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【朝刊先読み!】県立美術館がリニューアルオープン 北斎の作品集めた展示室を新設 | 山陰中央新報デジタル

  • ️Wed Jun 01 2022

葛飾北斎の作品に見入る来館者=松江市袖師町、島根県立美術館

葛飾北斎の作品に見入る来館者=松江市袖師町、島根県立美術館

 天井の耐震改修工事のため約1年間休館していた島根県立美術館(松江市袖師町)が1日、リニューアルオープンした。江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎の作品を集めて新設した展示室など、新たな見どころを目当てに多くの美術ファンが来館した。

 同館所有の北斎の世界的なコレクション約1600点から、1カ月ごとに展示内容を変えて約30点を公開する「北斎展示室」には、中国史にちなむ最晩年の肉筆画「赤壁の曹操図」、「冨嶽三十六景」シリーズで赤富士を描いた版画「凱風快晴(がいふうかいせい)」が並ぶ。印象派を代表するモネが北フランス・エトルタの陽光が照らす海岸を描いた油絵「アヴァルの門」や、英仏海峡の波頭が崩れる様子を力強く捉えたクールベの油絵「波」など、水が題材の絵画10点を集めた「水辺の展示室」も新設した。

 開館セレモニーには約150人が出席。リニューアルを機に30日で退任する長谷川三郎館長(79)が「新しくなった美術館を直接ご覧いただきたい」とあいさつし、関係者がテープカットして祝った。

 娘と一緒に水辺の展示室などを回った松江市東朝日町の主婦、瀬尻昌子さん(40)は「初めて来たが、身近にこれほどの美術品があるとは知らなかった」と驚いていた。

 開館時間は午前10時から日没の30分後まで。火曜休館。展示室の入館料は大人300円、大学生200円、高校生以下無料。リニューアル後初の企画展は、デジタルアート集団・チームラボによる「学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち」を7月1日~8月28日に開く。

 美術館は21年5月から休館し、総事業費約14億円を投じて金属製のつり天井をグラスファイバー製の膜天井に更新。空調や照明も新調した。
      (清山遼太)