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東芝不正会計、旧経営陣5人に賠償命令

  • ️産経新聞
  • ️Tue Mar 28 2023

東京地裁、高裁の外観(高橋朋彦撮影)

東京地裁、高裁の外観(高橋朋彦撮影)

平成27年に発覚した東芝の不正会計問題で、旧経営陣の不当な経営により損害を被ったとして東芝や個人株主が旧経営陣15人に対し、最大約33億円を東芝に支払うよう求めた訴訟で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は28日、元社長ら5人に計約3億円の賠償を命じる判決を言い渡した。不正会計問題で旧経営陣の個人責任が認められたのは初めて。

賠償責任が認定されたのは、社長だった佐々木則夫、田中久雄の両氏と、副社長だった久保誠、北村秀夫、真崎俊雄の3氏。元社長の故西田厚聡(あつとし)氏の側への賠償請求は棄却した。

判決理由で朝倉裁判長は、東芝が手掛けた米国地下鉄の車両製品製造などのインフラ事業で、多額の損失が見積もられていたのに損失額相当の引当金を計上しないなどの「違法な会計処理があった」と認定。佐々木氏ら5人は違法な会計処理を認識でき、「中止・是正させる義務を怠った」と結論づけた。

一方で、西田氏が率いたパソコン事業で行われていた、部品を売って完成品を買う「バイセル取引」を巡っては、部品を売った時点で利益を計上し、完成品を買う取引の計上を先送りする手法は「当時はあり得る会計処理だった」とし、適法と判断した。

不正会計問題は27年2月、証券取引等監視委員会の開示検査で発覚。損失の計上を先送りするなどして長期間にわたり利益の水増しを繰り返していた。経営トップの圧力があったとされ、金融庁から課徴金として過去最高の約73億円の納付を命じられた。

東芝は同11月、佐々木氏ら歴代3社長を含む旧経営陣5人に対する損害賠償請求訴訟を提起。東芝が提訴を見送ったほかの旧経営陣についても、東芝に損害賠償するよう求める訴訟を個人株主が起こし、合わせて審理されていた。