる見通し。
関係者によると、弁護側は主張をまとめた控訴趣意書を9月30日に大阪高裁に提出した。控訴審の期日はまだ決まっていない。
青葉被告については、起訴前に検察側の請求で、起訴後は弁護側請求による裁判所の依頼で、それぞれ異なる医師によって精神鑑定が行われた。一審で弁護側は、青葉被告は責任能力がない心神喪失か、著しく低下した心神耗弱状態だったと主張していた。
地裁判決は、起訴後の鑑定に基づき、青葉被告が妄想性障害だったと認定。「京アニを攻撃しなければならない」との動機の形成には、小説を盗用されたなどの妄想が影響したと判断した。一方、放火殺人という手段の選択に、妄想の影響はほとんどないと判断。善悪を区別し犯行を思いとどまる能力があったとして完全責任能力を認め、弁護側主張を退けた。
関係者の説明では、弁護側は控訴審で、起訴後の精神鑑定結果そのものは問題とせず、意見書を基に、地裁による鑑定結果の評価に誤りがあると主張する方針。また、絞首刑が残虐な刑罰にあたり、憲法違反だとする主張も一審に続き行うとみられる。
地裁判決によると、青葉被告は2019年7月18日、京都市伏見区の京アニ第1スタジオの玄関から侵入し、ガソリンを従業員に浴びせてライターで放火。建物を全焼させ、屋内にいた従業員36人を殺害、32人に重軽傷を負わせるなどした。京都地裁で裁判員裁判が行われ、今年1月25日、死刑判決が言い渡された。弁護人と被告が控訴した。
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